エアライン — 2014年11月21日 07:20 JST

乗務3万時間のANA客室乗務員 「次は3万3333時間」

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 3万時間──。1250日、約3年半に相当する時間を、客室乗務員(CA)として乗務した人がいる。井下敦子(いのした・あつこ)さん。全日本空輸(ANA/NH)に1975年4月に入社したCAだ。

「仲間にも家族にも感謝したい」と話す井下さん=11月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 井下さんは11月20日に羽田へ到着する、ロンドン発NH278便に乗務、乗務時間3万時間を達成した。到着後、ANAのオフィスで同僚や関係者がお祝いのセレモニーを開催した。

 セレモニーは井下さんには内緒で開催。オフィスでは多くの同僚と、3万時間を祝うボードとくす玉が歓迎、井下さんはオフィスに入ると驚いた表情を見せた。井下さんを出迎えた同僚の中には、涙ぐむ人も見受けられた。

 3万時間を達成した井下さんは「とにかく『感謝』のひとこと。仲間にも支えられたし、留守宅の家族にも感謝したい」と、同僚や家族に対する感謝を表現。職場環境も重要だったようで、「居心地のいい職場。人間関係でストレスを感じたことがなかった」からこそ達成できたのだという。

 印象に残っているフライトとして、育児休業明けのワシントン線での乗務を挙げ、「制服に腕を通したときに『子どものためにもがんばらないと』と思った」と振り返った。

 ロンドン出発前の時点で、2万9995時間。達成の瞬間はロシアを縦断する欧州とアジアの境目、ウラル山脈上空付近だったという。「休憩時間だったので、心の中で乾杯した」井下さん。機長は知っていたが、あえて淡々としていたようだ。

 羽田到着後、飛行機を降りてからクルー全員が花道を作って祝福。その際、折り紙でできた花やメダルをプレゼントされた。NH278便で一緒に乗務したCAの1人が呼びかけ、ロンドン滞在中にみんなで制作したのだそうだ。

 達成への意識はまったくなかったものの、達成したら「欲が出た」井下さん。2015年3月で定年退職するが、4月以降もセーブしながら乗務を続けるという。次の目標は「キリがいいので、3万3333時間」に設定した。

 1970年にTBS系で放送されたドラマ『アテンションプリーズ』を観てCAになることを決意した井下さん。これからCAを目指す人に対しては「心も体も健康が第一。人に何かをすることが楽しいと思える人にチャレンジしてもらいたい」とエールを送った。

 3万時間を超える乗務は、日本のCAでは初めて。井下さんに次いで3万時間を達成するのは、いつ、誰になるのだろうか。

同僚から祝福される井下さん=11月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

井下さんのために用意されたくす玉=11月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

くす玉に驚く井下さん=11月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「祝 井下さん30000H!」とカードで祝福するNH278便の乗務員たち=11月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

同僚たちが作る花道を通る井下さん=11月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

井下さんにはお祝いの花をプレゼント。首から下げているのは乗務員たちが制作したメダル=11月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

乗務員たちとのブリーフィングであいさつする井下さん=11月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

関連リンク
全日本空輸

ANA、羽田-中部線開設 CAは新制服着用(14年10月27日)
ANA、定年機長の「親子ラストフライト」 副操縦士は息子(14年8月29日)
「自分以外は皆手本」CA内定者が就活語る ANAエアラインスクールでセミナー(14年8月26日)
「AKBらしい衣装選んだ」AKBとANA客室乗務員、スズランのしおりで患者激励(14年6月11日)
「急がず、休まず、前へ」JALエアラインアカデミー第2期が閉講式(14年11月2日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post
キーワード: