エアライン, 官公庁 — 2014年5月28日 21:37 JST

ピーチの那覇海面接近、ボイスレコーダーに「有用な記録なし」 運輸安全委

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 ピーチ・アビエーション(APJ)の石垣発那覇行きMM252便(エアバスA320型機、登録番号JA802P)が4月28日午前、那覇空港沖で海面75メートルまで降下した問題で、国土交通省の運輸安全委員会(JTSB、後藤昇弘委員長)は5月28日、ボイスレコーダー(CVR、操縦室音声記録装置)のデータは上書きされ、有用な記録は残っていなかったことを明らかにした。

調査の進捗状況を説明するJTSBの後藤委員長=5月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 JTSBではインシデント発生翌日の29日、航空事故調査官3人を関西空港と那覇空港に派遣。機長と副操縦士、客室乗務員、管制官から聞き取り調査を実施し、管制交信記録やレーダー航跡記録などを入手した。飛行記録装置(DFDR)と対地接近警報装置(EGPWS)からも、データをダウンロードした。

 後藤委員長は調査の進捗状況について、「入手したデータを慎重に分析している最中。必要に応じて、操縦士などから追加的口述調査する可能性もある」と説明。DFDRのデータ公表などについては、「関連するデータや関係者の口述内容、それらの検証が済んでいない段階でDFDRデータのみを公表することは、誤った憶測を生む恐れがあり、現時点では公表を控えたい」との見解を示した。

 今後どのような状況下で降下が始まり、なぜゴーアラウンド(着陸復行)に至ったのか、管制指示と操縦室の状況などから解明していく。

 操縦室内での会話が残っていなかったことの調査への影響と、残っていなかった事実に対しては、「先ほど話した内容以上のもので公表できるものはない」(後藤委員長)と述べるにとどめた。また、JTSBの工藤正博・主席航空事故調査官は、「CVRのデータは有用だが、これがないと何もできないわけではない。DFDRの記録は残っている。CVRのデータが残されないのは、ときどき起こること」と説明した。

 MM252便は4月28日午前11時47分ごろ、那覇空港沖で高度102メートルまで下がり警報装置が作動。機長が機首上げをし、ゴーアラウンドを実施した。JTSBは翌29日、事故につながりかねない「重大インシデント」に認定している。

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運輸安全委員会

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