エアライン — 2020年1月30日 22:57 JST

ANAの中国発2月予約、昨年の半分に 日本発も4割減

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 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は1月30日、中国路線の中国発旅客数が、2月の予約状況で昨年の約半分に落ち込んでいることを明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大により欠航している成田-武漢線を除いたもので、同時期に日本から中国へ向かう旅客数は4割減になっているという。例年は旧正月(春節)で訪日需要が好調だったが、感染拡大の影響が出始めた。

新型コロナウイルスの影響で中国発の予約状況が前年を割り込むANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 現在ANAは中国10都市11空港(上海が2空港)へ就航し、1日24往復48便を運航。ANAHDの福澤一郎グループ経理・財務室長兼財務企画・IR部長は30日、都内で開いた2019年4-12月期(20年3月期第3四半期)決算会見で、「中国線は国際線の売上全体で1割強。ひとつの地域に偏らないポートフォリオにしており、欧米が5割、東南アジアが3割、ホノルルが1割で、武漢線は1%以下だ」と、国際線全体の売上に占める中国路線や武漢線の割合を説明した。

 17年前の2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際は、ANAも中国路線の休止や減便があった。福澤氏は「状況により、考えないといけない」と述べ、今後の状況により中国路線の欠航や減便が生じる可能性を示唆した。

 また、ANAは政府による羽田-武漢間のチャーター便を運航。同社のパイロットと客室乗務員が乗務したが、ANAHDによるとパイロットは乗務翌日から3日間疲労軽減のため休暇を取らせており、客室乗務員は今日から2週間は乗務予定を入れていないという。

 同日発表した2019年4-12月期連結決算は、売上高が前年同期比0.9%増の1兆5821億6600万円、本業のもうけを示す営業利益が23.6%減の1196億5600万円、経常利益が20.5%減の1225億3500万円、純利益が19.1%減の864億4600万円と、大幅な減益となった。生産規模拡大に伴い、空港使用料や機材費、人件費など航空事業の営業費用が3.9%増の1兆2831億円となったことが影響した。

 2020年3月期通期の連結業績見通しは、前回2019年10月29日発表から据え置いた。売上高は2兆900億円(19年3月期比1.5%増)、営業利益は1400億円(15.2%減)、経常利益は1370億円(12.6%減)、純利益は940億円(15.1%減)を見込む。福澤氏は、新型コロナウイルスの影響が「精査できていない」と、見直しに至らなかった理由を語った。

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