エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2013年3月15日 23:48 JST

787運航再開は数週間後 バッテリーの絶縁性や電圧設定見直し ボーイングのコナー氏、都内で会見

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 ボーイングは3月15日、都内で会見し、787型機の運航再開時期は数週間後との見方を示した。米国連邦航空局(FAA)が12日(現地時間)にボーイングが示したバッテリーシステムの認証計画と試験飛行を承認したことにより、若干の問題が生じても数日程度のずれで承認が得られるとの自信を示した。一方で、米国家運輸安全委員会(NTSB)や運輸安全委員会(JTSB)が一連のバッテリートラブルで発生したとする「熱暴走」という表現については、「定義は人により異なる」と主張した。

お墨付きがついた

 会見で民間航空機部門のレイモンド・コナー社長は「運航再開は数カ月というよりは、数週間後を見込んでいる」と、FAAの認証が得られれば、これまでの経験から数週間程度で運航が再開できるとの見解を述べた。

都内で会見するボーイング民間航空機部門のコナー社長=3月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

 数週間という期間の裏付けについて、同席したバイス・プレジデント兼チーフ・プロジェクト・エンジニアのマイク・シネット氏は、「認証計画が(FAAに)承認されたということは、技術的な方向性は正しいとのお墨付きがついた。少し問題があったとしても、(認証が延びる日数は)通常数日単位であり、数週間と言える。試験計画の75%が承認されており、25%は進行中か完了している。(残りの工程が)どのくらいかもわかっている」と説明した。

 ボーイングがFAAに示した改善策は、バッテリーのセル単位での発生防止と、不具合が生じた際の拡散防止、機体への影響防止の3段階で構成。ショートにつながる結露など、原因として考えられる約80項目を4グループに分け、これらに対して包括的に対応できる改善策にしたという。

 セルとバッテリーは、設計や製造工程、製造時テストを見直した。セルを絶縁テープで囲み、隣り合うセルでショートが起きないようにした。使用される絶縁体も耐熱性や絶縁性を改良し、バッテリーのフレームに蒸気の排出口を設けた。また、充電器も電圧を見直し、充電時の上限を低く設定してバッテリーへの負荷を減らし、下限を高めて過放電を防止する。

 新たにバッテリーを収めるエンクロージャー(ケース)と排気システムを採用し、出火要因を排除。仮に出火した場合も、燃焼が続かない構造にした。バッテリーから電解液が漏れたり熱や圧力が発生した場合はエンクロージャー内にとどめ、煙や異臭は機外に放出する。シネット氏によると、圧力はこれまでに予想されたものの3倍の値に耐えられ、エンクロージャー自体の試験は6万時間以上行っているという。

バッテリーの問題解決策(ボーイングの資料から)

安全性強調

バッテリーの問題解決策を説明するシネット氏=3月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

 NTSBやJTSBがバッテリー内で発生したとする熱暴走については、シネット氏は「熱暴走の定義は人により異なる。われわれは熱や圧力、炎が機体を危険にさらす状態、と定義している。ボストン・ローガン空港も高松空港(でのトラブル)も、そのレベルではない。バッテリーに過充電も見られなかった」との見解を述べた。

 シネット氏は「認証試験は3分の1ぐらい進んだ。6週間以上設計の詳細について検討を行っており、試験結果は良い。火災が起きないことを実証した」と改善策に自信を示し、「787にはこれまで100回以上乗ったが、自分の身の安全を危惧したことはない」と安全性を強調。コナー社長も「第1便に乗りたい」と語った。

 就航から15カ月間の不具合についても、シネット氏は「深刻な問題は787の方が777よりもはるかに少ない」とし、既存機と比べて信頼性で遜色がないことを強調した。

 リチウムイオン電池を採用するメリットの一つが、従来のニッケル・カドミウム(ニッカド)電池と比較して軽い点だ。改善策を反映した新しいバッテリーシステムについては、重量が約150ポンド(約68キログラム)増加する。シネット氏は「重さ以外にも長所がある」として、高電圧や高電流などのメリットがあるリチウムイオン電池は継続して使用する考えを示した。

 バッテリー製造元のジーエス・ユアサ(6674)について、コナー社長はセルレベルの改善を「徹底的にユアサとの間で行った」とし、同社については「大変満足している」と述べた。

日本とは「密接な関係」

 航空会社が受領した機体を改修するには、不具合が見つかった際に製造元が発行する改修手順を記した書類「サービスブリテン(SB)」が必要となる。SBの承認についてシネット氏は「十分な経験を持っている」として、計画通り進めば数週間程度で承認され、運航再開につながるとの見方を示した。

 コナー社長は日本で会見を開いた理由について、「ローンチカスタマーである全日本空輸(ANA、9202)も、2番目に受領した日本航空(JAL、9201)も日本の航空会社。日本のパートナー企業は非常に重要であり、密接な関係があるのでふさわしい場所と考えた」と述べた。

787に導入する新バッテリーシステムの前に立つボーイングのシネット氏=3月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

会見会場に展示された787の新バッテリーシステム=3月15日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

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