広島空港で5月22日午後9時すぎ、全日本空輸(ANA/NH)の札幌(新千歳)発広島行きNH1272便(ボーイング737-800型機、登録記号JA84AN、2クラス166席)が着陸後、スポット(駐機場)近くの工事区域手前に設置されたコンクリート製台座を乗り越え、走行不能になった。乗客乗員132人にけがはなく、乗客はANAが手配したタクシーなどで広島駅などへ向かった。この影響で、23日の広島空港は一部誘導路が閉鎖されているが、一部便を除き平常通り運航している。

ANAの737-800(資料写真)=24年9月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ANAによると、NH1272便は乗客126人(幼児なし)と乗員6人(パイロット2人、客室乗務員4人)を乗せ、札幌を22日午後6時59分(定刻同40分)に出発し、午後7時15分に離陸。広島空港の滑走路(RWY28)へ午後9時に着陸後、スポットへ向かっていた際に、工事区域の手前に設置された進入禁止を示すライトが点灯したコンクリート製台座を乗り越えて停止した。
広島着は定刻午後8時45分を予定していたが、乗客の降機が始まったのは1時間43分後の午後10時28分で、タラップ車を使って飛行機を降りた。NH1272便はグループ会社のANAウイングス(AKX/EH)が運航していた。
この影響で、国土交通省航空局(JCAB)は広島空港のP-3誘導路の9番スポットから10番スポット部分、P-4誘導路、T-4誘導路を閉鎖し、航空機故障による進入禁止としている。ANAによると、航空法が定める「重大インシデント」には該当しないと航空局が判断したことを23日に確認したという。詳しい原因は調査中で、23日は前脚のタイヤ交換などが行われた。

広島空港の閉鎖中の誘導路(国交省の資料から)
NH1272便の機材は広島に夜間駐機し、23日朝の札幌行きNH1271便に使用する予定だったことから、ANAは代替機(737-800、JA65AN)を羽田空港から広島へ23日早朝にフェリー(回航)。NH1271便は定刻より25分遅れの午前8時40分に広島を出発し、札幌には23分遅れの午前10時33分に到着した。ANAによると、このトラブルに伴う運航への影響はNH1271便の遅れのみだという。
ANAは「当該便のお客様や関係者の皆様に、ご心配ならびにご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます」とコメントした。
運航実績(定刻/実績/出発スポット)
NH1272 札幌新千歳(18:40/18:59/6)→広島(20:45/22:28)
・国交省、ANAを厳重注意 福島空港で予備タイヤなく交換せず(24年10月25日)
・ANAの737、ANAウイングスに運航一元化(24年10月1日)
・ANA、和歌山上空で気圧低下し警報 体調不良11人、国交省が重大インシデント認定(24年6月26日)
・ANA、米子着陸時に対地接近警報作動 国交省が重大インシデント認定(24年4月19日)