エアライン, 企業 — 2019年9月5日 23:05 JST

空港で困っている人と助けたい人、LINEでつなげます ANA、羽田で実証実験

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 全日本空輸(ANA/NH)は9月5日、手助けが必要な人と助けたい人をつなぐチャットボット「&HAND(アンドハンド)」の実証実験を、羽田空港で公開した。5日と6日の2日間実施し、将来は羽田全体の取り組みにできるか検証する。

羽田空港の&HAND実証実験でキオスク端末のボタンを押す利用者=19年9月5日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 &HANDは、外出に不安や困難を抱えた人と手助けしたい人(サポーター)をつなぐもので、身体障害者を取り巻く環境など、社会の課題解決に取り組む一般社団法人PLAYERS(プレイヤーズ、世田谷区)が開発。空港内に設置した&HANDの仕組みを用いたキオスク端末で、助けを求める人がボタンを押すと、サポーターにLINEで通知が届くようにした。サポーターは手助けが必要な人の存在や状況がわかり、具体的な行動を起こせるようになる。

 実証実験では、空港での手助けや支えあいの必要性の有無、&HANDの有効性の確認と改善点の洗い出し、サポーターの応対の最適化などを検証する。空港利用者を案内するサポーターは、事前登録したANAグループの社員ボランティアが担当。30人のボランティア募集に対して、さまざまな部署から定員を超える応募があり、抽選で決めたという。ANAによると、普段から乗客に接する地上係員(グランドスタッフ)からの応募が多いと予想していたが、実際は乗客と直接接点がない部署から多くの応募があった。

 キオスク端末は、羽田第2ターミナルの到着口を出てすぐのところに設置した。また、乗客が手荷物を受け取るターンテーブル付近の案内モニターにも、端末の告知を流した。端末のボタンは、要望が比較的多いという「乗り換え案内」や「手荷物を運ぶ」、「困りごと全般のサポート」の3種類を用意し、心理的な抵抗を少なくするために、押しやすい大型ボタンを採用した。「危険」をイメージしがちな赤を使わないなど、色にも配慮した。

「&HAND」の実証実験について説明するPLAYERSの池之上さん(左)ら=19年9月5日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 ANAによると、現時点では同社のみの取り組みになっているが、将来は羽田空港全体に広げたいという。航空会社の違いだけでなく、業種による垣根もなくし、羽田に勤めるさまざまな人が参加して「誰もが安心して利用しやすい“優しい空港”」を目指すという。

 PLAYERSでは、「&HANDを通じて、障害の有無にかかわらず、誰もがいつでも助けを求められ、誰もがすぐに手助けできる社会の実現を目指す」という。PLAYERSのコアメンバーで、サービス介助士の資格を持つ池之上智子さんは、「困った人に手を差し伸べることが当たり前の社会になってほしい。最終的には&HANDを必要としない社会になり、&HANDはなくなってほしいと思っている」と、将来への希望を話した。

 ANAとPLAYERSは今後、&HANDの社会実装に向けた改善を進め、旅行に不慣れな乗客や移動に不安がある利用者などのニーズを把握して、ひとり一人の希望に沿った環境づくりにつなげるという。

羽田空港でANAと実証実験するPLAYERSが開発した&HANDのキオスク端末=19年9月5日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

羽田空港の&HAND実証実験でANAのサポーターと合流できた利用者(右)=19年9月5日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

羽田空港の&HAND実証実験でANAのサポーター(左)と合流できた利用者=19年9月5日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

羽田空港の&HAND実証実験でキオスク端末のボタンを押す利用者=19年9月5日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

実証実験で使ったキオスク端末の画面。ANAのサポーターが返信すると内容が表示される=19年9月5日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

羽田空港で&HANDの実証実験について告知するモニター=19年9月5日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

関連リンク
全日本空輸
&HAND

ドローンで離島のアワビ・サザエ空輸 ANAやLINEなど、福岡でBBQ実証実験(19年8月2日)
発達障がいの子供にもサッカー観戦を ANAなど3社、川崎でJリーグ戦(19年7月28日)
ZMP、JALと成田空港で自動走行実験 20年にトーイングトラクターで(19年7月27日)
JAL、整備士訓練にVR教材 エンジン試運転再現(19年7月17日)
ANA、佐賀空港で飛行機のリモコン牽引実用化 A321や737対応(19年7月4日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post
キーワード: