エアバス, エアライン, 機体, 空港 — 2016年2月15日 19:20 JST

エアアジア・ジャパン、A330でハワイ就航視野 運航開始は今夏に

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 中部空港(セントレア)を拠点に就航準備を進めるエアアジア・ジャパン(DJ)の井手隆司会長は2月15日、今夏の就航を目指すことを明らかにした。訪日(インバウンド)需要の取り込みを意識した事業を展開していく。

 機材はエアバスA320型機(1クラス180席)に加え、2018年からは双通路機のエアバスA330-300型機(現行仕様は377席:ビジネス12席、エコノミー365席)を導入。2019年にハワイ、2020年には米国西海岸への就航を目指し、日本からの渡航(アウトバウンド)需要取り込みも狙う。

—記事の概要—
16日から訓練飛行へ
ハワイ・シアトル就航、台北拠点化

16日から訓練飛行へ

事業計画を説明するエアアジア・ジャパンの井手会長=16年2月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアアジア・ジャパンは当初、今年4月の就航を予定していた。ところが運航体制が整わないことや、2015年12月の経営陣交代などにより、4月の就航が難しくなっていた。

 「エアアジアの日本支社を作っているようだった。日本の航空会社を作らなければならない」と井手会長は就任当初の状況を説明。2015年10月16日にA320の初号機(登録番号JA01DJ)が到着して以来、一度も飛行していない背景については、「航空法に定められた規定が(当局から)認められておらず、体制が整っていない」と語った。

 初号機到着前の10月6日に国土交通省航空局(JCAB)から航空会社として就航するために必要となる、航空運送事業の許可(AOC)を取得したことについても、「順序が逆。AOCは生産体制などの承認を得ただけ。飛ばすための実力を持っていなかった」と、旧経営陣のやり方に疑問を呈した。

 到着後初となる実機による訓練飛行は、2月16日に行う計画だという。

ハワイ・シアトル就航、台北拠点化

中部空港に着陸し駐機場へ向かうエアアジア・ジャパンのA320初号機=15年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 井手会長は2020年までの戦略として、訪日外国人の取り込みを意識した事業展開を図ると説明。今年7月から8月までに就航後は、2017年に黒字化、2018年に成田就航とA330投入、2019年には中部と成田からホノルル就航、2020年に中部と成田からシアトルへの就航を狙う。

 今夏の就航時は、中部を拠点に札幌と仙台、台北へ路線を開設。1日2往復ずつ運航する。年末までの乗客数は15万人、1年間では30万人を見込む。機材は3月から4月に2号機を受領し、2機体制でスタートする。

 2017年はA320を6機体制とし、中国の天津と無錫(むしゃく)、マカオ、ソウル、グアムへ就航。天津は北京、無錫は上海、マカオは香港の旅行者を取り込むもの。上海や香港のような混雑空港を避け、近郊都市を活用することで中部から8路線を飛ばす計画となっている。また、単年度黒字も2017年度達成を目指す。

エアアジア・ジャパンが導入を目指すA330=15年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2018年はA320を9機、A330を2機に拡大。中部からA330でシンガポールへ就航し、成田を第2拠点化。A320を3機駐機し、成田から天津と無錫、台北、マカオへ就航させる。

 2019年はA320を12機、A330を4機とし、中部と成田からホノルルへ就航。台北を拠点化し、以遠権でシンガポールとベトナムへ路線を新設する。

 2020年にはA320を14機、A330を6機の20機体制を構築。中部と成田から米国西海岸のシアトルへ就航し、成田と台北からソウルに乗り入れる。2020年時点で中部からは1日30往復、成田を合わせると40往復を運航し、売上高は500億円、営業利益率15%、株式公開を目指す。

 エアアジアグループでは、中長距離路線をA330で運航するエアアジアX(XAX/D7)があるが、エアアジア・ジャパンは短距離に加えて中長距離も1社で担う。

 「東南アジアからの訪日需要の取り込みはA320。日本からハワイや北米への渡航需要はA330」(井手会長)と、機材を使い分ける姿勢を示した。一方、エアアジアXが準備を進めるマレーシアのクアラルンプールから関西空港を経てホノルルへ向かう路線については、「我々が中部と成田からホノルルへ飛ばすのも、エアアジアXが関空からの計画があるから」と述べ、将来的にグループ内での調整も検討するという。

 航空会社としての地元・愛知県や中部国際空港会社への要望としては、LCCターミナルの早期実現のほか、「セントレアは日本の中心」として中部を軸とした広域観光連携の拡大を求めた。

*詳報はこちら。
特集・井手会長が描く新エアアジア・ジャパン
前編 旧体制「飛ばす実力持っていなかった」
後編 ホノルル就航、そして東証1部上場

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特集・井手会長が描く新エアアジア・ジャパン
前編 旧体制「飛ばす実力持っていなかった」(16年2月16日)
後編 ホノルル就航、そして東証1部上場(16年2月23日)

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