エアライン, 空港, 解説・コラム — 2020年10月3日 13:49 JST

ANAとJAL、10月の旅客数5割まで回復見込み GoToトラベル東京解禁、羽田でも地域共通クーポン

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 政府の観光支援事業「Go To トラベルキャンペーン」の対象に東京発着の旅行が10月1日から追加され、初の週末を迎えた。初日の1日は平日とあって、羽田空港は9月の4連休のような活気はみられなかったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で人影がまばらとなった今春と比べると、徐々に利用者は戻りつつある。全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)では、10月の旅客数は前年比でおおむね5割程度まで回復すると見込んでいる。

10月から東京も対象となったGo To トラベルキャンペーン。羽田空港でも地域共通クーポンが使用できる=20年10月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 GoToトラベルは、宿泊を伴う、または日帰りの国内旅行の代金総額の半額相当額を国が支援する事業。給付額のうち、70%は旅行代金の割引、30%は旅行先で使える「地域共通クーポン」として付与される。

 7月22日出発から適用された第1弾は旅行代金の割引のみだったが、10月1日以降出発からの第2弾では、地域共通クーポンが加えられた。1人4万円の1泊2日の旅行商品を申し込んだ場合、支援額は半額の2万円で、このうち7割の1万4000円が旅行代金の割引、残り3割の6000円は地域共通クーポンとして付与される。

 航空・旅行業界待望といえるGoToトラベルの東京解禁。ANAとJALの予約状況などをまとめた。

—記事の概要—
ANA
JAL
羽田95店舗で地域共通クーポン

ANA

 7月の時点でGoToトラベルの対象から除外された東京都は、9月11日に追加する方針が示された。ANAによると、方針が示される前の9月5日から11日までの7日間の新規予約数と比べ、12日から18日までは10月搭乗分の予約が1.8倍、11月分は3.5倍に増加。これが直近25日から10月1日までの7日間で比べると、10月が4.8倍、11月は10.5倍と急増しているという。

国内線旅客数が1日4万人を超えたANA=20年10月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 10月のすべり出しについて、ANAでは「予測通り堅調に回復しており、国内線の利用者は1日約4万6000人。9月は4連休以外の土日は1日4万3000人だったが、10月3日から4日は前年の4割にあたる4万8000人を見込んでいる」と、回復傾向が見られている。

 5月から8月までのゴールデンウイークやお盆など連休期間を除いた土曜と日曜の1日あたりの旅客数は、5月は前年比1割程度の1万人、6月は2割の2万7000人、7月は2.5割の3万3000人、8月は同3万7000人と、7月に新型コロナの感染拡大がみられたことで8月は伸びが鈍化したが、9月以降の回復傾向をみると、堅調な推移が続いているといえる。

JAL

 JALでは、10月1日以降の航空券と宿泊をセットにした空席連動型旅行商品「ダイナミックパッケージ」を9月18日から売り出したところ、初日は1日の予約数が前年比3倍となり、過去最高を記録したという。

ダイナミックパッケージが過去最高の予約数を記録したJAL=20年9月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 8月の国内線旅客数は前年の3割弱だったが、9月は4割弱まで回復する見込み。10月の予約数は前年比で5割弱まで上昇するとみられ、高需要の路線や便は10月11日から週末に機材を大型化する。

 JALによると、「9月11日以降、団体旅行で使われる航空券の券種の発券が増え始めており、上向きになっている」という。ダイナミックパッケージでは、日帰りや片道航空券といった商品も追加し、短期間の休暇に地方へ出掛けたり、帰りの交通手段は後から決める柔軟な旅行などを提案している。

羽田95店舗で地域共通クーポン

 羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)によると、GoToトラベルの地域共通クーポンの取り扱いを、10月1日から空港内95店舗で開始した。GoToトラベルで、目的地が東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、山梨県、静岡県の旅行者は、GoToトラベルのステッカーやポスターを掲示している店舗で、クーポンを利用できる。

Go To トラベルキャンペーンへの期待を話すANAフェスタ羽田到着ロビーギフト店の増田未央店長=20年10月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAグループで、空港で土産物などを販売する店舗「ANA FESTA(ANAフェスタ)」によると、弁当やおみやげ以外にANAのグッズやモデルプレーンの購入にも、地域共通クーポンが使えるという。第2ターミナル到着階にあるANAフェスタ羽田到着ロビーギフト店の増田未央店長は、「コロナで閑散としていたが、9月の4連休では2月以来初めての活気だった」と話し、GoToトラベルの東京解禁は「とても期待している」という。

 同店では新型コロナの感染拡大前は、羽田空港に到着して東京ディズニーランドなどへ向かう家族連れが、弁当などを買い求めていたという。増田さんによると、コロナ後はマスクなど衛生商品の品ぞろえにシフトしたが、売上が前年比7割減まで落ち込んだ時期もあった。羽田にある7店舗のうち6店舗が営業を再開したが、一部店舗は時短営業になっている。

 今回のクーポンは、次の旅行では使用できない。ANAフェスタでは、東京など対象地域に宿泊した人が出発地へ帰る前に、残りのクーポンを空港で使い切ってもらうことに期待を寄せている。

関連リンク
羽田空港
全日本空輸
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