エアライン, 解説・コラム — 2022年4月17日 18:00 JST

JAL、欧州発便のパイロット通常編成に戻す 世界一周化で飛行時間短縮

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 欧州路線の飛行ルートを4月19日から見直す日本航空(JAL/JL、9201)は、乗務するパイロットの人数も改める。欧州発便の飛行時間が1時間半以上短縮されるためで、現在は1便当たり4人乗務しているパイロットを復路のみ通常時と同じ3人に戻し、パイロットの乗務スケジュールに余裕を持たせる。

欧州路線は往路北回り、復路南回りとすることで乗務するパイロットの人数も通常に近くなるJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALの欧州路線は現在、往路の日本発と復路の欧州発ともにアラスカなどを飛ぶ「北回り」で運航。19日の欧州発から復路を南回りに改め、往路は北回りを継続する世界一周ルートに変更する。往復とも偏西風(ジェット気流)の追い風に乗って運航できるようになるため、燃料の搭載量を減らして乗客数や貨物量を増やすことができる。

 飛行時間も南回りになる復路は時間が短縮される。羽田-ロンドン線の場合、往路のロンドン行きは北回りで14時間50分と、通常のロシア領空飛行時から2時間20分増えた。今回変更となる復路の羽田行きは南回りで14時間10分となり、通常時の11時間55分からは2時間15分増えるものの、15時間50分だった北回りと比べて1時間40分早く到着できる。

 航空会社のパイロットは通常2人1組で乗務し、機長と副操縦士各1人か、機長2人で1組となる。ロンドン線をはじめとする長距離国際線は飛行時間が長いため、パイロットは通常3人編成の「マルチクルー」で運航し、機長2人と副操縦士1人か、機長3人で乗務する。これが北回りでは飛行時間の関係で2人1組のパイロットが2組乗務する4人編成「ダブル」で運航する必要があり、1便当たりパイロットを1人多く乗務させなければならない。

 今回の見直しで往路は4人で乗務するが復路は3人で済むため、日本へ向かう便に乗務しないパイロット1人は現地に1泊後、客室に乗る「デッドヘッド」として帰国する。残り3人のパイロットは現地に2泊し、欧州発便に乗務する。

 JALは欧州路線を現在3路線運航しており、いずれも復路を南回りに変更。対象は羽田-ロンドンとヘルシンキ、パリの3路線で、ロシア領空を迂回する影響で以前よりも往復で2人多くパイロットが必要になっているが、今回の見直しで1人増で済むようになり、運航コストの増加を抑えられるようになる。

関連リンク
日本航空

ロシア迂回ルート解説
風に乗って世界一周 特集・JALはなぜ欧州発だけ南回りなのか(22年4月13日)
JALとANAどう飛ぶロシア迂回ルート アンカレッジ寄らない北回り、イスタンブール通過の南回り(22年3月5日)

JALの欧州路線
JAL、欧州発を南回りに パリはシアトル経由終了、日本発は北回り継続(22年4月12日)

ANAの欧州路線
ANAも欧州便ルート変更 日本発を北回りで時間短縮、4/18ブリュッセル行きから(22年4月15日)
ANA、ウィーン経由初便出発 18時間かけフランクフルトへ(22年3月18日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post