日本航空(JAL/JL、9201)の新人客室乗務員(CA)有志によるハンドベル演奏チーム「JALベルスター」の練習が、今年も始まった。
結成は1995年で、毎年メンバーを変えながら昨年20周年を迎えた。節目の翌年ということもあって注目度の高さからか、昨年より20人ほど多い約60人が応募。入社1年目から3年目までの新人CA8人が選ばれ、10月8日の初顔合わせを迎えた。
ベルスターは慣例として前年のメンバーが最低1人は翌年も参加し、演奏技術などを継承してきた。今年は入社2年目の木藤(きどう)咲月さんが昨年に続いて参加。前回は入社1年目では唯一のメンバーだった木藤さんは昨年、市販の楽譜などを参考に、ディズニーのヒットアニメ映画『アナと雪の女王』の楽曲「Let It Go(レット・イット・ゴー)」をハンドベル用にアレンジするなど活躍した。
半分は新曲挑戦
今年のメンバーは木藤さんのほか、入社3年目の澤井紗世さん、入社2年目の鈴木友理江さんと井口くるみさん、荒井真衣さん、森田絵理さん、入社1年目の赤波江(あかばえ)聖歌さんと吉永恵子さんで、全員が楽器の演奏経験を持つ。トランペット経験者の赤波江さんを除く7人はピアノ経験者で、今も演奏を続けている人も多い。
舞台で披露するのは、クリスマスソングを中心に8曲。昨年の新曲はレット・イット・ゴーのみだったが、今年は半分の4曲を新曲にし、全員でアレンジに挑戦している。
「1年ぶりにハンドベルを演奏して、クリスマスが近づいてきたんだなと感じました」と話す木藤さんは、入社前からベルスターに憧れていた。木藤さんは昨年初めてハンドベルの楽譜アレンジを手掛けたが、今年は赤波江さんが五線紙を自分で作るなど、手作りの度合いが増したという。
赤波江さんは、「トランペットでは旋律を吹くことが多かったのですが、ハンドベルはメロディーを支える楽しさがあります」と、これまで演奏してきた楽器とは違った魅力を発見していた。
今年の楽譜作りで特徴的なのは、全員のスマートフォンにインストールされたピアノのアプリだ。練習に使うオフィスの部屋には、鍵盤楽器がない。今も家でピアノを弾く井口さんが、曲を採譜する際に鍵盤があるほうが便利だと、メンバーに紹介したという。スマートフォンとともに、乗務でも使用しているアップルのiPad miniで過去の演奏を収めた動画を見て、アレンジや練習に役立てていた。
1回目の練習の感想を「楽譜に釘付けでした」と笑う井口さんは、本番ではメンバーとアイコンタクトしながら、観客の表情も見ながら演奏できるようになりたいという。
チームワークで良い演奏目指す
高校の部活動のオーケストラからバイオリンを始め、大学時代もオケにいた澤井さんは、CAになってからも社会人オケに入団したいと思っていたが練習時間が合わず、家でピアノを弾く日々を過ごす。「誰かと一緒に演奏したかったです」という澤井さんにとって、久々にアンサンブルに参加する機会になった。
JALは2012年のクリスマスに、羽田空港の国内線第1ターミナルで総勢158人のオーケストラと合唱団が突然イベント広場に現れ、ベートーベンの交響曲第9番を演奏するフラッシュ・モブと、ベルスターによるクリスマスコンサートを同時開催した。この動画を見て森田さんはベルスターに参加したいと思ったという。「自分のパートは休符で間があくことがあって難しいのですが、力を合わせてがんばりたいです」と抱負を話す。
ハンドベルで求められるのは、普段の乗務と同じチームワークだ。荒井さんは「3本のベルを持つので代わる代わる演奏するのが大変でしたが、チームワークで良い演奏にしたいです」と、息の合った演奏を目指す。
とは言え、今回は最初の練習。「自分の音を出すことで精一杯でした」という鈴木さんは、「音が合うとワクワク感がありますね」と、全員の息が合わないと曲が成立しないハンドベルの醍醐味を楽しんでいた。
ベルスターは乗務の合間に8人が集まるので、本番までに8回しか全員で合わせる機会がない。新曲が半分を占めるプログラムに挑む2015年のベルスター。木藤さんは、「同じ曲も違うアレンジに挑戦するので、昨年とは違った演奏を楽しんでいただけると思います」と、前回以上の演奏に向けて、決意を新たにしていた。
公演は11月28日と29日の函館を皮切りに、12月12日と13日に名古屋、20日と21日に札幌と周り、24日と25日の羽田がラストとなる。
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