関空、20年3月期営業益8%減 山谷社長「コロナ収束見通せない」

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 関西・伊丹・神戸の関西3空港を運営する関西エアポート(KAP)が6月10日に発表した2020年3月期通期の連結決算は、純利益が前期(19年3月期)比13%増の335億円だった。前期に台風関連の災害関連損失を計上していたことや、当期(20年3月期)に台風被害の保険金を受け取ったことで純利益が膨らんだ。

20年3月期決算の営業益が8%減となった関空。第1ターミナルに8つあるチェックインカウンターのエリアはAからDまでの半分を閉めて運用している=20年6月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 一方、営業収益は2%減の2158億円、EBITDA(利払前税引前償却前営業利益)が4%減の930億円、営業利益が8%減の524億円、経常利益が11%減の412億円。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で減収減益になった。

 前期は台風によるマイナス影響が営業収益に82億円、営業利益には64億円あった。当期は新型コロナによるマイナス影響が営業収益に192億円、営業利益に130億円生じた。また、当期の特別利益として、台風の保険金を「災害に伴う受取保険金」として119億9600万円計上した。KAPは新型コロナの収束は見通せないとしながらも、2025年の大阪万博開催を視野に入れた第1ターミナル(T1)の改修は計画通り進めていく。

—記事の概要—
「収束まだ見通せない」
T1改修は計画継続

「収束まだ見通せない」

 KAPの山谷佳之社長は、「夏場から日韓関係のもつれにより、急激に70%旅客数が落ちた。時を同じくして香港もデモの関係で30%旅客が落ちた。新型コロナウイルスの影響は月を追って厳しく、今年2月からは(影響が)1年程度続くという見通しに変えたが、3月には世界的流行となり、考えを改めなければならなくなった」と、昨夏から今春までの旅客数急減を振り返った。一方で、今後の見通しについては「収束はまだ見通せない」と語った。

20年3月期決算を発表する関西エアポートの山谷社長=20年6月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2019年度の関空の国際線旅客数は前年度比4%減の2205万7641人と3年連続で2000万人を突破したものの、8年ぶりに前年度を下回った。このうち、日本人旅客は前年並みの716万5875人となった。外国人旅客は5%減の1468万4174人で、日本人旅客を6年連続で上回ったものの、8年ぶりに前年度を下回った。

 方面別では、中国方面は前年度を21%、東南アジア方面は14%それぞれ上回った。一方、韓国は外交問題の影響で33%減、香港・マカオはデモの影響で14%減となった。前年度を上回ったのは欧州が10%増、オセアニア・グアムが13%増、その他が16%増で、下回ったのは北米(ハワイ含む)が3%減、台湾が4%減となった。

 方面別シェアは、1位が29%の中国、2位が18%の韓国、3位が18%の東南アジアで、4位は11%の香港・マカオと台湾、6位は5%の北米、7位は4%の欧州、8位は3%のオセアニア・グアムとなった。

 免税店など非航空系収入の割合は、前年度と同じ59%で、総額2158億円のうち1264億円(前年度比37億円減)を占めた。新型コロナウイルスの影響で、航空系収入は9億円、非航空系は免税店の売上減などで37億円のそれぞれ減収になった。免税店では、中国人客の高い客単価と高倍率に支えられ、国籍別の売上割合では中国人が74%(前年度は72%)を占めた。2位の日本人は12%と、圧倒的な差が続いている。

 国際貨物は、積込と取卸を合わせ総取扱量が6.9%減の74万2000トン、貿易額が0.4%減の9兆580億円となった。貿易額はほぼ前年度並みだったものの、米中貿易摩擦の影響で国内他空港と同じく貨物量が減少した。

T1改修は計画継続

 KAPは、オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム(企業連合)が設立。オリックスとヴァンシが40%ずつ出資している。2016年4月から関西空港と伊丹空港、2018年4月から100%子会社の関西エアポート神戸(KAP神戸)が神戸空港と、関西3空港を実質的に一体運営している。

 現在KAPは、BCP(事業継続計画、Business Continuity Plan)の「ステージ3」と呼ぶ、4段階のステージのうち、もっとも危機的状況に対応するプランに基づいて経営している。ステージ3の次にあたる「ステージ4」は回復期のプランにあたる。

 一方で、1994年の開港以来使用している第1ターミナル(T1)の改修計画は継続していく方針だ。山谷社長は「BCPを厳しいレベルで実行しており、投資を一時中断するのがBCPの基本だが、T1のリノベーションは簡単には止められない。(全面開業の時期は)2025年は変更ない」と述べ、2025年開催の大阪万博までに完了させる計画は見直さないという。

 また、資金面も当面は問題ないとして、運営権料の支払い猶予といった支援を国などには求めず、「まずは自分の足で立つ」(山谷社長)という。

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