ANA、機材計画は保守的、新路線も慎重に 20年度末の需要回復5-7割

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、新型コロナウイルスの影響により、今年度末となる2021年3月時点の旅客需要は前年度の5-7割程度にとどまると見込んでいる。機材計画については、今年度に計画している受領時期を後ろ倒しし、退役が決まった機材は計画通り退役させる予定だ。

受領を半年程度遅らせる予定のA380 3号機=20年1月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

追加発注した787-10=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今年度内に受領予定の機材は、エアバスA380型機が1機、ボーイング787-9型機が5機、A321neoが7機。このうち、A380は全3機のうち最後の受領となる3号機(登録記号JA383A)で、当初は4月に受領予定だったが半年程度延期となっており、現時点で明確な受領時期が決まっていない。

 一方、2月25日に公表した787の追加発注については、ANAHDによると現時点で発注内容を見直す予定はないという。ANAHDは超長胴型の787-10を11機、長胴型の787-9が4機の計15機を確定発注し、5機の787-9をオプション発注(仮発注)した。2022年度から2025年度にかけて受領を計画しており、787-10は国内線、787-9は国際線に投入する。エンジンはANAの787では初めてGE製GEnx-1Bを選定し、追加発注分はすべて同エンジンとなる。

6月までに全機が退役する737-500=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今年度内の退役予定機材は、737-700と737-500が3機ずつ、777-200と767-300、貨物機の767-300BCFが各1機ずつの計9機。このうち、737-500は在籍する全機が6月までに退役となる。

 4月28日にオンラインで決算発表したANAHDの福澤一郎常務執行役員は、「機材計画はより保守的にしていく」と語った。また、このところ大規模な拡大基調が続いてきた国際線の新路線については、「影響を見極めながら、見直しは避けられない」と軌道修正の可能性を示唆した。

 ANAHDによると、「退役の前倒しは検討の一つだが決まったものはない」としている。一方で、ANAは国際線と国内線の客室改修を進めており、一部の機材は導入時期を見直すことでキャッシュアウトを抑制する。

*決算の詳報はこちら

関連リンク
全日本空輸

20年3月期決算
ANAの20年3月期、純利益75%減 1-3月期は588億円の最終赤字、新型コロナ打撃(20年4月29日)
ANA、新卒採用抑制も 休業35社4万2千人に(20年4月28日)

A380 3号機受領延期
ANA、A380最終3号機の受領延期 週14便化は未定(20年4月3日)

787追加発注
ANA、787を最大20機追加発注 GEnxエンジン初採用(20年2月25日)

写真特集・ANA 737-500スーパードルフィン福岡公開
機内編 アナログ計器やシート灰皿跡が四半世紀物語る(19年9月30日)
外観編 イルカ描かれたエンジンカウル(19年10月5日)

搭乗記・ANA新ビジネスクラスTHE Room
前編 幅広シートでリビングのような個室空間
後編 iPhoneがリモコンになる4Kモニター

写真特集・ANA新777-300ER
(1)43インチ4Kモニターと引き戸付き個室ファーストクラス
(2)ドア付き個室ビジネスクラス
(3)世界最大の個人モニター備える1列10席エコノミー
(4)木目調パネルで落ち着いた空間

ANAの動向
ANA、国内線64%減便 羽田-熊本など運休68路線、5月末まで(20年4月28日)
ANA、GWの国内線85%減便 羽田-鹿児島など運休69路線、通常運航は9路線(20年4月23日)
ANA、国際50路線5月末まで運休 ストックホルムなど就航延期(20年4月22日)
ANA、787の客席を貨物スペースに マスク入り段ボール運ぶ(20年4月22日)
ANA、医療用ガウンの縫製支援 一時帰休スタッフらがボランティア(20年4月16日)