ANA、国際線見直し「決まったものない」 雇用は維持、経年機は退役加速

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 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の福澤一郎常務は7月29日、新型コロナウイルスの影響で、運航便数が計画の1割程度にとどまっている国際線について、10月25日に始まる冬ダイヤから路線計画を見直す考えを示した。一方、雇用については早期退職などの人員削減は引き続き行わず、「事業構造改革」を進める中で検討していくとした。キャッシュアウトを抑える観点から、経年機の早期退役や新造機の受領後ろ倒しも進める。

新型コロナウイルスの影響で国際線や機材の計画を見直すANA=20年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国際線については、不採算路線を中心とした見直しを7月末にも発表する予定だった。しかし、新型コロナの感染拡大が世界的に沈静化していないなど、4月の段階では夏から回復基調に入ると見ていた旅客需要の見通しは「前提が崩れつつある」(福澤氏)として、再編対象路線や便の選定を継続する。福澤氏は国際線の見直しについて、「いま現在決まったものは一切ない」と述べ、新たな計画が明らかになるのは、早くても8月下旬ごろになる見通し。

 全グループ社員の97%にあたる4万3500人が一時帰休している状況については、「雇用を守りながら危機を乗り越える基本方針は変わっていない」(福澤氏)として、今後も一時帰休や労働組合との待遇交渉、ワークシェアで対応し、自然退職と2021年度新卒採用の見送りで人員調整を続ける。早期退職は、「事業構造改革で求められるようであれば、やっていく方針も構えていきたい」(同)として、全社的に進めているコスト削減や事業計画の練り直しなどに合わせて検討していくという。

 事業構造改革では、これまで外注していた作業を内製化することによるコスト抑制も検討していく。福澤氏によると、2021年3月期通期で2550億円のコスト削減を実施するという。

 また、固定費を圧縮するため、経年機の退役を早める。福澤氏は「古い機材を中心に考える。(経年機は)メンテナンスコストもかかるので、そうした観点でもどういった機材から退役させたほうがいいかを検討している」と述べた。燃費の良いボーイング787型機の導入が進んでいることから、国際線と国内線に投入している中型機の767-300/-300ER(2クラス202席、2クラス270席)、国内線で使用している大型機の777-200/-200ER(2クラス405席)、777-300(2クラス514席)などの経年機から退役が進むとみられる。

 機体メーカーに対する新造機受領の後ろ倒し交渉も、引き続き続ける。このうち、4月に受領予定だった総2階建ての超大型機エアバスA380型機の3号機(登録記号JA383A)は、受領を半年程度遅らせることを4月に発表済み。ボーイング機は6月末時点で見ると、787-10(ロールス・ロイスエンジン)が1機、787-10(GEエンジン)が11機、787-9(ロールス・ロイス)が9機、787-9(GE)が1機の計22機が受注残となっている。このうち、今年2月に発注したGEエンジンの787は、2022年度以降の受領を計画している。

 29日発表の2020年4-6月期(21年3月期第1四半期)連結決算は、純損益が1088億1900万円の赤字(前年同期は114億1800万円の黒字)。売上高は前年同期比75.7%減の1216億800万円、営業損益は1590億6500万円の赤字(161億7300万円の黒字)、経常損益が1565億4400万円の赤字(170億3800万円の黒字)だった。通期業績予想は、合理的に算定することが困難だとして、4月に続いて公表を見送った。

*4-6月期決算の詳報はこちら

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