エアバス, エアライン, ボーイング, 機体 — 2021年2月9日 12:59 JST

タイ国際航空、パイロット395人削減へ A380退役も

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 経営再建を目指すタイ国際航空(THA/TG)は、再建計画の一環でパイロット395人を解雇する方針を固めた。中型機のエアバスA330-300型機や総2階建ての超大型機A380、ジャンボの愛称で親しまれたボーイング747-400型機については運航から離脱させる見通し。タイの英字紙「The Nation Thailand」などが現地時間2月8日に報じた。

経営再建の一環でパイロット削減やA380退役を検討するタイ国際航空=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 タイ航空は2020年5月にタイ政府に会社更生手続きを申請し、経営破綻。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によるもので、大規模な運休が続くことからパイロットを905人まで削減するため、395人の解雇を検討している。報道によると、同社では2022年までは新たにパイロットを雇用する計画はないという。

 経営再建計画の策定は難航しており、当初は年明け1月4日までに明らかになる予定だったが、裁判所が1カ月間の猶予を同社に与えていた。同社が主力とするタイの観光需要回復が当初の見通しよりも芳しくないことが、要因のひとつになっている。

 こうした中、経年機となっているA330や747-400だけでなく、6機あるA380についても退役がタイ航空にとって現実的な選択肢になりつつある。

 タイ航空に4機のA350-900をリースしている航空専門ファンドのAA4P(Amedeo Air Four Plus)は、「世界のA380機のうち、現在運航しているのは10%未満で、中国南方航空(CSN/CZ)のみ全機を運航している。エミレーツ航空(UAE/EK)のドバイ-ブラジル線も777に変更された」と、世界的な旅客需要の大幅減少に言及した。

 また、「現在A380の中古販売やリース市場は存在しない」と、同機を取り巻く厳しい状況も説明している。

 タイ航空は今後、機材をA350-900、787-8、787-9、777-300ERに集約し、運航コストを抑えていく見通し。このうち787は、6機の787-8と2機の787-9の全8機が現在運航を停止している。

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