中国・珠海の珠海国際エアショーセンターで現地時間11月27日、国際航空展示会「AERO Asia 2025」が開幕した。ドローンやeVTOL(電動垂直離着陸機)など、中国政府が推進する「低空経済」に関する機体や技術を中心に展示しており、30日まで開かれる。日本の一部報道機関が取材許可を取り消されたとの報道が前日26日に出たが、主催者側は「中立的なビジネス・プラットフォームだ」と説明した。

中国・珠海で開幕したAERO Asiaに出展するAVICの「低空経済」コーナー=25年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
AERO Asiaは、ビジネスジェットをはじめとする「ジェネラル・アビエーション」の分野では、日本の経済産業省にあたる中国・商務部が唯一認可している国際見本市。ドイツの国際見本市主催会社メッセ・フランクフルトの香港法人と、中国の珠海航空ショーグループが主催し、珠海市人民政府、国営企業の中国航空工業集団(AVIC)、中国航空発動機集団(AECC)、中国商用飛機(COMAC)が運営支援に名を連ね、民間主催ながらも中国政府色が強いイベントだ。
出展企業は、22カ国・地域から382社。初参加はベルギー、韓国、マレーシア、マルタ、トルコ、英国で、ホールと屋外合わせて約6万平方メートルの会場に、ビジネスジェットや超軽量機、ヘリコプター、ドローン、エンジン、MRO(整備・修理・分解修理)などの分野の企業が出展している。

中国・珠海で開幕したAERO Asiaの会場に展示された無人機や小型機=25年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

中国・珠海で開幕したAERO Asia=25年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
主な展示の一つで中国政府が進める「低空経済」は、高度1000メートル以下の低空域で、有人・無人のドローンやeVTOLなどの航空機を活用する経済活動を指す。景気減速への対策や、産業構造転換の一環として、農薬散布、エアタクシー、施設点検など、今後の経済成長分野に位置づけている。
低空経済の市場規模は、中国政府系研究機関の報告書によると、2023年に約5000億元(約10兆円)だったが、2026年には1兆元(約20兆円)へと倍増すると予測。AERO Asiaを通じて市場拡大につなげていく狙いがあり、日本メディアを完全に排除することで、イベントが日中対立に巻き込まれることを避けたい意向があるとみられる。
前日の報道に対し、主催者側は「(本紙が)ここに座っていることが何よりの説明だ。それ以上の説明はいらないだろう」と述べ、「われわれは『中立的なビジネス・プラットフォーム』にのみフォーカスしており、国際的なプレイヤーを歓迎し、すべての人にサービスを提供する」と説明した。

中国・珠海で開幕したAERO Asiaの会場に展示されたヴォロコプターのeVTOL=25年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

中国・珠海で開幕したAERO Asiaの会場に展示されたピラタスの小型機=25年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

中国・珠海で開幕したAERO Asiaの屋内会場=25年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

中国・珠海で開幕したAERO Asiaの屋内会場=25年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

中国・珠海で開幕したAERO Asia=25年11月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
関連リンク
AERO Asia 2025
・AERO Asia 2025、11/27開幕 中国・珠海に22カ国382社出展(25年11月26日)
・AERO Asia、中国珠海で11月開催 ドローンやeVTOL 300社超出展(25年10月24日)
・三菱電機、熟練工の技を金属3Dプリンターで 人口減少見据えた提案=Formnext Tokyo(25年9月29日)
