エアライン, 官公庁 — 2020年11月26日 18:18 JST

機内のマスク着用効果は? JALと理研、スパコン”富岳”で検証

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 日本航空(JAL/JL、9201)と理化学研究所は11月26日、スーパーコンピューター「富岳」を活用した機内での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止につながる研究結果を発表した。機内の空気が3分程度できれいになることが確認され、マスク着用の有無で飛沫(ひまつ)の拡散レベルに大差があることがわかった。

仮想的にウイルス飛沫で汚染された空気を示す赤い部分(左)と換気で3分後に浄化された状態を示す青い部分(JALと理研の資料から)

 今回の富岳を使ったシミュレーションでは、仮想的にウイルスの飛沫で汚染された空気を機内に満たし、機内の換気システムでどのように浄化されていくかを評価。外気換気のほか、循環空気もHEPA(高効率粒子状空気)フィルターでウイルスが除去され、機内の空気は3分程度で浄化されることが確認できたという。

 客室内の空気は、主に左右の主翼下にあるエンジンから取り込み、天井裏のエアコンダクトから流れ、左右の壁の下部から床下へ流れて機外へ排出される。一部の空気は客室へ循環するが、HEPAフィルターでろ過される。IATA(国際航空運送協会)やJALをはじめ航空各社は、3分程度で客室の空気が入れ替わり、空気が清潔な状態が保たれているとこれまで説明してきたが、富岳によるシミュレーションでも同じ結論に達した。

マスクを着用せずにせきをした場合(左)とマスクを着用してせきをした場合(JALと理研の資料から)

 シミュレーションでは、機内でのマスク着用の有無も検証。マスクを着用せずにせきをした場合、10ミクロンより大きい飛沫はせきをした人の前方1m以内に落下し、10ミクロン以下の小さい飛沫はエアコンの風に乗り空中を漂うが、機内の空気循環システムにより3分程度で客室内からなくなることがで確認できた。

 飛沫の拡散は着席姿勢によって影響を受け、通常姿勢の場合は前列席の背もたれがパーティションのような役割を果たし、大きい飛沫の拡散を抑えていた。一方、小さい飛沫はリクライニング姿勢の場合、通常姿勢の場合よりも広範囲に拡散することがわかった。マスクを着用していると、せきにより発生する飛沫を3分の1まで抑え、機内に拡散する飛沫を大幅に抑えられることが確認できた。

 JALと理研は、発生する飛沫そのものを減らす観点で、機内でのマスク着用による感染リスク低減効果は大きいと結論づけた。

 IATAによると、今年初頭からの世界の乗客数12億人のうち、航空機による旅行に関連して新型コロナウイルスに感染した可能性がある事例は0.000004%の44件で、2700万人に1件の割合だった。

マスクを着用せずにせきをして3.6秒後の状態(左)とマスクを着用した状態(JALと理研の資料から)

マスクを着用せずにせきをして20.4秒後の状態(左)とマスクを着用した状態(JALと理研の資料から)

マスクを着用せずにせきをして29.8秒後の状態(左)とマスクを着用した状態(JALと理研の資料から)

関連リンク
日本航空
理化学研究所
スーパーコンピュータ「富岳」について(R-CCS)

IATA、機内感染は2700万人に1件、エアバスやボーイングら流体力学で検証(20年10月9日)
客室の空気、どうやってきれいに? 500席超ANA 777も3分で換気(20年5月28日)

【お知らせ】
タイトルをYahoo!ニュース配信記事と統一しました。(20年11月26日 18:33 JST)