ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANAウイングス(AKX/EH)が運航しているデ・ハビランド・カナダDash 8-400(旧ボンバルディアQ400)型機。本来であれば、90席クラスのリージョナルジェット機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」で置き換える計画だったが、三菱重工業(7011)が開発中を2023年2月7日に正式発表したことで、別の機材を導入する必要が出てきた。
ANAのQ400は、2003年11月1日に就航。座席数は1クラス74席で、主に地方間路線に投入しており、現在は24機保有している。このうち3機(登録記号JA463A、JA464A、JA465A)はMRJ(当時)の納入遅延に伴い、2016年6月に追加発注した機体だ。24機のうち、年内に受領20年を超える機体が6機あり、旅客機を更新する目安をすぎつつある。
また、2018年度からはボーイング737-800型機(2クラス166席)を、MRJ納入遅延のつなぎとして4機追加でリース導入している。
こうした初期受領機を更新するため、ANAHDはQ400を7機追加導入すると今年7月に発表。しかし、新造機の引き渡しが事実上完了していることから、メーカー保証が付いた無事故の認定中古機を導入することにした。日本の大手航空会社がまとまった数の中古機を導入することは珍しいが、新造機を受領できない中では最善策と言えるだろう。
当紙の調べでは、7機はすべてLOTポーランド航空(LOT/LO)傘下の地域航空会社Eurolot(15年運航停止。LOTポーランド航空が吸収)が2012年から2013年にかけて導入した機体。デ・ハビランド・カナダの責任下でANA機と同仕様に改修後、2025年から順次引き渡される。導入後10年は運航可能な機体で、新造機と同様に一定期間のメーカー保証付き。登録記号はJA466AからJA472Aまでの連番になる見通し。
しかし、初期導入機を7機置き換え後も、1年以内に3機、3年以内に別の3機の計6機が受領後20年を迎えるため、路線によっては737-800などへの機材変更といった対応が必要になる可能性も出てきた。
関連リンク
De Havilland Aircraft of Canada
全日本空輸
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