エアライン — 2014年8月29日 09:39 JST

ANA、定年機長の「親子ラストフライト」 副操縦士は息子

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 全日本空輸(ANA/NH)で多くの後進を育ててきた機長が、8月30日に定年退職でラストフライトを迎える。寺西一郎さん、1954年9月10日生まれの59歳。機長とコンビを組む副操縦士は、寺西一桂(いっけい)さん、1985年5月8日生まれの29歳。機長と副操縦士は親子だ。

ブリーフィングする寺西機長と息子の寺西副操縦士=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ANAは8月28日、寺西機長の定年を祝う「親子ラストフライト」を実施した。30日までコンビを組み、日本中を飛び回る。

 親子フライトに先立ち、寺西機長は息子と同じ職場になるときのことを振り返った。寺西副操縦士は当初、父にANAに入社することを間際まで伝えていなかったようで、父はパイロットが定期的に受診する身体検査の会場で、看護師から「息子さん、受験で来ましたよ」と伝えられたという。

 父から息子には「とにかく安全運航を。体調を整えて、つねにベストコンディションで臨んでほしい」、息子から父には「副操縦士を経験して、安全で帰ってくることの大変さが分かった。今後は好きなように飛んでもらいたい」とメッセージを送った。

 その後、機長と副操縦士、客室乗務員とのブリーフィング(確認作業)を済ませ、NH261便で羽田から福岡に向け、午後3時45分に出発した。

 寺西一郎機長は1977年9月入社。地上職勤務後、ボーイング727型機の航空機関士を経て副操縦士に。767型機の副操縦士や機長、777型機の機長を歴任し、1998年7月からは教官として後進の指導にあたっていた。2010年からは再び767の機長になり、総飛行時間は1万5270時間。息子の寺西一桂副操縦士は2009年4月入社で、2014年1月に副操縦士に昇格した。

 30日午後7時15分に函館を出発し、羽田に午後8時40分に到着するNH558便が、寺西親子のラストフライトとなる。これまでは機長と副機長の「上下関係」があったが、これからは普通の親子に戻る。

定年を迎える寺西一郎機長(左)と息子の寺西一桂副操縦士=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

搭乗機に向かう寺西機長と寺西副操縦士=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

客室乗務員とブリーフィングする寺西機長と寺西副操縦士=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体の確認を終えてタラップを登る寺西機長=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

コックピットで出発準備をする寺西機長と寺西副操縦士=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ラストフライトに出発する寺西機長と寺西副操縦士=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

福岡へ向かうNH261便=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

D滑走路へ向かうNH261便=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

D滑走路を離陸するNH261便=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

羽田を飛び立つNH261便=8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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