エアライン — 2017年11月9日 20:58 JST

JAL、介護チャーター実現へ なでしこラボ3期が始動

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 日本航空(JAL/JL、9201)は11月9日、女性をはじめとする多様な人材活用の研究組織「なでしこラボ」の第3期メンバーのキックオフイベントを、東京・天王洲の本社で開いた。3期では、今年7月まで活動してきた2期生が考案した「介護チャーター」の実現を目指す。

介護チャーター実現に向けたプランを説明するJAL国際路線事業部の三浦さん=17年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
東京と大阪で活動
介護チャーター実現目指す

東京と大阪で活動

3期目のなでしこラボについて期待を寄せるJALの大川専務=17年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 なでしこラボは2015年9月設立。子育てと仕事の両立、介護、ダイバーシティ(多様性)など、JALグループ全体で男女を問わず組織横断的にメンバーが集まり、課題の共有や人材活用の可能性を探っている。3期は7人1組で構成するチームを3つ立ち上げ、メンター(サポート役の指導者)が1人ずつ加わる。

 これまでの活動拠点は東京のみだったが、今期は東京に2チーム、大阪1チームとした。その上で、介護セミナーを福岡で開催するなど、各地の社員に活動を知ってもらえる仕組みを取り入れた。

 3チームは、スタート時や2018年7月に開く研究発表会前など、節目で東京に集まって情報収集などを進め、残りの期間は東京と大阪で活動していく。

 2期では、社内でさまざま提案や活動をする際に障害となる「バイアス(思い込み)」がテーマの一つであったことから、3期はバイアスをどう受け止めるかなどをテーマに、研究に取り組む。

介護チャーター実現目指す

なでしこラボ3期で介護チャーター実現を目指すJAL国際路線事業部の三浦さん=17年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 このほかに、2期生が携わった介護チャーターの運航実現を目指す。1期生による介護に関する研究を2期でも継続し、今回の3期で実現させる。

 お年寄りが運動習慣を身につけられる介護施設を2期メンバーが訪れた際、施設を利用するお年寄りから、旅行が好きだったがひざを悪くして諦めていると聞いたことから発案。お年寄りが運動を続けるモチベーションを維持するきっかけになるとして、チャーター便を飛ばすことを7月の研究発表会で会社に持ちかけた。

 発表会に出席した植木義晴社長(65)は、「介護チャーターやろうよ」と即決。2期で介護チャーターを企画したチームから、JALの国際路線事業部の三浦加奈子アシスタントマネジャー(35)が3期生として残り、活動を続けることになった。

 三浦さんは商社からJALへ2014年に転職。空港の地上係員やセールスを経験後、現在の職場に配属された。2期目の活動を振り返った三浦さんは、「なでしこラボの活動が、社内で認識されていないと感じることがありました。3期は地方も巻き込んで、発信力を高めたいです」と意気込む。

 今後は来春以降の介護チャーター実現に向け、三浦さんは他部署との調整などを進めていく。

大川専務(後列中央)となでしこラボ3期メンバー=17年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 なでしこラボの担当役員を務める大川順子専務(63)によると、8日に1期生から3期生が揃い、これまでの経験などを語り合う場を設けたという。大川専務は「10年のうち、最初の3年間と後半7年間という分け方をしており、会社に対して発言していいんだ、それが良いことなんだという雰囲気に、3年間で変化しました」と手応えを感じていた。

 「メンバーが以前よりも自信を持っており、喜びが自信につながることが、活動のベースになりますね」(大川専務)と話す。「チャーターを1機飛ばすのは大変なこと。勇気と覚悟と責任で、実現していってほしいです」と、チャーター実現を全社的にバックアップしていくという。

 9日のキックオフイベントでは、NPO法人J-Winの内永ゆか子理事長が、ダイバーシティ・マネジメントについて講演。内永理事長は「女性だから起用されたとなると、抵抗感を感じる人もいますが、経緯よりも結果を残すことが大事」と、結果を重視することを求めた。

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日本航空

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