エアライン, 官公庁 — 2018年3月22日 22:30 JST

JALとANA、4度目のなでしこ銘柄 経産省と東証、48社選出

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 経済産業省と東京証券取引所は3月22日、女性の活躍推進に優れた企業を選定する2017年度の「なでしこ銘柄」48社を発表した。海運業・空運業部門では日本航空(JAL/JL、9201)とANAホールディングス(9202)を選出した。経産省と東証は中長期の企業価値向上を重視する投資家に、魅力ある銘柄として紹介する。JALは2014年度から4年連続、ANAHDは2015年度から3年連続4度目の選出となる。

ダイバーシティ経営企業に選出された各社の代表者=18年3月22日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
3547社対象に調査
JAL:「ダイバーシティ経営企業」とのダブル選出
ANA:女性管理職比率12.6%

3547社対象に調査

従業員数など両社の女性比率(経産省の資料からAviation Wire作成)

 女性活躍推進に優れた上場企業を、なでしこ銘柄として投資家に紹介することで、表彰各社の女性活躍への取り組みを加速させることを狙う。2012年度に開始し、当初は東証一部の上場企業を対象としていたが、2015年度から東証二部、マザーズ、JASDAQを含む全上場企業に拡大。今年度は3547社を対象に調査し、451社から回答を得た。

 JALとANAHD以外の選定企業では、キリンホールディングス(2503)やイオン(8267)など14社が初選出。東京急行電鉄(東急、9005)とKDDI(9433)の2社は、2012年度から6年連続で選出された。

 政府は女性活躍推進法の成立に伴い、従業員が301人以上の企業や団体に対し、女性管理職の割合を2020年までに30%以上に引き上げる目標を掲げている。301人以上の企業・団体は女性の活躍推進に向け、行動計画の策定などが新たに義務づけられている。

JAL:「ダイバーシティ経営企業」とのダブル選出

 JALは2015年11月、女性活躍支援の研究組織「JALなでしこラボ」を設立。子育てと仕事の両立など、JALグループ全体で男女を問わず組織横断的に課題の共有や人材活用の可能性を探り、研究成果をグループで共有している。担当役員にはJAL初となる女性の常勤取締役で、客室乗務員出身の大川順子専務を据えている。

 2017年11月からは3期目を迎え、2期生が提案した、お年寄りが運動を続けるモチベーションを維持する「介護チャーター」の実現を目指している。

 またJALは、経産省が表彰する「ダイバーシティ経営企業」にも選出された。性別や年齢、国籍、人種、障がいの有無など多様(ダイバーシティ)な人材を活かす企業を選出するもので、2017年度は「働き方改革の推進」「経営層への多様な人材の登用」「キャリアの多様性の推進」の3点を重点テーマに設定した。

 JALは、海外拠点の営業所長に海外採用のスタッフの登用や、グローバル人材の育成などが評価された。

 大川専務は多様性について、「『外国人』や『障がい者』を意識することなく、1人ひとりの個性として見ている」と述べた。なでしこ銘柄とダイバーシティ経営企業の“ダブル選出”となったことについては、「素直にうれしい」と喜びをあらわにした。

 3期目で実現を目指す介護チャーターについては、なでしこラボのメンバーのほか、社員を巻き込んで、中身のあるものにしたいとした。じっくりと育てる一方で、スピード感も大事だと述べ、「暑くなる前」(大川専務)の実施を目指す。

なでしこ銘柄の認定証を手にするJALの大川専務(中央)=18年3月22日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ANA:女性管理職比率12.6%

 ANAHDは2014年2月、「ポジティブアクション宣言」で女性活躍推進を経営戦略と位置づけた。女性社員のキャリア開発や意識改革、働き方改革に重点を置いている。2664人の管理職(前年度比109人減)のうち女性は335人(3人減)で、女性比率は12.6%。前年度と比較し、0.4ポイント上昇した。

 また、ANAグループ各社に女性管理職の活躍を推進する「ANA-WINDS」を設置し、グループ全体でD&I(ダイバーシティ&インクルージョン、多様性と受容)の取り組みを強化している。

 ANAは多様な人材を活用するため、人材育成の組織「ANA人財大学」を2007年に設置している。

関連リンク
経済産業省
日本取引所グループ
日本航空
ANAグループ

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