ハワイアン航空(HAL/HA)のジョー・スプレイグCEO(最高経営責任者)は5月13日、シアトル-成田線(HA823/824)のアラスカ航空(ASA/AS)便名への移行時期について、来年以降になるとの見通しを示した。アラスカ航空グループは、2024年9月にハワイアンの買収を完了しており、ハワイアンは2026年4月にもアラスカと同じ航空連合「ワンワールド・アライアンス」に加盟する見通し。

成田空港で挨拶するハワイアン航空のジョー・スプレイグCEO=25年5月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—-
・シアトル乗継4割「我々も驚き」
・ワンワールド26年4月加盟
シアトル乗継4割「我々も驚き」
13日の成田発初便の就航式典後、スプレイグCEOはシアトル-成田線について「来年からはシアトル線で、アラスカ航空に関連した異なるブランド体験を提供していく予定だ」と述べ、ハワイアンが提供しているサービスとは異なるものを用意する意向を示した。現在、同路線はハワイアンの機材と乗員により、ハワイアンの便名で運航しているが、アラスカ航空の便名への明確な移行時期は言及しなかったものの、2026年から段階的にアラスカ色を打ち出していく。

成田空港を出発するハワイアン航空のシアトル行き初便HA824便=25年5月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
「ハワイアン航空はアラスカ航空の一部となったが、特に日本からハワイへの旅行者にとって、ハワイアンのブランド影響力は非常に大きい。2つのブランドを1つの航空会社が展開していく」と語り、ハワイ路線では従来通りハワイアンのサービスを続ける。
アラスカとハワイアンが統合後の新会社はシアトルに本社を置き、ハワイアン航空の新CEOに就任したスプレイグ氏は、アラスカ航空のハワイ・太平洋地区社長と、アラスカ傘下のホライゾン航空(QXE/QX)で社長を歴任した。

成田空港でシアトル・マリナーズのマスコット、マリナー・ムースと記念撮影するハワイアン航空のクルー=25年5月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ハワイアンにとっては、ハワイ諸島が発着地ではない初の日本路線がシアトル-成田線で、週7往復(1日1往復)運航。2016年7月に開設したホノルル-成田線をシアトル発着に変更したもので、新型コロナ後の需要が低迷している日本-ハワイ間の供給を適正化した。機材はほかの日本路線と同じくエアバスA330-200型機で、座席数は3クラス278席(ビジネス18席、エクストラ・コンフォート68席、エコノミー192席)となる。
スプレイグCEOは米国西海岸のハブとして、シアトルの優位性に言及。「シアトルはアラスカ航空にとって西海岸最大の接続ハブであり、サンフランシスコやロサンゼルスよりも大きい。シアトルから北米各地の100以上の都市へ乗り入れており、シアトル-成田線は日本の人々が北米のどこへでも行ける非常に優れた新しい選択肢だ」と強調した。
「現在のところ、利用者の大半はシアトルと東京の間を往来している。一方で、北米各地への乗継利用が40%に達している点に我々も驚いており、シアトルの接続ハブとしての強さを示すものだ」と、接続需要のさらなる獲得に意欲を示した。

アラスカ航空が拠点とするシアトル・タコマ空港=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

シアトル・タコマ空港=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ワンワールド26年4月加盟
接続需要を取り込んでいく上で重要なのが、他社との連携だ。ハワイアンは日本航空(JAL/JL、9201)と2017年9月26日に包括的業務提携契約を締結し、2018年から双方の日本-ハワイ路線でのコードシェア(共同運航)やラウンジの相互利用、マイレージプログラムの提携を実施している。アラスカとJALは、2016年6月からコードシェアを実施しており、アラスカは2021年3月31日にJALと同じワンワールドへ加盟した。

長らく提携関係にあるJALと同じワンワールドへ加盟するハワイアン航空=25年5月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
スプレイグCEOは「アラスカとハワイアンの統合の一環として、両社の旅客システムを統合する。ハワイアンは来年4月から正式にワンワールドへ加盟する」と、2026年4月から加盟する見通しを示した。
一方、JALとハワイアンは独占禁止法適用除外(ATI)を2018年6月に国土交通省と米国運輸省(DOT)へ申請したものの、DOTは認めなかった。両社は2020年1月に再申請したことを明らかにしたが、DOTは同年3月に「不許可」とする正式決定を下しており、日本-ハワイ路線の共同事業(JV)は実現していない。
「現在のところ、我々の焦点はワンワールドにある。アラスカはすでに5年間ワンワールドの一員であり、JALもメンバーだ。ハワイアンが加わることで、同じアライアンスに属することによる多くの恩恵を受けることができる」と、現時点でATIの申請は念頭にないことを示した。
JALは2019年3月31日に、成田-シアトル線を27年ぶりに復活させており、旺盛な北米とアジアを結ぶ3国間流動をアラスカ・ハワイアン・JALの3社で取り込んでいく。今年9月12日からは、ハワイアンがシアトル-ソウル(仁川)線をから週5往復で開設。アジアとの接続を強化する。
運航スケジュール
HA823 シアトル(13:30)→成田(翌日16:00)運航日:毎日
HA824 成田(18:25)→シアトル(11:30)運航日:毎日
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