ボーイング, 機体 — 2024年4月30日 11:30 JST

次世代練習機T-7A、極寒酷暑や高迎角試験達成 低率初期生産ラインも

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 ボーイングは現地時間4月29日、新規開発したジェット練習機T-7A「レッドホーク」が、極限気候試験など3つのマイルストーンを達成したと発表した。

エグリン空軍基地で人工気候室による極限気候試験を受けるT-7A試験機APT-3(同基地提供)

 到達したのは、人工気候室による極限気候試験と脱出システム試験、高迎角を含む飛行試験。ボーイングは同時に、T-7AのLRIP(低率初期生産)のための新しい生産ラインも構築している。

 フロリダ州のエグリン空軍基地では、5機ある技術・製造開発機のうちの1機であるT-7A APT-3が、極寒から酷暑まで厳しい気象条件を再現した屋内試験を実施。極寒の摂氏-31.7度(華氏-25度)から酷暑となる43.3度(110度)の気温に耐え、推進力、油圧、燃料、電気、二次電源、環境制御といった機体システムの性能が評価された。試験後は機体がボーイングの工場があるセントルイスへ戻された。

 脱出システム試験は、ニューメキシコ州のホロマン空軍基地で実施。コリンズ・エアロスペース製ACES 5射出座席とパシフィック・サイエンティフィックEMC製キャノピー破砕システムの設計強化に焦点を当てたもので、負傷のリスク低減を図った。

 また、ボーイングが新しい飛行制御ソフトウェアの開発を2月に完了。その後10回以上飛行し、迎角25度に到達した。うち3回はパイロット訓練で重要となる高迎角での能力を実証した。

 今回の3つのマイルストーン到達で、ボーイングは今年から2025年にかけて飛行試験と次の脱出システム試験を続ける。また、今年半ばにはLRIPで生産される最初の前部胴体と後部胴体が結合される見通し。

エグリン空軍基地で人工気候室による極限気候試験を受けるT-7A試験機APT-3(同基地提供)

セントルイスで初飛行するT-7AのEMD機(ボーイング提供)

 T-7Aは、T-Xとして開発が進められてきた単発練習機で、1959年に初飛行したノースロップ・グラマン(当時ノースロップ)T-38の後継機。F-22やF-35といった第5世代戦闘機のパイロット養成を主眼に置いた練習機で、351機が引き渡される計画となっている。2019年9月にT-7「レッドホーク」と名づけられ、米空軍には2023年9月15日に初納入された。

 エンジンは単発ながら双発のT-38Cと比べて推力は約3倍。近年の戦闘機と同じ垂直尾翼が2枚の「ツインテール」を採用して全高を抑えた。コックピットは教官が座る後席を前席よりやや高い位置に配した「スタジアムシーティング」とすることで視界を確保している。地上とのデータリンクやキャノピーを横開きにするなど、T-38を使う教官の声を開発に反映し、製造コストを抑えた。

関連リンク
U.S. Air Force
Boeing
ボーイング・ジャパン

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