エアライン, 企業, 空港 — 2019年6月1日 10:25 JST

成田空港、顔パス搭乗20年春から 日本初、NECの顔認証システム採用

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 日本電気(NEC、6701)と成田国際空港会社(NAA)は5月31日、顔認証技術を使った成田空港の搭乗手続き「OneID」の報道関係者向け説明会を都内で開いた。東京オリンピック・パラリンピック開催を控えた2020年春から導入予定で、チェックイン時に登録した顔写真を使い、保安検査場や搭乗口で歩きながら本人確認することから、“顔パス”(ウォークスルー)で通過できるようになる。

NEC本社で行われた顔認証による免税店入店のデモンストレーション=19年5月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
チェックイン後は顔パス
20年春から導入

チェックイン後は顔パス

 OneIDは、航空会社などが加盟するIATA(国際航空運送協会)が推進する旅客搭乗手続きの自動化プロジェクト「ファストトラベル」のひとつ。チェックイン時に顔写真を登録すると、保安検査や出国審査、搭乗口などを止まらずに通過できる。

NEC本社で行われた顔認証によるチェックインのデモンストレーション。パスポートとスマートフォンに表示される搭乗券の二次元バーコードを顔写真にひも付ける=19年5月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 利用者がチェックイン時に顔写真とパスポート情報、搭乗券情報をひも付けると、OneIDの認証システムに情報が一時的に格納される。保安検査場の入口や搭乗口などで、歩きながら撮影した顔写真を認証システムの情報と照合して本人確認する。

 OneIDを導入すると、チェックイン後は搭乗券やパスポートの提示が不要になり、搭乗までの手間や時間を削減できる。人手不足が深刻化する中、航空会社や空港は省力化や省人化を進められる。また、最先端の顔認証システムを活用することで、テロなどの犯罪の未然防止が期待されている。

20年春から導入

 成田空港では、2020年春から日本航空(JAL/JL、9201)が第2ターミナルで、全日本空輸(ANA/NH)が第1ターミナル南ウイングで供用開始を予定。NAAがNECの顔認証システムを導入する。

NEC本社で行われた顔認証による免税店入店のデモンストレーション=19年5月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 OneIDの導入には国と航空会社、空港会社との間で旅客情報の連携が必要になることから、参加航空会社やターミナルは順次増やしていく。

 NECのシステムは、同社の生体認証「Bio-IDiom」の中核技術で、世界一の認証精度を誇るという顔認証AIエンジン「NeoFace」を搭載。NECによると、照合精度は好条件では99.2%、悪条件でも85.4%と、さまざまな環境下で認証できるという。

 NAAは、OneIDをチェックインと手荷物の預け入れ、保安検査場の入口、搭乗口に導入。国が管理する出国審査を除き、同じシステムで顔パス搭乗ができるようになる。

 顔認証技術を用いた搭乗手続きは、シンガポールのチャンギ国際空港で初めて本格導入され、米国のハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港でも採用している。NAAによると、いずれもウォークスルーではなく、ポイントごとにパスポートなどの提示が必要だという。ウォークスルー技術は、成田が初導入となる見通し。

 OneIDは成田のほか、国内では羽田空港でも導入する計画が進んでいる。

 NECでは搭乗手続きに加え、免税店でのパスポートや搭乗券確認も顔パスにするシステムを提案。31日の説明会では、チェックインなどのシステムに加えて、免税店向けシステムのデモンストレーションも公開した。

 NECは、2020年度までの中期経営計画で、セーフティ事業を世界市場での成長エンジンに位置づけている。

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