エアバス, エアライン, 機体, 空港, 解説・コラム — 2019年2月16日 08:10 JST

「国際線もっと飛ばしたい」特集・エアアジア・ジャパン若菜社長に聞く今後の展開

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 2月1日に初の国際線となる中部(セントレア)-台北(桃園)線を開設したエアアジア・ジャパン(WAJ/DJ)。1日1往復で、既存の中部-札幌(新千歳)線と合わせて2路線となった。

 中部空港を拠点とするエアアジア・ジャパンは、当初計画より約2年遅れとなる2017年10月29日に就航。当初1日2往復だった中部-札幌線は、2018年7月20日から1日3往復に増便した。機材もこれまで2機だったエアバスA320型機が、年内に4機体制に増える。3号機(登録記号JA03DJ)は2月中にも到着予定で、座席数は3号機以降、従来より1列6席増の1クラス186席仕様になる。

当紙の単独インタビューに応じるエアアジア・ジャパン若菜社長=19年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアアジア・ジャパンの今後の路線や機材計画をはじめ、日本でのエアアジアの認知度などをジェニー・麻友子・若菜社長に聞いた。

 若菜社長は、エアアジア入社前からマーケティングやブランディングに長く携わり、マレーシアの本社に経営戦略・広報担当部長として2013年に入社。エアアジア・ジャパンの社長には、2017年12月22日付で就任した。

—記事の概要—
「国際線もっと飛ばしたい」
MRJに関心
認知度「まだまだ」

国際線もっと飛ばしたい

中部空港で台北行き初便DJ803便の乗客に記念品を手渡すエアアジア・ジャパンの若菜社長=19年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

── エアアジアに入社した経緯は。

若菜社長:知人の紹介で(グループCEOの)トニー・フェルナンデスと会い、2013年に入社した。マレーシアの本社でグループ全体のマーケティングやブランディング、インドの立ち上げ、フィリピンの買収などを担当し、エアアジア・ジャパンの就航もサポートしていた。

 エアアジアに入社するまで、エアラインの経験はなかったが、やったことがないからできないではなく、やってみるという気持ちで仕事をしてきた。

── エアアジア・ジャパンをサポートする側からトップに就き、就任当初はどのように感じたか。

若菜社長:社長就任は想定していなかったが、とにかく成功させたいという思いで、自分が力になれればと考えている。

 当初は日本独自のルールに、なぜなんだろうと感じるものもあった。例えば、安全は一番の重要課題で、各国にレギュレーションがある。ASEAN諸国の場合、それぞれちょっとずつ違うのだが、似ている部分もある。グループ本体からサポートする側も、日本のルールはすぐにはわからない部分もあるが、まずは基盤を造ることにした。

 エアアジア・ジャパンの社員も自分のチームになり、各チームとの距離感も近くなってきた。

── 初の国際線として、台北に就航した。

若菜社長:台湾は日本人にとって、ハワイに次ぐ人気のディスティネーションだ。エアアジア・グループは台湾に就航して10年ちょっとで、かなりの路線が就航しており、ブランドも浸透している。

 これは日本の反対側にもマーケットがあるということだ。台湾からのネットワークでお客様を運ぶことができる。グループのシナジーを生かして点と点をつなげていけるので、参入しやすい国際線だ。

 日本から台湾への需要だけではなく、台湾などからの訪日需要を取り込める。エアアジア・ジャパンの拠点である中部空港からは札幌に就航しているほか、タイ・エアアジアX(TAX/XJ)も中部に乗り入れている。そして、タイ・エアアジアXも札幌に就航しているので、バンコクから名古屋を訪れた後、札幌からバンコクへ帰国することもできる。

 このタイミングで就航したのは、旧正月の需要をキャッチしたいという狙いもあった。

中部空港を離陸するエアアジア・ジャパンの台北行き初便DJ803便=19年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

── 今後の新路線や増便はどのように考えているのか。

若菜社長:国内線と国際線の新規就航や増便を検討しているが、国際線をもっと飛ばしたい。グループのシナジーが生かせるからだ。

 機材は3号機が2月に来る予定で、2019年は既存の2機と合わせて新造機が4機になる。3号機目からは、座席を1列増やして186席にする。この仕様は、グループですでに何機か導入しているものだ。

── 中部空港のポテンシャルは。

若菜社長:ポテンシャルは高い。中部ベースのエアラインはうちが初めてで、LCCも他空港と比べると少ない。

 人口が少ないわけではなく、(必要な路線が)ないから関空や成田に行っている人を取り込める。これまで札幌しか飛んでいなかったが、お客様からは「気軽に旅行できると思っていなかった」という声をいただいており、もっと広げていきたい。

 中部空港とのパートナーシップも重要で、地元もサポートもあるので成長しやすい。例えばLCCターミナルはずっと一緒に意見交換してきた。とても良いパートナーとして、意見交換している。

MRJに関心

今後の戦略を語るエアアジア・ジャパン若菜社長=19年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

── 成長を続けていく上で、何が重要か。

若菜社長:オートメーションが大きいだろう。セルフチェックインやバゲージドロップなど、係員を置かずに手続きを進められる新しいテクノロジーだ。

 エアアジアは投資するところには投資する。なるべくお客様の負担を減らすようにしていきたい。私も本社にいた時から要望を出しており、昔よりはだいぶ良くなってきているが、まだまだ改善の余地がある。

── トニー・フェルナンデス氏は、ボーイング787型機の導入に関心を示している。

若菜社長:トニー本人は787が好きだが、エアアジア・グループでは250機以上のエアバス機を運航しており、新しい機材は大きなストラテジーシフトだ。

 全体的に見て、何が一番日本で効率が良いかを考える必要がある。目標はあるが、まずは台北線をしっかり飛ばし、3号機と4号機を確実に運航していく。

 一方で、MRJの導入を検討したいという声がある。グループで考えると(アジア諸国は)離島も多く、A320では着陸できない空港も多い。MRJを導入すれば、こうした空港への新路線も考えられる。

── 業界でパイロット不足が叫ばれているが、どのように対処していくか。

若菜社長:エアラインが増えていくので、継続的な問題だ。自分で育てることも検討しないといけない。

 グループとしては訓練施設があるので、エアアジア・ジャパン単独ではできないことも、グループとして対応できる。

認知度「まだまだ」

中部空港で台北線初便の乗客に手渡す記念品を手にするエアアジア・ジャパンの客室乗務員。国際線を中心とした新路線開設を目指す=19年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

── この間の年末年始の需要予測では、エアアジア・ジャパンだけが数値を公表しなかった(関連記事)。

若菜社長:お客様向けには混雑状況を自社で発信しており、数字を出すってなんだろう? というところから考えた。

 この情報を発信することで、お客様のベネフィット(利益)につながるのだろうか。私たちはダイレクトに発信している。

── メディアの立場からすると、「乗客が何百万人突破」といった企業にとってポジティブな情報だけを開示されても、信ぴょう性に疑問を感じる記者もいるのではないか。

若菜社長:シェアできる情報もあり、現在の搭乗率は年間約80%で、90%台を目指す。2018年は増便によりキャパシティーを増やしても、80%だった。

── 日本でのエアアジアの認知度はどう捉えているか。

若菜社長:グループが誇っているほどの認知度は、まだまだない。キャッチメント・エリア(の中部圏)では定着してきたことと、グループの日本路線も増えてきたので、全員で力を合わせて全国でのブランディングを進める必要がある。

 クアラルンプールはエアアジアの機体が並んで真っ赤だ。日本もエアアジアでいっぱいにしたいので、しっかりと基盤を築いていきたい。

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