空港 — 2014年7月26日 08:10 JST

関西・伊丹空港の運営権「3メガ、政投銀参加を」 総額2兆2000億円

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 関西空港と伊丹空港の運営権を民間に売却する新関西国際空港会社は7月25日、コンセッション方式の実施方針を発表した。運営権売却により、2013年度末で1兆1659億円にのぼる負債の返済に充てる。

運営権売却のスキームを説明する新関空会社の安藤社長=7月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 コンセッション方式は、両空港の滑走路やターミナルなどの資産を、国が100%出資する新関空会社が所有したまま、公募により選定される民間企業が設立する特定目的会社(SPC)が運営する方式。運営期間は2015年度から2059年度までの45年間で、運営権を取得したSPCによる新会社は、着陸料などを設定できるようになる。着陸料のほか、ターミナルの商業施設売上などの運営収入を得る。

 運営権の対価は、前払い金となる保証金がゼロの場合で毎年490億円以上を45年間支払い、総額は2兆2000億円以上となる。また、新会社は新関空会社から大半の社員を引き継ぐ義務を負い、新関空会社には資産管理部門など最低限の人員を残す。

 新会社は、「代表企業」と関空規模の空港の運営能力がある事業者、その他投資家の計3者から成るコンソーシアムによる出資を想定。代表企業は、日本の法令やビジネス慣習、関空や伊丹の設置・運営経緯を理解しており、関空相当規模の旅客施設や商業施設などの運営実績がある企業を要件としている。

 国籍条項は定めないため、外国企業も参加可能。一方で、優先交渉権者の選定は財務大臣や外務大臣、防衛大臣など関係省庁に協議した上で、国土交通大臣の承認が必要になる。

 新関空会社の安藤圭一社長は、「今は予算に縛られており、タイムリーに投資ができていない。民間の発想や人材を生かした経営ができるようになる」と運営権売却のメリットを説明。「3メガバンクや日本政策投資銀行にも参画して欲しい。PFI(民間資金等活用事業)のノウハウを国内で蓄積していったほうが良い」と、期待を示した。また、利用者側のメリットとして、利便性向上を挙げた。

 今後のスケジュールは、10月に募集要項の配布と入札を開始。1次選定では2社以上の応募を想定している。2015年6月に国交相の承認により優先交渉権者を選定した上で、8月に運営権を設定。9月に国交相の認可を得て実施契約を締結する。新会社による運営開始は2016年1月を予定している。

運営権の対価と評価例(新関空会社の資料から)

SPCのイメージと実施方針上の要件(新関空会社の資料から)

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