仙台空港で2月19日、10年前の東日本大震災で被災し修復されたグランドピアノがお披露目された。空港の「震災10年メモリアルプロジェクト」の一環として、3月12日までターミナル1階のセンタープラザに「復興空港ピアノ」として設置している。同空港初のストリートピアノで、誰でも演奏できる。

仙台空港でお披露目された復興空港ピアノと持ち主の櫻井由美さん=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

仙台空港で復興空港ピアノをお披露目する仙台国際空港会社の岡﨑航空営業部長(右)と演奏した猪股久智さん=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
復興空港ピアノは、1980年にヤマハ(7951:当時は日本楽器製造)が製造したグランドピアノG3Eで、宮城県塩釜市のピアノ講師・櫻井由美さんが所有。2011年3月11日の東日本大震災当時は同県七ヶ浜町にあった実家の離れ2階に置かれていたが、津波をかぶり傷だらけのまま、がれきの中に置かれていた。2011年6月以降、約半年間の修復作業により再び演奏できるようになった。
19日に開かれたお披露目会で、空港を運営する仙台国際空港会社の岡﨑克彦・航空営業部長は、「国内で唯一津波の被害を受けた空港として、どのような発信をすべきか考え、櫻井さんからピアノをお借りしました」と、ピアノの設置が決まった経緯を説明した。
ピアノは修復後、2012年から七ヶ浜町の生涯学習センターに置かれ、保管されてきた。櫻井さんは傷だらけの見た目から、西城秀樹さんのヒット曲『傷だらけのローラ』にちなみ、「ローラ」と名付けた。お披露目会であいさつした櫻井さんは、「いろんな人の手で奏でて欲しい。ローラに触って震災のことを思って欲しいです」と話した。
お披露目会では、岩沼市出身ピアニストの猪股久智さんが、リスト作曲の「愛の夢」、ラフマニノフ作曲の「鐘」の2曲を披露。その後は空港を訪れた人がピアノを奏でていた。

仙台空港で復興空港ピアノを弾く猪股久智さん=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
修復に携わった調律師の松木一高さんは、横浜市でピアノ修理工房クラビアハウスを営む。2011年6月に修復依頼の電話を受けたが、「すでに100人くらい断られたそうで、それだけ断られたならやってみようと引き受けました」という。依頼は東北から徐々に南下していき、「東京でも断られて横浜に来たようです」(松木さん)と、津波をかぶったピアノの修理を引き受けることになった。
松木さんによると、ピアノは海の波打ち際に近いところにあったという。「水が抜けても海水の塩が抜けない。ピアノの弦が2週間でさびました。海にいる小さな虫も生きてましたよ」と、これまで手掛けたこともない海水に浸ったピアノを直すことになった。「全部バラバラにして真水で洗い、天日干しをして、駒やブリッジは作り直しています」と、損傷が激しいところは部品を作って修復したという。櫻井さんは「直す前よりも張りのある音になりました」と笑顔を見せていた。
仙台空港は、2月13日夜に起きた福島県沖を震源とする地震では、震度5強を観測。運航に支障が生じる被害はなかったものの、ターミナルビルでは主に3階で壁の仕上げ材や床材の剥がれなどが発生した。すでに3階のレストランは安全確認が終わり営業を再開しているが、展望デッキは階段の復旧工事などが終わるまで閉鎖している。

仙台空港で復興空港ピアノを調律する松木一高さん=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

仙台空港で復興空港ピアノを調律する松木一高さん=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

東日本大震災の津波で「ファ」の鍵盤が欠けた復興空港ピアノ=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

津波で傷ついた復興空港ピアノ=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

仙台空港で復興空港ピアノを弾く猪股久智さん=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

仙台空港で復興空港ピアノを弾く持ち主の櫻井由美さん=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

仙台空港でお披露目された復興空港ピアノ=21年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
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