エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2019年5月31日 09:58 JST

ハワイアン航空、羽田増枠後も成田維持 JALとの共同事業20年2月照準

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 ハワイアン航空(HAL/HA)は5月30日、2020年夏ダイヤで計画されている羽田空港の国際線発着枠増枠後も、成田-ホノルル線は見直さずに羽田を増便し、羽田発着のハワイ島・コナ線も現状を維持する考えを示した。また、2018年に始めた日本航空(JAL/JL、9201)とのコードシェア(共同運航)による収益は、全日本空輸(ANA/NH)と提携していたころと比べて25-30倍に増えたことを明らかにした。

羽田増枠後も成田路線を維持するハワイアン航空=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
コナは長期的戦略
JVは20年2月照準
787のWi-Fi「真剣に検討」

コナは長期的戦略

ハワイアン航空のパナジオトゥリアス上級副社長=19年5月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 米国運輸省(DOT)は現地時間16日に、羽田空港の昼間帯増便枠について、4社に12枠を暫定的に割り当てたと発表。このうちハワイアン航空には1枠が割り当てられ、羽田-ホノルル線を1日1往復増便を計画している。

 同社の羽田・成田路線は、羽田-ホノルル線が週11往復、羽田-コナ線が週3往復、成田-ホノルル線が週7往復。増枠後は羽田-ホノルル線が週18往復に拡大する。

 ハワイアン航空(HAL/HA)のテオ・パナジオトゥリアス・グローバルセールス&アライアンス上席副社長は、「羽田到着が午後5時30分より前の運航スケジュールが認められると、JALの国内線で西日本26都市へ乗り継げる」と語った。

 DOTに対しては、「3枠を要求したが配分は1枠で、大きな失望を覚えた」と、満額回答ではなかった点が不満であることは伝えたという。

 羽田増枠後も、成田路線は「一切変更しない」とし、現状を維持する考えを示した。また、2018年は火山噴火の影響で利用が落ち込んだ羽田-コナ線についても、週3往復を維持する計画だ。

 パナジオトゥリアス氏は、「コナには長期的な事業戦略を持っている。ホノルルではなく、コナという別の選択肢があることを訴求していきたい」と述べ、リピーターを中心に入国審査の待ち時間が短いコナの利便性などを訴求していく。

 座席供給量を示す有効座席マイル(ASM)ベースで、ハワイアン航空における日本路線の割合は23%、国際線では56%を占めるといい、今秋にはホノルル-福岡線を週4往復で再就航を目指す。現在の日本路線は5路線で、ホノルルから羽田と成田のほか関西と札幌へ乗り入れており、福岡再就航で日本路線は6路線になる。

JVは20年2月照準

JV実現を目指すJALとハワイアン航空=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2018年夏ダイヤ初日の3月25日からスタートしたJALとのコードシェアについては、2019年3月末時点の収益が、ANAと提携していた前年と比べて25-30倍になり、相互利用総数は8-10倍に増えたと発表した。

 現在申請しているJALとの日本-ハワイ線での独占禁止法適用除外(ATI)が認められた場合、両社で運賃や運航スケジュールをより密に調整できるようになる共同事業(JV)は、2020年2月に開始できる見通し。

 「ANAはユナイテッド航空(UAL/UA)と提携しており、競合関係にあったがJALはそうではなかった。ハワイ路線ではANAとユナイテッド航空(UAL/UA)、デルタ航空(DAL/DL)と大韓航空(KAL/KE)という2つのJVがすでにあり、利用者の利益につながる競争が重要だと考えている」(パナジオトゥリアス氏)と語った。

787のWi-Fi「真剣に検討」

ハワイアン航空の787-9のイメージイラスト(ボーイング提供)

 また、2021年には新機材としてボーイング787-9型機の導入を計画。日本路線は現在、エアバスA330-200型機(3クラス278席:ビジネス18席、プレミアムエコノミー68席、エコノミー192席)で運航しているが、これを順次置き換えていく。

 パナジオトゥリアス氏は「787を発注したのは、日本のビジネスにコミットしていることが表われている。日本の皆様のために発注した787だ」と、日本が機体の主要構造部位の35%を製造する787を導入する意義に触れた。

 ハワイアン航空は現行機のA330ではWi-Fi機器による機内インターネット接続サービスを提供していない。787での導入の可能性については、「お客様はあって当然という期待値になっており、真剣に検討しているが、非常に大きな投資だ。テクノロジーが進化しているので、タイミングも重要。最先端のものでなければならない」(パナジオトゥリアス氏)と、前向きに検討する姿勢を示した。

関連リンク
ハワイアン航空

羽田発着枠
羽田米国枠、デルタ航空が最多 米運輸省、12枠暫定割り当て 20年夏(19年5月17日)

ハワイアンとJAL
ハワイアン航空、福岡再就航へ 11月にも、5年4カ月ぶり(19年5月8日)
JAL、地方発チャーターでハワイ需要開拓 A380対抗、定期便は供給減(19年4月26日)
ハワイアン航空、787-9のシートメーカー選定 アディエントとコリンズ(19年4月10日)
JALとハワイアン航空、共同事業へ ATI申請(18年6月15日)
JALとハワイアン航空、コードシェア開始、成田2タミに集結(18年3月26日)
JAL、ハワイアン航空と提携 18年3月からコードシェア、特典航空券やマイルも(17年9月26日)

特集・JALとハワイアン強者連合誕生
前編 植木社長「大変厳しい競争になる」
後編 「破綻のまっただ中。お断りせざるを得なかった」

特集・ハワイアン航空羽田便で行くコナとホノルル
(1)スムーズな入国審査でハワイ入り
(2)こぢんまりしたコナからホノルルへ