エアライン, 官公庁 — 2020年8月13日 10:31 JST

日航機事故35年追悼式、新型コロナで縮小 赤坂社長「安全のコスト削減あり得ない」

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 日本航空123便墜落事故で乗客乗員520人が亡くなり、35年が経った8月12日夜、墜落現場となった群馬県多野郡上野村の追悼施設「慰霊の園」で、35周年追悼慰霊式が開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため遺族の参列が見送られ、規模を縮小して行われた。

慰霊の園で遺族に代わり犠牲者数と同じ520本のろうそくをともす上野村役場の職員ら=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園で遺族に代わり犠牲者数と同じ520本のろうそくをともす上野村役場の職員ら=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国土交通大臣として10年ぶりに参列した赤羽一嘉国交相や日本航空(JAL/JL、9201)の赤坂祐二社長ら関係者が献花後、慰霊の園には犠牲者の数と同じ520本のろうそくに火がともされた。羽田発伊丹行きJL123便(ボーイング747SR-100型機、登録記号JA8119)が墜落した午後6時56分を迎えると、参列者が黙祷(もくとう)をささげた。

 例年は遺族がろうそくに火をともしているが、今年は上野村役場の職員らの手で行われ、式の模様は遺族向けにライブ中継された。

 慰霊の園は村民有志が土地を提供し、村やJALによる公益財団法人・慰霊の園が1986年8月1日に開設した慰霊施設。持ち主がわからない遺品や事故記録などが展示されている展示棟は、1987年に完成した。

 35年が過ぎてJALでも9割以上の社員が事故後の入社となり、村でも代替わりが進んで事故の風化が懸念される中、追悼慰霊式で慰霊の園理事長の黒澤八郎・上野村村長は、「今後も式典を続けていく」と誓った。

 12日は墜落現場の御巣鷹山を遺族や関係者らが慰霊登山に訪れ、救出活動時にヘリポートが造成された尾根にある「昇魂之碑」を参拝し、「鎮魂の鐘」を鳴らしていた。午後4時の時点で、昨年より30家族135人少なく、約半数となる50家族141人が御巣鷹山を訪れた。過去最多は、30年目を迎えた2015年の106家族406人、2番目は20年目の2005年の103家族405人だった。

 赤羽国交相は、「決して事故を風化させない。安全神話に陥らないのは言うは易しだが、すべての方々と安全第一の社会を実現すべく全力を尽くす」と決意を新たにした。航空会社で頻発した飲酒問題を引き合いに出す一方で、2019年12月に起きた国交省のパイロットによる飲酒事例への言及はなかった。

 事故後の1987年4月に入社した赤坂社長は、安全推進本部部長兼ご被災者相談部長や、執行役員整備本部長とグループの整備会社JALエンジニアリング(JALEC)社長を経て、2018年4月に事故後入社では初めて社長に就任した。赤坂社長は、事故の教訓について「どんな事例よりもたくさんのことを学べる。山に登ることで、頭で学ぶだけではなく、心で感じることがすごく大事なことだ」と述べた。

 事故から35年の節目と同時に、2010年1月19日の経営破綻から10年が経過。今春からは新型コロナウイルスの影響で大量運休が続き、国内線の需要回復が期待された8月も追加減便が行われている。赤坂社長は「飛行機が止まっている中、社員のモチベーションを保つことが重要。飛行機を飛ばすことだけが仕事ではない。やれることを作っていく。(破綻の記憶は)薄れているとは感じていない。社員を強く信じていく」と語った。また、「安全のコストを削ることはあり得ない。絶対あってはならない」と強調した。

*御巣鷹山の様子はこちら

犠牲者数と同じ520本のろうそくがともされ墜落時刻の午後6時56分を迎えた慰霊の園=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園に献花し犠牲者の冥福を祈る赤羽国交相=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園に献花し犠牲者の冥福を祈る赤羽国交相=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園に献花し犠牲者の冥福を祈る赤羽国交相=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園に献花し犠牲者の冥福を祈るJALの赤坂社長=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園に献花し犠牲者の冥福を祈るJALの赤坂社長=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園に献花し犠牲者の冥福を祈るJALの赤坂社長=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園で遺族に代わり犠牲者数と同じ520本のろうそくをともす上野村役場の職員ら=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園で遺族に代わり犠牲者数と同じ520本のろうそくをともす上野村役場の職員=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園でろうそくをともす上野村の黒澤八郎村長ら=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

墜落時刻の午後6時56分を迎え黙とうを捧げる参列者=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

慰霊の園で「安全のコストを削ることはあり得ない」と語るJALの赤坂祐二社長=20年8月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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