官公庁, 空港 — 2017年6月29日 19:00 JST

成田空港スライド運用案、「ぎりぎりの調和点」 夏目社長「説明重ね理解得たい」

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 成田国際空港会社(NAA)の夏目誠社長は6月29日、国土交通省と千葉県、成田市など空港周辺9市町、NAAによる成田空港の4者協議会で提出した運用時間延長案について、「ぎりぎりの調和点」を探ったとして、住民への説明を重ね理解を得たいと述べた。

地元住民に「説明を重ねて理解を得たい」と述べるNAAの夏目社長=17年6月29日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 4者協議会は6月12日、夜間飛行制限の緩和見直しや騒音区域案の設定、航空機から落下物対策などで確認書を締結することで了承。NAAはC滑走路(第3滑走路)の供用後、滑走路別に異なる運用時間を採用する「スライド運用」を導入し、飛行経路下で6時間の静穏時間を確保する案を提示した。現在は午前6時から午後11時までの運用時間とし、7時間の制限時間を設けている。

 2016年9月27日の4者協議会では、運用時間を午前5時から午前1時まで3時間を延長し、住民の静穏時間を4時間とする案を提出していた。夏目社長は「『住民は4時間の睡眠でいい、と考えているのか』と強い批判をいただいた」と述べ、「『4時間』が『批判のシンボル』」となったと続けた。

 地域住民の生活環境を守る一方、成田空港の競争力の確保も課題となる。夏目社長は「2019年、北京に4本滑走路の巨大空港ができる」と具体例を挙げた。両立を図る観点から「ぎりぎりの調和点」を探り「知恵を絞った」と、提出案への自信をのぞかせた。

 夏目社長は、地元自治体の首長からは「よく検討していただいた」、住民団体からは「完璧とは言えないが、よく考えてくれた」と、一定の評価をする声をもらったと述べ、「大きな一歩を踏み出すことができたのではないか。(地域住民には)説明して理解を得たい」とした。

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成田国際空港
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