エアライン, 空港 — 2020年7月30日 21:30 JST

ソラシド、カウンター行列ゼロへiPadで受付番号発券 羽田の係員発案、Airウェイト導入

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 新型コロナウイルスの感染防止策として、ソラシドエア(SNJ/6J)は羽田空港のチェックインカウンター前に受付番号券を発券するiPad用受付管理アプリ「Airウェイト」を7月31日から導入する。利用者がカウンター前に行列を作ることを防いでソーシャル・ディスタンシングを確保するとともに、利用者に待ち時間を有効活用してもらう取り組みで、同社の地上係員が発案し、1カ月程度の準備期間で設置にこぎ着けた。

ソラシドが羽田空港のカウンター前に設置する「Airウェイト」と導入発案者の高橋さん=20年7月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 近年は搭乗手続きをオンラインで済ませる人が増え、預け荷物がない人であれば保安検査場へ直接向かうこともできるが、シニア向け割引運賃のように本人確認が必要なものや、搭乗時に手伝いが必要な人など、カウンターを訪れる人は一定数いる。台風や大雪といった悪天候による欠航などでは、カウンターに長蛇の列ができるが、今後は新型コロナの感染対策も踏まえた対応が航空会社に求められる。

 8月の多客期を目前に控え、羽田空港で旅客責任者を務めるソラシドの高橋利奈さんと地上係員の鶴田勇太さんは、銀行などと同じく受付番号券をカウンターでも発券することで、利用者が一カ所に滞留することを防げると考えた。飲食店などで導入実績があることや、安価に導入できる点を評価し、リクルートの「Airウェイト」を導入することにした。もともと空港で使用している8台のiPadに加えて、番号券を発行するプリンターや設置用の棚などをそろえ、月額2万円の使用料で運用できるという。

 カウンターに用事がある人は、カウンター前に設置したiPadを自分で操作し、搭乗便を選ぶと番号券が発券される。記載されたQRコード(二次元バーコード)をスマートフォンで読み取ると、待ち時間などが30秒間隔の自動更新で確認できる。メールアドレスを登録したりLINEを活用することで通知を受けることもできる。自分の順番がまわってきたかは、カウンターのモニターに表示される数字で確認でき、病院や区役所の受付のような感じだ。

ソラシドが導入する「Airウェイト」の搭乗便選択画面=20年7月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 高橋さんによると、一度に30人ほどがカウンター前に列を作ることもあるといい、これまではスタンションで区切って誘導していたが、今後は番号券に書かれた番号を呼ぶことで、列ができないように誘導していきたいという。カウンターの待ち時間は、大きな問題がなければ1人あたり1分半程度だが、訪れる人の用事はまちまちなので、今回のシステムは1人あたりの応対が3分程度かかることを想定して開発した。

 利用者はある程度待ち時間がある場合、カウンター前から離れてトイレを済ますといった、隙間時間を有効活用につなげられる。「案内表示を設置し、係員を配置します」と高橋さんは話す。どの程度で応対してもらえそうかなどの情報は、係員が利用者に説明するようにする。また、導入後には待ち時間をわかりやすくする改良を加えるという。

カウンター前の行列ゼロを目指して「Airウェイト」導入を発案した高橋さん(左)と鶴田さん=20年7月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 導入までに要した期間は1カ月で、今年4月から全社導入したビジネス向けチャットアプリ「Slack(スラック)」を活用することで、社内調整を短時間で済ますことができた。これまでの仕事の進め方だった場合にかかる時間を高橋さんに尋ねると、「3カ月はかかったと思います」とのことだった。係員用の周知マニュアルは鶴田さんが用意し、2週間程度で準備が整った。

 7月16日発表の運航計画では、ソラシドは8月1日から18日までは計画していた全便を運航する。新型コロナの感染が再び拡大したこともあり、飛行機の利用を控える動きがあるものの、今後利用者が増えた際には感染防止策は不可欠となるので、カウンター前の行列ゼロを目指して8月前の導入を実現させた。

 当面は自社でカウンターを持つ羽田でのみ運用する。他空港への展開は、羽田の実績を見て判断するという。

羽田空港第2ターミナルにあるソラシドエアのチェックインカウンター=20年7月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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