エアバス, エアライン, 官公庁, 機体, 空港 — 2014年4月30日 21:37 JST

ピーチ、海面75メートルまで異常接近 けが人なし

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 ピーチ・アビエーション(APJ)の石垣発那覇行きMM252便(エアバスA320型機、登録番号JA802P)が4月28日午前、那覇空港沖で海面75メートルまで降下した問題で、国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)は29日、事故につながりかねない「重大インシデント」に認定し、航空事故調査官3人をAPJが拠点とする関西空港へ派遣した。

海面75メートルまで異常接近したピーチ=13年12月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 28日午前11時47分ごろ、石垣空港を午前10時52分に出発したMM252便の高度が、那覇空港沖で102メートルまで下がり警報装置が作動。操縦していた機長(アルゼンチン国籍男性、45)が機首上げをし、ゴーアラウンド(着陸復行)を実施した。管制官とのやり取りは副操縦士(日本人女性、38)が担当していた。那覇空港へは北側の滑走路18を使用して着陸し、午後0時10分に到着した。乗客53人(幼児1人含む)と乗員6人にけがはなかった。

 APJによると、同地点では通常300メートル(1000フィート)の高度で飛行することになっていた。同機は空港の北7キロ付近では、高度75メートルまで降下していたとみられる。

 JTSBの調査官は29日午後3時半ごろ、関西空港のAPJ施設を訪れ、格納庫に駐機中の当該機の調査や機長と副操縦士からの聞き取り調査を実施。APJはフライトレコーダー(DFDR)を提出した。APJによると、機体に異常はなかったという。JTSBの調査官は、30日午後5時ごろから那覇空港の管制官に対して聞き取り調査を行った。

 同機のJTSBによる保全は29日夜に解除され、すでに運航に復帰。機長と副操縦士が乗務に戻る日程は、未定だという。トラブルが発生した28日は、関空発札幌行きMM107便、札幌発関西行きMM108便、関西発成田行きMM111便、成田発関西行きMM112便の計4便が機材繰りの影響で欠航した。

 APJでは機長の人数が計画を下回っていることから、5月から10月までに最大2072便が欠航する見通し。現時点で機長と副操縦士が復帰していない影響について、APJでは「副操縦士の人数は足りている。機長については保守的に見て減便を決めたので現在のところは影響は生じない」としている。

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