エアライン, 官公庁 — 2015年1月31日 15:10 JST

エア・ドゥ、安全統括管理者の常務更迭へ 訓練不足で機長昇格問題

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 エア・ドゥ(ADO/HD)は1月30日、不適切な操縦をした副操縦士を機長昇格させたことが発覚し、国土交通省から事業改善命令を受けていた問題で、安全部門と技術部門の責任者を兼務する進藤和比古常務取締役を更迭するなど、再発防止策を同省に提出した。

再発防止策を国交省に提出したエア・ドゥ=14年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2014年9月、機長初期訓練中の運航乗務員(当時、副操縦士)が新千歳空港への着陸進入中、高揚力装置使用時の運用限界速度の超過、管制空域での速度制限超過、適切な着陸形態が整わないままの進入の継続、対地接近警報装置の作動など、不適切な操縦をした。

 訓練を担当した教官は、訓練の評価を「良好」として記録。会社側は教官から運用限界速度の超過のみ報告を受け、副操縦士は訓練を修了し、9月26日に機長昇格した。その後、11月に国交省の航空局(JCAB)から当該便の昇格プロセスについて、同社に照会があり、12月に教官の報告とは異なり、副操縦士が不適切な操縦をしていたことが発覚した。

 再発防止策では、訓練教官の任用プロセスを厳格化。任用時に評価する人数を、訓練審査部長と乗員部長ら4人から7人に増員し、評価項目も4項目から5項目に増やす。

 これまでの評価項目は、任用資格確認と機長発令後の審査状況、機長発令後の定期訓練状況、日常運航の職務状況だったが、人物特性を追加。公平さや誠実さ、謙虚さ、信頼感、責任感、客観性、積極性、学ぶ意欲、リーダーシップについても評価する。

 訓練教官に対して従来実施している定期訓練や定期査定に加えて、教官として適格であることも確認する。

 路線訓練の再開後1年間は、すべてての路線訓練便で飛行データを用いた分析を実施。訓練が適切であったかを、教官とは別部署で検証する。

 また、進藤常務を安全管理の責任者である安全統括管理者から2月1日付で更迭し、取締役に降格させる。後任の安全統括管理者には、全日本空輸(ANA/NH)のフライトオペレーションセンター先任機長室主幹の龍神恒夫氏、技術本部長に同社総合安全推進会議副議長の尾曲靖之氏が就任。ANA出身の両氏が執行役員として安全管理部門と運航部門の責任者を分担し、兼務を解消する。

 斎藤貞夫社長をはじめ、5人の役員については役員報酬を2月から3カ月間削減。斉藤社長は40%、福永法弘副社長と大人形綱邦専務、進藤常務は30%ずつ、原高太朗取締役は20%をそれぞれカットする。

関連リンク
エア・ドゥ
株式会社AIRDOに対する事業改善命令について(国土交通省)

国交省、エア・ドゥに事業改善命令 訓練不足で機長昇格(14年12月19日)