エアライン, ボーイング, 機体 — 2022年5月22日 18:53 JST

ANA、飛行機好き社員企画の737撮影会 退役「スーパードルフィン」被写体に

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 全日本空輸(ANA/NH)は5月21日と22日、退役したボーイング737-500型機「スーパードルフィン」を転用した整備訓練専用機(登録記号JA301K)を使った撮影ツアーを羽田空港の格納庫で初開催した。機体撮影に特化したツアーも、ANAでは初めての試みとなり、航空写真の撮影が趣味の担当者が撮影ポジションや記念品にもこだわって企画した。

羽田空港の格納庫で開かれたANAの撮影ツアーで整備訓練専用機となった737-500を撮影する参加者=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
「もっともきれいな状態」で開催
飛行機好き社員が企画

「もっともきれいな状態」で開催

 ツアーは当初3月に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「まん延防止等重点措置」の影響で延期。先週14日と15日には、小学生を対象にJA301Kを使った航空教室付きツアーが開かれ、料金は小学生と大人の2人1組3万5000円だった。21日と22日の撮影ツアーは小学生以上が対象で大人も参加でき、約1時間の撮影に加えて機体の概要説明などが行われ、料金は1人1万5800円とした。

羽田空港の格納庫で開かれたANAの撮影ツアーで整備訓練専用機となった737-500を撮影する参加者と企画した古賀さん(右から3人目)=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 整備訓練専用機となったJA301Kは1997年4月21日に製造され、当時のエアーニッポン(ANK/EL、現ANA)が同年5月20日に受領。商業運航の最終便は、ANAウイングス(AKX/EH)が運航する2018年2月1日の小松発福岡行きNH1231便で、現在は整備訓練の機材として使われている。その後、737-500は2020年6月14日の福岡発羽田行きNH254便で全機が退役している。

 先週の航空教室付きツアーは、スーパードルフィンを運航していたANAウイングスのパイロットや客室乗務員ら社員が、社内のアイデアコンテストで発案したものを基に開催。今回はANAの整備センター技術部の古賀卓磨さんが企画した。2014年入社の古賀さんは、普段はジェットエンジンの信頼性維持管理に携わっており、通常業務と並行して準備を進めるのが大変だったという。

737-500の愛称「スーパードルフィン」のマスコットとともに撮影する参加者=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2018年7月から訓練機として使われてきたJA301Kだが、5月9日に用途変更後では初の機体外観を洗浄する水洗作業が行われ、「もっともきれいな状態」(古賀さん)で14日から開かれた一連のイベント参加者を出迎えた。ANAウイングスの社員が中心となってスケジュール調整が進められ、古賀さんら撮影ツアーのスタッフもボランティアで洗浄に加わった。

飛行機好き社員が企画

 「かなりの航空ファンです」と笑う古賀さんは、もともと鉄道や車も好きで写真を撮っており、飛行機好きの熱が増したのは入社したころから。「当時は747の退役もあり、入社が内定してから加熱していきました」という。いつかは自分で企画した撮影会を開きたいとアイデアを温めていたことから、ANAの社内アイデア募集に応募して実現に至った。

整備訓練専用機撮影ツアーを企画したANAの古賀卓磨さん=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 まん防の影響で延期が決まったころは「気持ちがなえかけましたが、予想以上に喜んでいただき、やって良かったです。自分がやりたかったことを全部やるつもりで準備しました」と話す。

 コロナの影響で撮影対象にする機材をなかなか決めにくい中、訓練機となったJA301Kを被写体にすることが決まる。一方で、格納庫もコロナ影響から回復していく中で作業が増え、撮影会場となる駐機スペースを確保するのも一苦労だったという。

 また、単に機体を撮ってもらうだけでなく、エンジンカウルに描かれたスーパードルフィンのイラストや、左主翼下に記されている機番(登録記号)、垂直尾翼が1枚の写真に収まるポジションが確保できる機体左側から撮れるようにした。実機を撮影位置に駐機した当日朝も、自らデジタル一眼レフカメラを手に試写して最終的な撮影ポジションを決め、24人の参加者を4カ所の撮影ポジションに順次案内していった。機体の見え方だけでなく、参加者同士がかぶらないようにしたという。

羽田空港の格納庫で開かれたANAの撮影ツアーで整備訓練専用機となった737-500を撮影する参加者=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 3月の開催時は、1回当たり20人の定員で3回分を販売したところ2時間で完売。延期後の開催となった今回は1回24人に増やし、21日と22日の2日間で午前と午後の1日2部構成で開催した。古賀さんによると、参加者は羽田近隣だけでなく、全国から集まったという。

羽田空港の格納庫で開かれたANAの整備訓練専用機撮影ツアーの記念品=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 記念品には、737-500の「安全のしおり」の実際のデータを活用したクリアファイルや、機体とスーパードルフィンを描いたフライトタグ、シールなどを用意。安全のしおりは国土交通省航空局(JCAB)にも表現を確認するなど、記念品として問題ないかを調べたという。デザインは古賀さん自ら手掛け、シールなどのイラストも描いた。

 「ギブアウェイ(記念品)は皆さん期待されると思うので、がんばりたかったです」と、航空ファンとして自分がもらってうれしいものを考えた。

 今後の開催はまだ決まっていないが、「機会があれば同様のイベントをやりたいです」と参加者からの意見を基に企画を考えたいという。

*写真は16枚(ツアーの様子→記念品の順)。

羽田空港の格納庫で開かれたANAの撮影ツアーで整備訓練専用機となった737-500を撮影する参加者=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港の格納庫で開かれたANAの撮影ツアーで整備訓練専用機となった737-500を撮影する参加者=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

撮影ツアーの被写体となった退役した737-500を活用したANAの整備訓練専用機=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港の格納庫で開かれたANAの撮影ツアーで離陸する「鬼滅の刃じぇっと」を撮影する参加者=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港の格納庫で開かれたANAの撮影ツアーで整備訓練専用機となった737-500を撮影する参加者=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

撮影ツアーの被写体となった退役した737-500を活用したANAの整備訓練専用機=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港の格納庫で開かれたANAの撮影ツアーで整備訓練専用機となった737-500を撮影する参加者=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

撮影ツアーの被写体となった退役した737-500を活用したANAの整備訓練専用機=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港の格納庫で開かれたANAの整備訓練専用機撮影ツアー参加者にプレゼントされた記念品のクリアファイル=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港の格納庫で開かれたANAの整備訓練専用機撮影ツアー参加者にプレゼントされた記念品のフライトタグ=22年5月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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