エアライン — 2019年11月8日 22:54 JST

「責任者対応に正解ない」ANAテレマートの電話応対コンテスト、優勝は東京・宮脇さんと中川さん

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 ANAホールディングス(9202)傘下で、全日本空輸(ANA/NH)の航空券の予約やマイルサービス「ANAマイレージクラブ(AMC)」に関する問い合わせなどの電話案内を担うANAテレマートは11月6日、電話応対のスキルを競う「よりそいの達人コンテスト」を羽田空港で開催した。17回目となる今年は、「コミュニケーター部門」が東京支店AMCグループの中川栞さんが、「コントローラー部門」は同支店国内グループの宮脇由紀子さんが優勝した。

ANAテレマートの電話応対コンテストで優勝した東京支店の中川さん(左)と宮脇さん=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

—記事の概要—
責任者部門を新設
横暴な客役にも冷静対応
「責任者対応に正解ない」

責任者部門を新設

 よりそいの達人コンテストは、2003年に「応対コンクール」として開始し、以降は毎年開催。2018年からは名称を現在のものに変更した。今回のテーマは、「ANAテレマートだからこそできる -顧客体験価値の創造-」。適切な時間で最適な回答と提案を実践することで顧客の心を動かし、生涯にわたる関係の構築を目指すという。今回は国内の約1100人のコミュニケーターの中から自薦や他薦で選ばれた8人が出場した。

コントローラー部門で優勝した東京支店国内グループの宮脇さん=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 コンテストは、電話応対業務を担当する社員が対象の「コミュニケーター」と、責任者として利用者の対応をおこなう「コントローラー」の2部門で実施。札幌・東京・長崎の各拠点、各グループの代表者らが参加し、部門ごとにもっとも優れた1人を選び表彰した。昨年は経験年数に応じた「フレッシャーズ」と「エキスパーティーズ」で部門を分けていた。

 コミュニケーター部門では、利用者の真意を引き出し、効率的で最適な提案ができているかを審査する。電話で応対する利用者像として、「現在32歳夫婦」「5歳のお嬢様」「仙台在住」「クレジット機能のないマイレージカードを所持したプラチナ会員」の4つと、電話口の第一声が「ポイントって何かに使えるんですか?」であるという断片的な情報だけが事前に伝えられていた。

 前提条件は同じでありながら、利用者の“真意”はそれぞれ異なるため、会話展開は選手ごとに違っていた。

横暴な客役にも冷静対応

 電話応対の責任者となるコントローラーは、最初に対応するコミュニケーターを上回る能力が要求されるという。競技では、イレギュラーやトラブル発生時の判断力や問題解決力、コミュニケーション力などを審査。制限時間のないコミュニケーター部門とは異なり、7分の持ち時間内で実力を発揮した。

コントローラー部門で優勝した東京支店国内グループの宮脇さん=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 コントローラー部門は、第一声がコミュニケーターからで、責任者として対応を引き継ぐ場面からスタート。社員が扮するANA便の利用者から搭乗前のけがや病気に対し、予約変更などの相談が寄せられ、出場したコントローラーたちは親身に対応していた。

 同部門で優勝した宮脇さんが担当した利用者の女性は、夫婦と子供の3人で翌日から沖縄へ向かう設定だった。子供が熱を出して予約便に搭乗できない可能性があり、当初の予約便と同日夜の最終便、翌朝の計3便の座席確保を要求。そして、必要のなくなった予約をキャンセルするよう、宮脇さんが女性に求めると、電話を宮脇さんから寄こすよう求めるなど、他人のことを考えない、身勝手極まりない傍若無人な利用者に対してさえ、冷静かつ適切に案内していた。

コミュニケーター部門で優勝した東京支店AMCグループの中川さん=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 コミュニケーター部門優勝の中川さんは、利用者が言う「ポイント」が何を指すかを確認し、座席を上位クラスへ変更できる「アップグレードポイント」であることを聞き出した。利用者が予約しているチケットがマイルを使った特典航空券で、アップグレードポイントが使えないため、ポイントをほかのことにも利用できると提案した。

 また、利用者がAMCの「プラチナ」会員であったため、同会員以上が入会できる「スーパーフライヤーズカード(SFC)」を、入会するメリットにふれながら勧めていた。

「責任者対応に正解ない」

 「責任者対応に正解はない」と話す宮脇さんは、在籍16年。過去のコンテストでは、2010年に優勝しており、今年は9年ぶりに頂点に立った。今回の出場では、相手の真意をつかむ難しさを改めて知ったといい、今後は自分なりに勉強してさらに上の応対を目指すとともに、後輩にも伝えていくという。

 2018年に入社し、1年半ほどの経験で優勝した中川さんは、表彰後に「これからもANAのファンを増やしていけるよう、がんばります」とあいさつした。普段の電話応対では、聞かれていないことまで案内しがちだったという中川さんは、「適切な時間で的確な答えを出すことを意識していたので、それが良い評価につながったのかと思います」と、今回の勝因を分析した。

 ANAテレマートは東京と札幌、長崎に拠点を構え、3拠点で約1100人が勤務。応対力のコンテストは2003年から開始し、2018年は札幌で開催した。2020年は長崎での開催を予定している。

*写真は10枚(出場者一覧は写真下に掲載)。

ANAテレマートの電話応対コンテストで優勝した東京支店の中川さん(中央左)と宮脇さん(同右)と出場者=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

ステージに整列したよりそいの達人コンテストの参加者=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

コントローラー部門で優勝した宮脇さんの応援団=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

電話の応対で利用者役を演じた社員=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

記念撮影におさまる優勝の中川さん(前列中央左)や宮脇さん(同右)ら出場者と審査員、関係者=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

コントローラー部門で優勝し仲間と記念撮影する東京支店国内グループの宮脇さん=19年11月6日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

よりそいの達人コンテスト出場者(敬称略で出場順、括弧内は所属・グループ)
コミュニケーター部門
中川 栞(東京支店・AMC)優勝
関 紗規子(東京支店・国際)
松田 花鈴(長崎支店・国内)
中岡 彬(札幌支店・国内)

コントローラー部門
森 綾美(長崎支店・国際)
宮脇 由紀子(東京支店・国内)優勝
児玉 麻紀(札幌支店・AMC)
伊勢 知子(営業サポート室・ADD)

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