エアライン, 機体, 解説・コラム — 2025年1月23日 22:18 JST

プロペラ機も機内インターネット ATR、Starlinkで年内商用化

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 仏ATRは、ATR72-600型機など自社のターボプロップ(プロペラ)機で高速機内インターネット接続サービスを提供するため、米スペースXの衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」を導入する。StarlinkのサービスをATR機で提供するための認証をEASA(欧州航空安全庁)から取得したことから、年内にもニュージーランド航空(ANZ/NZ)がサービスを始める見通し。

Starlinkのアンテナを取り付けたATR72の試験機(同社サイトから)

 ATRは、ATR72-600の試験機で試験飛行を数カ月実施。ATR72向けのStarlink対応改修は、PMVエンジニアリングが手掛けるATR72-500とATR72-600向けのレトロフィット(既存機改修)オプションで、STC(追加型式設計承認)を取得して運航できる。

 スターリンクは、地球低軌道に配置された衛星群を用いた世界最大のシステムで、通信速度の速さと遅延の少なさが特徴。地上では、ストリーミングやビデオ会談などに使用されている。

 ニュージーランド航空は、年内にもニュージーランド国内線で運航しているATR機に導入を予定している。

ATRのATR72-600=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ATRはエアバスとアレニア・アエルマッキの合弁会社。充電用USB端子やIFE(機内エンターテインメントシステム)と高速インターネット接続サービスなどを統合できる客室仕様を提案している。

 日本では、天草エアライン(AHX/MZ)がATR機を初導入し、2016年2月20日にATR42-600(1クラス48席)を就航させた。その後、日本航空(JAL/JL、9201)グループで鹿児島空港を拠点とする日本エアコミューター(JAC/JC)がATR42-600(同48席)とATR72-600(同70席)を導入。2020年4月12日には、JALグループで札幌の丘珠空港を拠点とする北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)が、ATR42-600(同48席)を就航させた。

 長崎空港を拠点とするオリエンタルエアブリッジ(ORC/OC)もATR42-600を2機導入済みで、2023年7月1日に初号機(JA10RC)が就航。2024年1月31日に就航したトキエア(TOK/BV)は、ATR72-600を2機導入済み。3号機としてATR42-600を受領している。

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