エアライン, 官公庁 — 2025年10月17日 23:59 JST

ANA、都市と地方「二地域居住」ポータル開設 航空券支援や体験情報を提供

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)と、傘下で地域創生事業を手がけるANAあきんどは、都市と地方の2つの拠点で生活する「二地域居住」を支援するポータルサイト「ANAの二地域居住 BLUE SKY LIFE」を開設した。人口減少や超高齢化といった社会課題の解決と、持続可能な地域社会の実現を目指す。

羽田空港で二地域居住のモニタープログラムをPRするANAのスタッフ=25年10月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の取り組みでは、全日本空輸(ANA/NH)の航空券を早期割引運賃の最安価格帯で提供することで、対象地域が受け入れを決めた二地域居住の参加者の移動負担を軽減。実際に地域で過ごし、現地での生活を体験できる「二地域居住モニタープログラム」を用意した。プログラムごとに参加条件や定員があり、地域により条件が異なる。

 第1弾は10月15日からスタートし、鳥取県、高知県、佐賀県がプログラムを提供。鳥取県は智頭町、北栄町、江府町、高知県は須崎市、馬路村、本山町、大川村、佐賀県は神埼市、有田町が、農業体験や山村留学など、地元の人たちと交流しながら地域の良さを体感してもらい、二地域居住の継続や将来的な移住の検討などにつなげてもらう。

 割引運賃の対象路線は、羽田発着が高知、鳥取、米子、佐賀の4路線、伊丹発着が高知の計5路線で、いずれも普通席。参加者が負担する片道の金額は、羽田-高知と伊丹-高知がいずれも1万1000円、羽田-鳥取が1万3000円、羽田-米子、佐賀はそれぞれ1万4000円となる。予約期間は2026年2月15日まで、搭乗期間は10月22日から2026年2月22日まで。空港の旅客施設使用料が別途かかる。

鳥取県、高知県、佐賀県と二地域居住のモニタープログラムを始めたANAあきんどの原雄三社長(中央)=25年10月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAあきんどの原雄三社長は「(早期割引運賃でもっとも安価な)スーバーバリュー75を適用し、利用条件は(搭乗7日前まで販売している)バリュー7の条件を適用した」と、2つの拠点で生活する上で負担となる航空券代を抑えたと説明。コロナ後の国内線収支が悪化していく中、「関係人口」の創出で地方路線の維持につなげていく。

 「単に(地方へ)行ってください、ではなく、本気の人にフィットするものにしたい。地域の人たちとのつながりが大切だ」と述べ、受け入れ側の自治体と二地域居住を希望する人のマッチングも重視した取り組みにしていきたいという。

 また、対象地域の拡大については、「来年度は少しずつ増やしたい。まずは倍にしたい」と、今回の対象地域での参加者の満足度などを考慮しながら進めていく。

 二地域居住は、国土交通省がコロナ前から進めている取り組みで、持続可能な地域形成と人材確保を目指す。航空会社の取り組みでは、日本航空(JAL/JL、9201)が2020年11月から体験ツアーやマイルを活用した取り組みを始めている。

 今回のANAグループの取り組みでは、早期割引運賃を活用する形で、移動負担を軽減するとともに、ポータルサイトを設けることで、興味を持った人への情報発信に力を入れている。また、ANAHDはANAあきんどと鳥取県、高知県、佐賀県など16団体と共同で「ANA二地域居住等推進コンソーシアム」を今年9月17日に設立した。

関連リンク
ANAの⼆地域居住 BLUE SKY LIFE
鳥取県
高知県
佐賀県

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