エアライン, 官公庁, 解説・コラム — 2026年7月8日 17:29 JST

ANA、北海道に運航管理拠点「NOS」大規模災害想定し羽田と2拠点化

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 全日本空輸(ANA/NH)は7月8日、首都圏などの大規模災害を想定した、航空機の運航管理などを担う北海道の新拠点「NOS(ノース)」を報道関係者に公開した。1日から本格稼働し、羽田空港に一極集中していた運航の司令塔機能を北海道にも分散。災害時にも最低限の運航を維持するBCP(事業継続計画)体制を整えた。

大型モニターに映し出された羽田側の社員と会話するANAが北海道内に開設したNOSに勤務する社員=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
平時から北海道で一部運航管理
首都圏直下地震など大規模災害想定

平時から北海道で一部運航管理

 NOSの正式名称は「ANA Northern Operations Satellite」。災害時だけ使うバックアップ拠点ではなく、平時から一部業務を担う。ANAによると、オペレーションマネジメント機能を2拠点化するのは今回が初めて。

ANAが北海道内に開設したNOS=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 普段は羽田空港が主拠点となり、北海道側では小型機を中心とした国内線の3割程度にあたる便の運航管理業務を担い、国際線では飛行実施計画の策定など一部業務を担当する。大規模災害などの有事には、北海道側で必要な機能を維持する。

 7月1日の本格稼働前は、オペレーションマネジメント機能に携わる約210人が羽田で業務にあたってきた。現在は本格稼働後も全体の人数規模は変えておらず、常駐や出張などを組み合わせ、日常業務では約60人が北海道側で業務する。

 施設内には、縦型の大型モニターとスピーカーを複数設置。羽田側の施設で働く社員と隣同士で話をするように会話できるようになっている。

NOS開設について説明するANAの平澤寿一社長=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAの平澤寿一社長は、万一羽田空港の拠点が機能不全に陥った場合、運航の司令塔をNOSへ引き継ぎ、運航を継続すると説明。「安全運航の堅持を大前提に、生活路線の確保や救援輸送など社会的な役割を果たす」と述べた。

 有事に羽田空港側からNOSへ機能を引き継ぐ想定に備え、ANAは北海道拠点も加えた訓練を実施していく。平澤社長は、これまでは東京側に関係者が集まり模擬演習などを実施していたとした上で、「今後はこの北海道の拠点を加えて訓練を実施していく」と説明した。

 オペレーションマネジメント機能は、ANAグループの航空機の安全な運航を24時間365日体制で統括・管理するもの。日々の飛行計画や便数調整、情報管理を担う運航・ダイヤ管理、客室乗務員やパイロットの勤務スケジュール作成、整備部門内の総括指揮・調整などが含まれる。

首都圏直下地震など大規模災害想定

 ANAは今年3月に、災害対策基本法に基づく「指定公共機関」に日本航空(JAL/JL、9201)とともに指定された。大規模災害時には行政と連携し、航空インフラを活用して被災地への緊急物資や救援要員の輸送、避難者の移動支援などの社会的役割を果たす体制を強化する。運航の司令塔機能が羽田空港に集中したままでは、災害時にANAのオペレーション全体を継続できなくなるリスクがあると判断した。

ANAが北海道内に開設したNOS=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 BCPで考慮する重災害は、首都圏直下型地震、南海トラフ地震、富士山噴火、南海トラフ地震後の富士山噴火連動。従来のBCPは首都圏直下型地震を前提に、発災直後の対応や復旧を重視していたが、特定の災害にとらわれない「オールハザード型BCP」へ見直した。

 有事の国内線では、被災地域を除く定期路線や生活路線を中心に、要請に応じた人や物資の救援輸送に対応する。国際線では、羽田・成田が被災した場合、海外からの定期便を関西など羽田・成田以外の空港へ向かわせることなどを想定している。

 北海道を選んだ理由についてANAは、首都圏直下型地震や南海トラフ地震、富士山噴火による直接的な被災影響が小さく、一定規模の人員や経営資源を継続して確保できる点を挙げる。一方、本州との往来や物流への影響は想定している。

大型モニターに映し出された羽田側の社員とともにNOSで業務にあたる社員=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

大型モニターに映し出された羽田側の社員と会話するANAが北海道内に開設したNOSに勤務する社員=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAが北海道内に開設したNOSで働く社員=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAが北海道内に開設したNOS=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAが北海道内に開設したNOS=26年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
指定公共機関(内閣府)
全日本空輸

内閣府、JAL・ANAを「指定公共機関」に 災害時に人員・物資の輸送協力(26年3月13日)
東日本大震災から15年、仙台空港内で黙とう(26年3月11日)
地方空港の災害復旧や整備、国が代行可能に 航空法9月改正(25年8月26日)

  • 共有する:
  • Facebook
  • Twitter
  • Print This Post
キーワード: