企業, 解説・コラム — 2026年10月16日 23:16 JST

東海道・山陽新幹線、新型「S0系」29年7月投入 グリーン車刷新や自動運転

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 JR東海(東海旅客鉄道、9022)は10月16日、東海道・山陽新幹線に投入する次期新幹線車両「S0系」の製作を決めたと発表した。2020年7月に営業運転を開始したN700S系以来の新型車両で、運転士が乗務する自動運転システム「GOA2」を搭載する。2029年7月の営業運転開始を予定しており、2032年度上期までに25編成の投入を計画している。航空各社の国内線は今後大幅な需要増が見込めない中、空と鉄道のさらなる競争激化につながる可能性もある。

東海道・山陽新幹線S0系のイメージ(青帯等のデザインは今後決定、JR東海の資料から)

 S0系は、最初に製造される「確認試験車」1編成を2028年8月に投入予定。2029年度からの投入計画は同年度が8編成、2030年度と2031年度が各7編成、2032年度上期が3編成で、同年度下期以降は未定としている。N700Sと同様、異なる両数の編成を容易に構成できる「標準車両」とする。名称の「S」はShinkansenとSupreme、「0」は新たな進化の基点に由来している。S0系はどのような車両になるのだろうか。

—記事の概要—
・自動運転と地震時の安全対策
・新先頭形状で省エネ、グリーン車も刷新
・スプリームクラスと車内設備
・荷物置き場増設、再生アルミ拡大
・既存N700S・N700Aにも新機能

自動運転と地震時の安全対策

 自動運転システムのGOA2は、運転士が運転室に乗務する方式。ダイヤや速度制限などの情報を基に、消費電力を抑えた走行速度を設定する。出発時にボタンを押すと自動走行し、効率的な加速や惰行を組み合わせて定時到着を目指す。急な徐行や速度制限が生じた場合も、最新情報に応じて計画速度を自動更新し、回復運転によって遅延を抑える。

東海道・山陽新幹線S0系の自動運転システム(JR東海の資料から)

 運転情報の伝送には、40GHz帯の電波を使うミリ波列車無線を活用する。運行管理システム「コムトラック」からの情報を車両に送る仕組みは、2030年度末からの使用開始を予定している。一方、S0系の営業運転開始は2029年7月で、開始時点で使用するGOA2の具体的な機能範囲は今回のリリースでは示していない。駅での定位置停止には、今年9月から全営業列車で使用しているTASCを用いる。

 地震時の安全対策では、ミリ波列車無線を使った早期地震検知システムを導入する。従来は地震を検知した後、地上側で送電を停止するなどの過程を経てブレーキが作動していたが、新方式では地震検知情報を車両へ直接伝送する。地震検知からブレーキ開始までの時間は、現行の約2秒から約0.2秒へ約10分の1に短縮する。

 ブレーキ制御も改良し、地震時のブレーキ距離をN700Sと比べて約5%短縮する。時速285キロから地震時のブレーキを使用した場合の比較で、地震発生時に列車をより早く停止させる。

地震発生時の列車停止早期化(JR東海の資料から)

新先頭形状で省エネ、グリーン車も刷新

 先頭形状は、新開発の「ツイン リーメクス形」を採用する。N700Sの「デュアル スプリーム ウィング形」を改良したもので、JR東海は車体側面から先頭部へ続く滑らかな曲面のねじれを、鳥の翼にある風切羽(かざきりばね)にたとえている。先頭と後尾の双方で風の流れを操る形状を表現したという。青帯などの外観デザインは今後決定する。

環境性能の向上(JR東海の資料から)

 新しい先頭形状などによる空気抵抗の低減や、自動運転による効率的な走行、効率的な電気機器の搭載などにより、編成全体の消費電力量をN700S比で約6%削減する。

 車内設備では、グリーン車に2タイプの座席を設ける。8・9号車の「多機能アームレスト座席」は、肘掛けに収納できる大型テーブルやスマートフォンホルダー、ドリンクホルダーを備える。座席数は8号車が68席、9号車が64席となる。

 10号車には、隣席との間を大型パーティションで仕切る「パーティション座席」を48席設置する。肘掛け収納式の大型テーブルも備える。同じ10号車には、グリーン車より上位の「Supreme Class(スプリームクラス)」も配置し、個室タイプの「Cabin(キャビン)」を1席、半個室タイプの「Seat(シート)」を6席設ける。

車内設備の充実による利便性・快適性向上(JR東海の資料から)

スプリームクラスと車内設備

 スプリームクラスはS0系で新設するものではなく、キャビンは今年10月1日にサービスを開始した。シートは2027年度中にサービスを始める予定で、既存のN700Sでも導入を進める。

車内設備の充実による利便性・快適性向上(JR東海の資料から)

 グリーン車の無料Wi-Fiも拡充する。従来の7・8号車に加え、9・10号車にも「S Wi-Fi for Biz」を導入。8~10号車には5G対応の透明ガラスアンテナを設置し、通信容量の拡大などで安定性を改善する。9号車のデッキには、移動中に身だしなみを整えられるパウダーコーナーを新設する。

 乗り心地では、車体の揺れを抑える「フルアクティブダンパ」の制振制御を改良し、列車同士がすれ違う際の横方向の揺れを約10%低減する。対象はグリーン車の8~10号車と普通車の7号車。グリーン車ではリクライニング可能角度の調整と跳ね上げ式フットレストの採用により、足元スペースをN700S比で約140ミリ拡大する。リクライニング可能角度の調整は普通車にも実施する。

車内設備の充実による利便性・快適性向上(JR東海の資料から)

荷物置き場増設、再生アルミ拡大

 荷物置き場は、普通車とグリーン車に共通する改良として、デッキ部を従来の6カ所から9カ所へ増設する。3・7・15号車に設けるほか、客室内の荷棚スペースも拡大。N700Sと比べ、先頭車は高さと奥行きの拡張で約25%、中間車は奥行きの拡張で約5%広げる。

車内設備の充実による利便性・快適性向上(JR東海の資料から)

 トイレや洗面所の設備も見直す。女性専用トイレは室内スペースを約25%拡大し、ベビーベッドを新設する。男性専用トイレは従来の折り戸を引き戸に変更する。洗面所は1・7・11号車を除き、入口部分の幅を拡大する。

 環境面では、廃車となった新幹線から回収したアルミ材を再利用する「水平リサイクル」を拡大する。構体に占める再生アルミ部材の使用割合を、2026年度以降に追加投入するN700Sの約14%から、S0系では約20%に高める。従来の屋根や側面の一部に加え、新たに床と妻面の一部にも再生アルミ部材を使用する。車体素材のほぼすべてをリサイクル可能なアルミ材に統一する計画だ。

環境性能の向上(JR東海の資料から)

既存N700S・N700Aにも新機能

 S0系で採用する車内設備のうち、グリーン車のサービス向上に関する改良は、2027年12月以降に投入するN700Sの新製車両から先行実施する。既存のN700SとN700Aについても、一部の新機能を追加する改造工事を進める。

 既存車両の改造は、N700Sの無料Wi-Fi拡充を2027年1月以降に順次開始。2028年4月以降は、N700Sと対象となるN700Aに多機能アームレスト座席やパーティション座席、リクライニング可能角度の調整、跳ね上げ式フットレストを導入する。N700Sにはパウダーコーナーの設置やフルアクティブダンパの改良も実施する。フルアクティブダンパの改良は7~10号車が対象で、7号車はスプリームクラスのキャビンを設置した車両に限る。N700Aの対象からは、2031年3月までに廃車を予定する編成を除く。

 自動運転のGOA2とミリ波列車無線を使った早期地震検知システムは、2029年10月以降に既存N700Sへの追加改造を順次始める。同時期からN700SとN700Aの地震時ブレーキ制御も改良するが、N700Aは2032年7月までに廃車を予定する編成を対象から除く。荷物置き場や荷棚の拡大、洗面・トイレ設備の改良は、既存車両への改造対象として示されていない。

N700AとN700Sへの改造工事(JR東海の資料から)

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JR東海

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