エアライン, 解説・コラム — 2026年6月23日 15:55 JST

JAL鳥取社長、CA飲酒問題陳謝 マイル制度「JGC」見直さず=株主総会

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 日本航空(JAL/JL、9201)は6月23日、第77期株主総会を東京・有明の東京ガーデンシアターで開催し、剰余金の処分(配当)、取締役と監査役選任の3議案をすべて可決して閉会した。議長を務めた鳥取三津子社長は、5月に発生した客室乗務員(懲戒解雇)の飲酒問題を陳謝し、信頼回復に「職を賭して取り組む」と表明した。

東京・有明で開かれたJALの株主総会=26年6月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、株主質問のうち、マイル会員制度の見直しについては、空港ラウンジを利用しにくくしたり、JALが加盟する航空連合「ワンワールド・アライアンス」のステータスを引き下げるなどの制度変更は考えていないと、担当役員が回答した。昨年に続き、退場者は出なかった。

—記事の概要—
飲酒問題「職を賭して」
ラウンジ制限やステータス格下げ「考えていない」
国内線出張需要はコロナ前8割

飲酒問題「職を賭して」

 鳥取社長は開会直後、2024年度と2025年度に安全上のトラブルが相次ぎ、国土交通省から重ねて行政指導を受けたことを陳謝。対策に取り組む中で、5月に再びトラブルを発生させたことを「経営として極めて重く受け止めている」と述べ、「社員一同心を一つに対策を見直し、信頼回復に向け全力で取り組む」と説明した。

CAによる飲酒問題を株主に陳謝するJALの鳥取三津子社長ら=26年6月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

CAによる飲酒問題を株主に陳謝するJALの鳥取三津子社長=26年6月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 事前質問に答えた安全統括管理者の中川由起夫・取締役常務執行役員は、2024年12月のメルボルン事案と2025年8月のホノルル事案を受け、外部専門家の知見を取り入れた新たな飲酒傾向管理をパイロットに導入し、客室乗務員を含む全社員への集合教育を繰り返してきたと説明した。

 一方、5月の広島事案を踏まえ、従来の対策には2点の不備があったと認めた。飲酒習慣のある社員を重点的に管理したため、日常的に飲酒しない社員の一部に対策が浸透しなかったことと、客室乗務員の飲酒事案が2019年以降なかったことから、検査体制に問題はないと評価していたことを挙げた。広島事案では、社内検査の「事前検査」でアルコールが検知され、同乗予定だったほかの客室乗務員たちが再三指摘しながらも、当該客室乗務員は検査に応じず、結果として乗務可否を速やかに判断できなかった。

 今回の懲戒解雇処分は、社内規定に基づくもの。会場では、客室乗務員を懲戒解雇したことについて、ほかに対応方法はなかったのか、勤務間隔や心のケアなどを含む抜本策が必要ではないかとの質問が出た。

 客室本部長の中野淳子・執行役員は、従来の対策について、乗務員一人ひとりが内容を理解していたかを会社が十分把握できていなかったと説明。出社前の検査で数値が出た場合も自己申告に頼っていたとして、検査体制を再構築するとともに、客室乗務員の心のケアを会社として支援する体制を整える考えを示した。

 鳥取社長は「日本航空の本当の信頼を取り戻す責務を負っている」と述べ、対策は表面的なものではなく、経営と社員が同じ方向を向き、納得して進める必要があると説明。「ここが不足していた」とした上で、「この責任については今後、私の職を賭して取り組んでいく」と表明した。

 別の株主からは、飲酒問題への外部専門家の活用や、対策の情報開示を求める意見も出た。会社側は、第三者の専門家や飲料メーカーなどの知見を得ながら対策を進め、ウェブサイトで開示する考えを示した。

ラウンジ制限やステータス格下げ「考えていない」

 全日本空輸(ANA/NH)の上級マイル会員制度「スーパーフライヤーズカード(SFC)」の見直しを念頭に、JALの上級会員制度「JALグローバルクラブ(JGC)」でも将来、決済額に応じて空港ラウンジを利用できなくしたり、ワンワールドのステータスを引き下げたりする可能性があるかとの質問が株主から出た。

 マイレージ・ライフスタイル事業本部長の西田真吾執行役員は、JALは2024年に、短期間で搭乗を重ねる「修行」とは異なり、顧客とJALグループを長期にわたりつなぐ制度として「JAL Life Status プログラム(LSP)」を導入したと説明した。

 西田氏は「ラウンジに入りにくくする、あるいはワンワールドのステータスを格下げする改定は考えていない」と述べた。今後も利用実績を見ながら、マイルをためやすく、使いやすい制度を目指すと回答した。

 LSPを巡っては、キャンペーンとタイムセールが重なったことで、2月に宮古-多良間線が連日満席となり、島民の移動に影響が出た問題についても株主から質問が出た。

 路線事業本部の内藤建一郎副本部長は、島民の生活上の移動を制限する結果になったことを陳謝。便数の調整や同路線のキャンペーン対象からの除外、予約客への自主的なキャンセル要請により、島民の移動手段を確保したと説明した。

 今後、同線を再びキャンペーンの対象とする場合は、路線を対象から除外するか、あらかじめ島民向けの座席を確保するなど、生活利用に支障が出ない対策を講じるという。

国内線出張需要はコロナ前8割

 国内線について、鳥取社長はコスト上昇などで利益を確保しにくい局面が続いていると説明。ボーイング737-8(737 MAX 8)の導入に合わせた国内線ファーストクラスの拡大や、DX、競合他社との戦略的協調、ダイヤの見直し、需要に応じた便数調整、他社との協業を進める方針を示した。

 地方路線の減便や撤退が国内線の構造改革に含まれるのかとの質問に対し、内藤副本部長は、国内線の出張需要が働き方の変化でコロナ前の約80%にとどまり、収益性に課題があると説明。構造改革の柱として、収入の最大化、費用の最小化、路線ネットワークの維持を挙げた。

 減便や路線、空港からの撤退については「現段階では全く決まったものはない」と回答した。

  ◇ ◇ ◇

 総会には749人の株主が出席し、所要時間は1時間58分。会場で質問した株主は10人だった。取締役選任を巡る修正動議や議長交代を求める動議などが出たが、会社提案の3議案はすべて原案通り可決された。

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