エアライン, 企業, 空港 — 2020年10月15日 17:22 JST

ANAとKDDIら、愛媛・南予地域でMaaS実証実験 スマホでフリーパス、鉄道・バスかざして乗車

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 KDDI(9433)や全日本空輸(ANA/NH)など9者は10月15日、愛媛県宇和島市や八幡浜市などので南予地域で、航空や鉄道、バス、タクシーなどマイカー以外の異なる交通手段を1つの移動手段として捉える概念「MaaS(マース:Mobility as a Service)」の実証実験を展開すると発表した。地域の鉄道やバスなどで使えるフリーパスを販売して観光型のMaaSを検証し、各自治体のコスト削減やキャッシュレス化の促進などを図る。

スマートフォンをNFCタグにかざして使用する「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」=20年10月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
タグにスマホかざして使用
交通ICカードやクレカ対応がまちまち

タグにスマホかざして使用

 南予地域での実証実験はKDDIが幹事となり、ANAとJR四国(四国旅客鉄道)、伊予鉄バス(松山市)、石崎汽船(松山市)、宇和島自動車(愛媛県宇和島市)の交通事業者5社と広域連携団体の愛媛県バス協会(松山市)、南予の9市町で構成する南予広域連携観光交流推進協議会が参加。JRと路線バス、リムジンバスで利用できる「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」を発売し、南予地域への観光客増加と、2018年に発生した7月豪雨で被災した農業や商業などの復興を図る。

 デジタルフリーパスは、スマートフォン端末を駅やバス車内にあるNFCタグやQRコードにかざして使用。クラウドシステムを使用することで、アプリのダウンロードや個人情報を入力するなどの会員登録が不要となる。デジタルパスの購入時のみ、Google PayやApple Payとひも付いた決済作業が必要で、購入後はかざすだけで乗車できる。

 同パスは、ANAが航空便の運航情報と鉄道やバスなどの地上交通を同時に案内するシステム「空港アクセスナビ」と連携。松山と広島の2空港の発着便の利用客が検索した場合、フリーパスのバナーを表示し、購入できるようにする。

 バスや鉄道は、パスを使用しての乗降で1ポイントずつ付与。4ポイントで農業や商業、観光施設で使える割引券を提供する。2回の乗降で4ポイント貯まる。

 10月15日から販売を開始し、29日から使用できる。南予全域で使えるフリーパスは3日間有効で、大人6000円。南予地域のほか、松山市と広島県広島市の広島港と、呉市の呉港で使用できる。内子町や大洲市などを散策できる1日パスも販売し、2840円で提供する。有効期間は31日まで。

交通ICカードやクレカ対応がまちまち

 南予地域の交通機関は、交通系ICカードやクレジットカードへの対応が統一されてなく、対応には設備投資が必要となる。また経路検索では、すべての交通機関が網羅されていないことなどが課題となっている。

 松山空港で会見したKDDIの経営戦略本部副本部長の松野茂樹理事は、NFCタグやQRコードにかざして使用するデジタルフリーパスについて「利用者はダウンロードや会員登録などが不要。事業者は電源や決済端末、設備投資の初期費用が不要」と双方にメリットがあると強調。検証終了後、2021年度以降の本格導入に向け検討を進めるとした。

 ANAで企画室長を務める平澤寿一上席執行役員は、空港アクセスナビのほか、2019年7月に立ちあげたMaaS推進部など、ANAが進めるMaaSへの取り組みをアピールした。

ANAの「空港アクセスナビ」(左)と連携する「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」=20年10月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

南予地域で提供しMaaSを実証実験する「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」=20年10月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

南予地域でのMaaS実証実験で会見したKDDIの松野理事(左から5人目)とANAの平澤上席執行役員(左から2人目)ら=20年10月15日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

関連リンク
空港アクセスナビ(全日本空輸)
KDDI
全日本空輸
四国旅客鉄道
伊予鉄バス
宇和島自動車
瀬戸内ブランドコーポレーション
石崎汽船
愛媛県バス協会(四国バス協会)

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