ボーイング, 企業, 機体 — 2017年2月13日 20:10 JST

川崎重工、777X向け新工場完成 6月稼働へ

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 川崎重工業(7012)は2月13日、ボーイング777Xの胴体を製造する新工場の竣工式を開いた。名古屋第一工場(愛知県弥富市)内に建設を進めてきたもので、自動で穴開け位置を認識する自社製ロボットや、リベット打ちの対象範囲が拡大したオートリベッター(自動打鋲機)など、自社開発技術を駆使した最新設備を投入し、自動化を進めてコストダウンを図る。

川崎重工の名古屋第一工場777X組立工場(同社提供)

777-9のイメージイラスト(ボーイング提供)

 川重は777Xの前部胴体と中部胴体、主脚格納部、後部圧力隔壁、貨物扉の製造を担当。新工場では、前部胴体と中部胴体のパネル組立を行う。

 新工場は2015年9月に着工し、名古屋第一工場北工場の敷地内に建設を進めてきた。建物延床面積は約1万3000平方メートル(全長202メートル、幅53メートル、高さ18メートル)で、現在は6月の製造開始に向け、生産設備の設置作業が本格化している。

 主な設備として、胴体外板(スキン)を継ぎ合わせて自動締結する「スキンスプライス・リベッター」(パネル結合用自動打鋲機)、胴体外板と補強部品(フレーム)を自動締結する「フレームアッセンブリ・リベッター」(フレーム結合用自動打鋲機)、胴体外板と補強部品をボルトなどで結合するための穴を自動で穿孔(せんこう)する「ドリルロボット」(大口径穿孔用ロボット)、胴体外板と補強部品を自動で仮締結する「タッキングロボット」(フレーム仮結合用ロボット)を導入する。

 いずれも、自社開発した画像センシング技術や制御技術などを駆使した最新設備。リベッターは、従来よりも複雑な部位をリベット止めしたり、狭い場所で正確な動きが可能になった。ドリルロボットは、新開発した画像センシング技術で正確な位置への穴開けを実現し、タッキングロボットは狭い場所で正確な作業が出来る。これらの新設備を投入することで、工程の自動化を進めていく。

 777Xは777-8と777-9の2機種で構成。777-9は今年から生産を開始し、初号機の引き渡しは2020年を予定している。3クラスの標準座席数は777-8Xが350-375席、777-9Xが400-425席、航続距離は777-8が8700海里(1万6110キロメートル)、777-9は7600海里(1万4075キロメートル)を計画しており、エンジンは米GE製GE9Xを2基搭載する。

 日本の製造分担割合は、現行の777と同じ主要構造部位の約21%。川重のほか、三菱重工業(7011)と富士重工業(7270)、新明和工業(7224)、日本飛行機の5社が参画する。

 担当部位も777を基本的に踏襲。川重が前部胴体と中部胴体、主脚格納部、貨物扉を担当するほか、三菱重工が後部胴体と尾部胴体、乗降扉を、富士重工が中央翼、中央翼と主脚格納部の結合、主脚扉、翼胴フェアリング(前部)を、新明和が翼胴フェアリング(中・後部)を、日飛が主翼構成品の製造を担当する。主翼の炭素繊維複合材は、東レ(3402)が供給する。

 エンジンのGE9Xについては、IHI(7013)が低圧タービン部品などを担当。内装では、ジャムコ(7408)がラバトリー(化粧室)を独占受注している。

 日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が、2014年7月31日に20機の777-9を777-300ERの後継機として確定発注。今月に入り、シンガポール航空(SIA/SQ)が777-9を20機発注している。

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川崎重工業
Boeing
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