空港 — 2019年2月15日 22:17 JST

仙台空港、ボディスキャナー導入 20日から国際線、検査動線刷新で時間短縮も

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 仙台空港を運営する仙台国際空港会社は2月20日に、国際線の保安検査場を刷新する。リニューアル後は、保安検査にボディスキャナーを導入し検査の精度向上を狙うほか、旅客動線を見直し検査時間の短縮を図る。リニューアルを控えた15日に、ボディスキャナーなどを報道関係者に公開した。

仙台空港国際線に導入するボディスキャナーを体験する利用客役の女性=19年2月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

—記事の概要—
非金属製品も検出可能
国内線同様の検査動線に

非金属製品も検出可能

 導入するボディスキャナーは独ローデ・シュワルツ社製の「QPS201」で、1秒未満でスキャンを完了し、4秒程度で画像をモニターに表示。利用客はポケットの中にあるものをすべてトレーに出して、検査を受ける。ハンドクリームやセラミックなど、非金属製品も検出できる。

 ボディスキャナーは、「ミリ波」と呼ばれる電波を照射。反射電波を受信し、異物を検知する。QPS201は、携帯電話の300分の1から1000分の1の電波を用いることで、非接触で人体表面の異物を検出できる。国土交通省航空局(JCAB)によると、ミリ波はレントゲンなどのX線と異なり、照射されても遺伝子に影響はないという。

 他空港で導入している、米L3社の「Provision 2」や独スミス ディテクション社の「eqo(エコ)」など、手を上げた状態で検査を受ける機器とは異なり、QPS201は手を下ろした状態で検査が可能。仙台国際空港会社によると、利用客への負担が少ないことから導入を決めたという。また、手を下ろした姿勢が難しい利用客や、身長が110センチ未満の利用客用に、従来の金属探知機も併設する。

 QPS201の導入は、国内では静岡と北九州に次ぎ3例目となる。

 JCABは2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、保安検査の高度化を図っている。ボディスキャナーは、今年9月から開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の開幕前に、爆発物の自動検知器機などは五輪開催前の導入を進めている。

仙台空港国際線に導入するボディスキャナーで検出した異物を確認する係員(右)=19年2月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

仙台空港国際線に導入するボディスキャナーを体験する利用客役の男性=19年2月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

仙台空港国際線に導入するボディスキャナーで検出した異物をトレイに出す利用客役の男性(左)=19年2月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

仙台空港国際線に導入するボディスキャナーで検出した異物=19年2月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

国内線同様の検査動線に

 国際線の保安検査場動線は、搭乗券の確認と保安検査の2段階に分けることで、時間短縮を狙う。利用客は検査場入り口で、係員に搭乗券とパスポートを提示。その後内部に進み、手荷物を取り出して保安検査を受ける。

 リニューアル前は、利用客が内部に進み、手荷物を取り出した後に係員に搭乗券などを提示し、保安検査を受けていた。リニューアル後は、搭乗券の確認と保安検査を分けることで、時間短縮につなげる。

 2段階でのチェックは、2018年4月25日から国内線でも導入済み。

 また、保安検査場の入り口に備える机を増加。旅客が検査の準備に必要なスペースを確保する。机と検査装置を連続させることで分断を解消し、検査の所要時間短縮を図る。

 リニューアル前は、手荷物検査用のトレイを置く机と検査装置が分断されており、検査装置の直前で荷物やトレイを持ち上げる必要があった。

国内線と同様に入り口で搭乗券を確認する仙台空港国際線の保安検査場動線=19年2月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

机と検査装置を連続させリニューアルする仙台空港国際線の保安検査場動線=19年2月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

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