エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2018年6月4日 20:39 JST

JAL大西前会長「LCCと言わないで」中長距離担う新会社、価値創造に挑戦

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 日本航空(JAL/JL、9201)の大西賢前会長は現地時間6月4日、2020年をめどに中長距離路線に参入する新航空会社について、運航コストを抑えながらも、既存のLCC(低コスト航空会社)の概念にとらわれない航空会社を目指す姿勢を示した。

JALの新会社が使う787-8(写真はJALの787-8)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 シドニーでAviation Wireの取材に応じた大西氏は、成田空港を拠点にボーイング787-8型機で運航する新会社について、「LCCではない。低コストは追求するが、“LCC”という一つの言葉でくくって欲しくない。さまざまなサービスにチャレンジする航空会社だ」と語った。

 「JAL本体がビジネスモデルを大きく変えるのは、ものすごくリスクが大きい。多くのお客様を失いかねず、なかなかできないが、スタートアップの航空会社であればチャレンジできる。われわれも、そこから学ぶことになるかもしれない」と、新会社の意義を強調。コストを抑えて低価格運賃を実現するだけではなく、利用者の潜在的なニーズに応える航空会社を目指す。

 海外の新興航空会社では、LCCとFSC(フルサービス航空会社)の間に位置するサービスを提供する米国のジェットブルー(JBU/B6)が「ハイブリッドエアライン」、ベトナム初の民間航空会社であるベトジェット航空(VJC/VJ)は「ニューエイジ(新世代)エアライン」を名乗っているが、世界的に定着しているとは言いがたいのが現状だ。

 日本では、LCCの訳語として「格安航空会社」があてられることが多い。しかし、「格安」が本来の「価値の割に値段が安い」という意味よりも、「安かろう悪かろう」と受け取れる文脈で扱われるケースもみられることから、「格安航空会社」という表現に嫌悪感を抱くLCC経営陣もいる。

 JALは新会社を連結子会社とし、7月に準備会社を設立する。5月14日の新会社発表で、LCCに替わる新たなビジネスモデルを名付けられなかったJALは、社名だけではなく、利用者にわかりやすいブランディングも不可欠と言えそうだ。

*大西前会長へのインタビュー詳報はこちら

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