ボーイング, 機体 — 2026年5月2日 11:50 JST

737-10、離陸中止想定のフルブレーキ試験 1300℃以上の高温に

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 ボーイングは、開発中の737-10(737 MAX 10)で、離陸中止を想定した最大ブレーキエネルギー(MBE)試験の様子を公開した。小型機737 MAXのうち胴体長が最長の機種で、最大離陸重量まで載せた機体を180ノット(時速333キロ)まで加速させた後、スラストリバーサー(逆噴射装置)を使わず、ブレーキだけで停止させた。超長胴型の737-10と短胴型の737-7は、今年後半の型式証明取得を目指している。

カリフォルニア州で最大ブレーキエネルギー試験を終えた737-10飛行試験機=PHOTO: Paul Weatherman/Boeing

 試験は、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で実施した。試験機は最大離陸重量の19万7900ポンド(8万9765キロ)まで積載し、ブレーキは摩耗寿命の残り2%以内まで削った状態にした。ゲートから滑走路へ向かう状況を再現するため、3マイル(約4.8キロ)をタキシングした後、滑走路上で加速した。

 機体は1万5000フィート(約4572メートル)の滑走路で、約1万1000フィートを使って停止した。停止後は、民間空港で救助隊が機体へ到着する時間を想定し、5分間待機した。

 離陸中断で発生したエネルギーにより、ブレーキ内部は華氏2500度(摂氏1371度)を超える高温となった。高温により、タイヤ内圧を逃がす安全機構「ヒューズプラグ」が設計通りに溶けた。4つのブレーキは、消防隊が冷却を始めるまでの5分間、最大エネルギーに耐えたという。

737-10飛行試験機の車輪に加わる大きな制動力により、華氏2500度(摂氏1371度)を超える高温が発生する=PHOTO: Alex Aristei/Boeing

 737 MAXには2社のブレーキサプライヤーがあるため、MBE試験は2回実施した。各試験後は、滑走路上で機体をジャッキアップし、空気が抜けたホイールとタイヤ、ブレーキを交換してから機体を移動させた。ボーイングによると、試験は数カ月の準備を経て実施し、1日の作業が12時間以上に及ぶこともあるという。

 737-10は、737-9より胴体が長い737 MAXファミリー最大となる超長胴型で、最大1クラス230席仕様にできる。2017年に開かれた第52回パリ航空ショーでローンチした。胴体延長と離陸重量増加に対応するため、ボーイングは737 MAXのランディングギアを改修し、ブレーキを強化した。ブレーキには5つ目のローターを追加し、トルクチューブを延長した。

 ボーイングの設計エンジニアは、737-10のブレーキについて「737に搭載した中で最も高性能なブレーキ」と説明。MBE試験はブレーキ性能の確認だけでなく、離陸性能の検証にも関わる試験で、離陸中に異常が起きた場合でも機体を停止できることを示す。

 737 MAXは、737-7から-10まで4つのタイプがあり、737-8と737-9は就航済み。一方、737-7と737-10は型式証明の取得が遅れており、引き渡しは始まっていない。ボーイングは、残る認証飛行試験と必要書類の作成を進め、737-10と737-7の今年後半の型式証明取得を目指している。国内では、スカイマーク(SKY/BC、9204)が737-10を7機発注している。

最大ブレーキエネルギー試験の一環として、離陸中断を試みる前に、時速200マイル超で滑走路を加速する最大積載状態の737-10飛行試験機=PHOTO: Scott Dworkin/Boeing

737-10飛行試験機のブレーキは摩耗寿命の残り2%以内まで削られており、パイロットは推力反転装置を使わずに機体を停止させなければならない=PHOTO: Scott Dworkin/Boeing

737-10飛行試験機のタイヤの空気圧が安全に抜けた後、ホイール、ブレーキ、タイヤを点検するボーイングのエンジニアと試験チームのメンバー=PHOTO: Evan Wollenberg/Boeing

ボーイングの試験・評価チームと737 MAX開発チームは、737-10飛行試験機による2回の最大ブレーキエネルギー試験を成功させた。両試験で、消防隊が冷却を始めるまでの必須時間である5分間、4つすべてのブレーキが最大エネルギーに耐えた=PHOTO: Scott Dworkin/Boeing

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