企業, 空港 — 2020年9月10日 06:00 JST

中部空港を支えるモトローラTETRA無線システム【PR】

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 航空業界は今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で大きな打撃を受けているが、例年日本の空港は台風や大雪といった自然災害に悩まされている。関西国際空港の浸水や空港島の孤立をもたらした2018年9月の台風21号や、地上交通アクセスが遮断し成田国際空港のターミナルに多くの旅客が滞留した2019年9月の台風15号などは記憶に新しい。

 災害発生時には携帯電話などが繋がりにくくなることも多いが、空港会社やエアラインなどの地上係員は、社内の各部署との迅速な情報共有、旅客の避難誘導などを確実に行う必要があり、彼らが日常業務で用いる無線システムは極めて重要な連絡手段である。

中部国際空港株式会社が19年7月から運用しているTETRAの端末「ST7000」。空港業務に最適化された小型軽量タイプだ

空港専用の無線システム

 世界各国で使用されている業務用無線システムに目を向けると、「TETRA(TErrestrial TrunkedRAdio)」が主流だ。欧州統一規格の公共安全機関向けデジタル移動通信システムで、サミット会議やスポーツイベント、各国の軍や警察、消防、自治体と、さまざまな分野で導入が進んでいる。

TETRAを導入した中部国際空港セントレア

 TETRAは世界約80の空港で採用実績があり、日本では2016年以降、成田空港と那覇空港の空港MCA無線に代わる通信基盤として稼働しており、羽田空港や中部空港(セントレア)でも運用が始まっている。専用の基地局を設置するTETRAは、携帯電話網の輻輳(ふくそう)や障害の影響を受けない。システム構成もシンプルで冗長化が図られており、高い信頼性と安定性が得られることから、今後日本の空港への導入拡大が見込まれる。

 導入した国内空港のうち、中部空港は2019年7月から運用を開始して1年が過ぎた。成田や那覇と同様、東日本電信電話(NTT東日本)の100%子会社である日本空港無線サービス(NAR、千葉県成田市)が設置してサービスの提供を行っている。いずれもモトローラ・ソリューションズが開発した基地局や端末(無線機)を導入しており、各空港間の通信が可能で大規模災害時の救援・復旧活動に不可欠となる空港間連携にも役立つ。

 従来の無線機からTETRAへ移行し、使い勝手はどうなのだろうか。中部空港を運営する中部国際空港株式会社の空港運用本部 セントレア・オペレーション・センター部長の大坪正典氏に伺った。

「災害に強い安心感」

 セントレア・オペレーション・センターは「COC」と呼ばれ、24時間空港である中部空港のさまざまな情報が集まる場所だ。従来の空港では、飛行場、灯火・無線、保安・防災と別々に運用していたが、2005年2月17日に開港した中部空港は、COCに情報を集約している。

TETRAについて感想を語る中部国際空港の大坪部長

 空港内だけではなく、鉄道やバスなど乗り入れる交通機関の運転状況などもCOCが連絡を受けた後、各部署が対応する流れだ。COCがやり取りする相手は、航空会社はもちろん、航空機の誘導や貨物の搭降載を担うグランドハンドリング会社、給油事業者、鉄道やバス、タクシーの事業者、管制官、CIQ(税関・入管・検疫)、警察、消防など20機関以上に上るという。

 「日常の対応をベースに、災害などではこれを拡張するのがCOCのコンセプトです。事故でも、お客様が困っていることでも、空港で何かあったらCOCへ連絡して頂き、対応します」と大坪氏は語る。COCが中心となって各機関と日ごろから連携することが、非常時の対応につながっているという。

 TETRAの特長の一つに、柔軟な通話グループ設定と優先端末による一斉割り込み通話機能がある。中部国際空港では災害などの規模に応じて、関連組織から他組織を含む空港全体の通話グループまで数段階の範囲に対応したCOCからの一斉割り込み通話を可能としている。空港に関係する組織との迅速かつ的確な情報共有を実現しており、空港運営におけるTETRA活用のモデルケースとも言える。

 TETRAを1年間運用した感想として、大坪氏は「災害に強い安心感」を挙げた。「(災害時に)我々が動くためには、専用の通信インフラが必須です。従来の無線と比べて空港内で(電波が通じない)ブラインドエリアがなく、音声がクリアです」と評価する。中部空港は伊勢湾内の海上空港だが、3キロほど離れた対岸の常滑市役所でも電波が入るという。また、正確なやり取りをする上で、音声がクリアであることは不可欠と言える。

海外からTETRA無線機とやり取りも

 音声通話だけではなく、TETRAはテキストメッセージを送受信できる。また、位置情報を送信するGPSやiBeacon(アイビーコン)に対応し、無線端末の位置をパソコンなどに表示し、スタッフや車両の位置情報を管理することも可能だ。さらに現在は試行運用だが、TETRAと公衆網を相互接続するWAVE(TM)機能により、携帯電話を用いてTETRAのエリア外からもTETRA無線機と通信することもできる。

COCの大坪部長(左)とTETRAの端末を手にするスタッフの末松さん

MTP6550

 例えば海外出張に出ている社員や役員がTETRA無線機と直接やり取りできる。COCは1チーム6人編成でシフトを組んでいるが、夜間や休日などに緊急事案が発生した際には大坪氏の元にも電話が掛かってくるという。「家に居てもTETRAをモニターできるのは便利ですね」と関心を寄せていた。

 また、将来はLTEや5Gなどのシステムと統合することで、写真、動画、ファイルや、警備員に装着されたカメラで現場のライブ映像を対策本部などへ送ることなどができるシステムの構築が可能だ。

 空港内の信頼性の高い音声通話の確保に限らず、ブロードバンドシステムとの連携による様々な連絡手段を提供できるような高い拡張性もTETRAの優位性であり、日常の空港業務改善や災害対策強化などでのさらなる活躍が期待できる。

制作協力:モトローラ・ソリューションズ

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DIMETRA™(ダイメトラ)・TETRA(テトラ)デジタル防災行政無線/空港・鉄道無線システム
中部国際空港 セントレア
日本空港無線サービス

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