エアライン, 企業, 官公庁 — 2016年3月16日 21:45 JST

経産省と東証、なでしこ銘柄選出 空運はJALとANA

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 経済産業省と東京証券取引所は3月16日、女性の活躍推進に優れた企業を選定する2015年度の「なでしこ銘柄」45社を発表した。海運業・空運業部門では日本航空(JAL/JL、9201)とANAホールディングス(9202)を選出した。経産省と東証は中長期の企業価値向上を重視する投資家に、魅力ある銘柄として紹介する。JALは2014年度に続き2年連続、ANAHDは2013年度以来2年ぶり2度目の選出となる。

なでしこ銘柄に選出された45社の代表者=16年3月16日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 女性活躍推進に優れた上場企業を、なでしこ銘柄として投資家に紹介することで、表彰各社の女性活躍への取り組みを加速させることを狙う。2012年度に開始し、当初は東証一部の上場企業を対象としていたが、2015年度から東証二部、マザーズ、JASDAQを含む全上場企業3455社に拡大した。

 JALとANAHD以外の選定企業では、日本たばこ産業(2914)や住友林業(1911)、富士通(6702)など計17社が初選出。日産自動車(7201)と東京急行電鉄(東急、9005)、KDDI(9433)の3社は、2012年度から4年連続で選出された。

 政府は女性活躍推進法の成立に伴い、2020年までに従業員が301人以上の企業や団体に対し、女性管理職の割合を30%以上に引き上げる目標を掲げ、最終的に50%を目指すとしている。301人以上の企業・団体は、2016年4月1日から女性の活躍推進に向け、行動計画の策定などが新たに義務づけられる。

従業員数など両社の女性比率(経産省の資料からAviation Wire作成)

JAL:女性活躍支援の研究組織設立

 JALは2015年11月、女性活躍支援の研究組織「JALなでしこラボ」を設立。子育てと仕事の両立など、JALグループ全体で男女を問わず組織横断的に課題の共有や人材活用の可能性を探り、研究成果をグループで共有する。担当役員にはJAL初となる女性の常勤取締役で、客室乗務員出身の大川順子専務を据えている。

 このほか、経営ビジョンや経営方針、中期経営計画で女性活躍推進について明示している点や、女性活躍推進に向けた方針、女性管理職比率の目標を策定している点などが評価された。

 JALの大川専務は、2年連続でのなでしこ銘柄選定後の社内の変化について、「(なでしこ銘柄)選定後に、なでしこラボ発足の機運が高まった」と述べ、社内で横断的に活動していることが最大の変化だという。

 なでしこラボについては、「女性が活躍していると思われがちだが、男性の力やサポートがないと成功しない。(男女問わず)全員でやっていく必要がある」(大川専務)と、男性の必要性も強調。「男女双方の意識改革」と「ワークスタイルの変化」を2本柱に活動を続けていくと説明した。

ANA:女性管理職比率が増加傾向

 ANAHDは2014年2月、「ポジティブアクション宣言」で女性活躍推進を経営戦略と位置づけた。女性社員のキャリア開発や意識改革、働き方改革に重点を置いている。2855人の管理職のうち女性は312人で、女性比率は10.9%。年々増加しているという。

 このほか、経営ビジョンや経営方針、中期経営計画で女性活躍推進について明示している点や、女性管理職比率の目標を策定している点などが評価された。

 また、経産省が表彰する「ダイバーシティ経営企業」に、ANAHD傘下の全日本空輸(ANA/NH)が選出された。応募企業は148社で、表彰企業は34社。

 性別や年齢、国籍、人種、障がいの有無など多様(ダイバーシティ)な人材を活かす企業を選出するもので、2012年度から表彰開始。2015年度からは「長時間労働是正などの働き方改革」「女性の職域拡大・役割の高度化」「外国人の活躍推進」の3点を重点テーマに設定した。

 ANAは多様な人材を活用するため、人材育成の組織「ANA人財大学」を2007年に設置している。

なでしこ銘柄に選ばれたJALの大川専務(左から2人目)=16年3月16日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ダイバーシティ経営企業の認定トロフィーを持つANAの國分裕之ANA人財大学長(左)となでしこ銘柄の認定証をもつ河本宏子常務=16年3月16日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

関連リンク
経済産業省
日本取引所グループ
日本航空
ANAホールディングス
全日本空輸

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