エアライン, ボーイング, 機体 — 2025年12月8日 15:38 JST

ANA、地域創生「ふるさとJET」就航 地方誘客へ自治体とタッグ

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 全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループは12月8日、地域活性化への新たな取り組み「ANAつなぐふるさとプロジェクト」を始めると発表した。自治体とANAが連携し地方への人流拡大を目指すもので、ANAの地域創生トータルパッケージを自治体へ有償を提供する。また同日から、地域創生をPRする特別デザイン機「ANAふるさとJET」(ボーイング737-800型機、登録記号JA58AN)を就航させた。

羽田空港で出発を待つ「ANAふるさとJET」初便の鳥取行きNH295便=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
自治体へ有償プログラム
「若者がもっと動く起爆剤に」
EXPO2025 ANA JETが転生

自治体へ有償プログラム

 新たに始動する「ANAつなぐふるさとプロジェクト」は、おもに若年層を対象とする。「ふるさとをつなぐ」がコンセプトで、地域の魅力を「旅マエ・旅ナカ・旅アト」をタッチポイントとしてで発信し、利用客の拡大を図る。

 「旅マエ」は専用の情報サイトや各種SNSで情報を発信し、手ごろな運賃などを用意することで地域への興味を持ってもらう。「旅ナカ」は空港やラウンジ、機内誌など自社メディア(オウンドメディア)で地域を特集し、認知拡大を図る。「旅アト」は、ANAグループのふるさと納税サイト「ANAのふるさと納税」での特集などを通じ、地域への持続的なファン作りを目指す。

 同プロジェクトは、3カ月間を1つのターム(期間)とし、特定の地域を特集。2026年度下期からの展開を予定する。

「若者がもっと動く起爆剤に」

「ANAつなぐふるさとプロジェクト」を発表するANAHDの原上席執行役員=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 日本国内は全国的に人口減少が進んでおり、特に地方部では若者の流出により高齢化が加速している。また東京への一極集中もみられることから、ANAグループは全国への航空網を活用し、課題解決を目指したい考え。

 ANAホールディングス(ANAHD、9202)でグループ地域創生統括を担う原雄三上席執行役員は同プロジェクトについて、持続的なファン作りにより地域の課題解決と経済活性化につなげたいとした上で、若年層の地域誘客を強化する考えを示し、「若者がもっと動く起爆剤にしたい」と述べた。

 原上席執行役員によると、プロジェクトの終了期間は決まっていないという。「5年ぐらいは続けたい」とした上で、同日に就航した特別デザイン機を「塗り替えながら」続けたいという。

EXPO2025 ANA JETが転生

 同プロジェクトの始動と同時に就航した「ANAふるさとJET」は、大阪・関西万博の特別塗装機「EXPO2025 ANA JET」だった機体で、万博のサブテーマ「Connecting Lives(いのちをつなぐ)」の理念を継承。機体全体に47都道府県すべての県花をデザインする。機体前方のドア付近には、ANAグループの地域創生ロゴを配した。ロゴの色には、海・空・自然・土地を表す意味を込めた。

 機内では、特別デザインの紙コップ(プレミアムクラス・普通席)や、客室乗務員用のエプロンを用意する予定。デザインは、今年4月に実施された「能登復興支援チャーター」で、石川県立七尾特別支援学校と大阪府立すながわ高等支援学校の生徒が作成した作品を基にした。これらのサービスは、準備が整い次第、順次導入する見通し。

 ANAふるさとJETの運航は、ANAウイングス(AKX/EH)が担う。投入路線や便を固定せず、737-800が就航している国内線全路線が対象になる。

 初便となった8日の羽田発鳥取行きNH295便は定刻より1分早い午後1時34分に羽田空港第2ターミナルの53番スポット(駐機場)を出発。148人(うち幼児2人)が利用した。同便の乗客には、ステッカーやマグネットなどの記念品をプレゼントした。

「ANAふるさとJET」の名称を発表するANAウイングスの江島聖志社長(右)=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「ANAふるさとJET」初便の羽田発鳥取行きNH295便への搭乗を待つ乗客=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「ANAふるさとJET」初便の羽田発鳥取行きNH295便の乗客にプレゼントを手渡すANAグループのスタッフ=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「ANAふるさとJET」初便の乗客に手渡したプレゼント=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「ANAふるさとJET」をパネルを持ってアピールするANAHDの原上席執行役員(左から2人目)とANAウイングスの江島聖志社長(右から2人目)ら=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

羽田空港を出発する「ANAふるさとJET」初便の鳥取行きNH295便=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ANAのスタッフらに見送られ羽田空港を出発する「ANAふるさとJET」初便の鳥取行きNH295便=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

「ANAふるさとJET」機内で提供を予定する特別デザインの紙コップ=25年12月8日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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