エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2017年12月31日 13:50 JST

日帰りでも疲れなかった787 特集・スクート関空-ホノルル初便で行くハワイ滞在6時間取材に挑戦(後編)

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 前編からの続き。2017年は、日本を発着する中距離路線のLCCが躍進した一年だった。エアアジアグループで中距離路線を担うエアアジアX(XAX/D7)が、関西-ホノルル線を週4往復で6月28日に就航させた。既存のクアラルンプール-関西線を、日本からの以遠権を用いてハワイへ延伸したグループ初の米国路線で、日本からハワイへ向かう初のLCCによる直行便となった。

 前編で触れたように、日本人の人気が高いハワイ路線はフルサービス航空会社(FSC)も大きな動きがあった。そうした中、シンガポール航空系LCCのスクート(TGW/TR)が、シンガポール-関西-ホノルル線を12月19日に開設。関西空港とホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(旧称ホノルル国際空港)を結ぶLCCは、エアアジアXに続いて2社目となった。

ホノルルに到着した関空発初便の機内で記念撮影に応じるスクートの客室乗務員=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スクートは親会社であるシンガポール航空が持つ以遠権を行使し、同社初の米国路線を開設した。関空からホノルルまでの往路は約7時間で、復路は約9時間30分。国内LCCの国際線は、最長でも5時間程度なので、2倍近い時間を機内で過ごすことになる。

 関西-ホノルル線の運航日は往復とも月曜と火曜、金曜、土曜で、通常運賃はエコノミークラスが往復2万7600円から30万7600円、ビジネスクラスの「スクートビズ」が同12万9600円から36万9600円。機材はボーイング787-8型機で、座席数は2クラス329席(ビジネス18席、エコノミー311席)となる。

 果たして、スクートの関西-ホノルル線の機内はどのような雰囲気なのだろうか。19日のホノルル行き初便TR700便(787-8、登録番号9V-OFH)に乗ってみた。そして、今回は現地取材がなかったので、極力短時間で帰国するため、ハワイ滞在6時間ほどでANAの羽田行きNH185便(787-9、 JA837A)に乗り、ゼロ泊2日で翌20日に帰国した。

 後編は、機内食提供後の機内の様子からスタート。LCCとFSCを併用したハワイ日帰りは、どのような結果になるのだろうか。

—記事の概要—
前編
Wi-Fiも使える787
二次検査に当たってしまう
大手と遜色ない居住性とビーフカレー

後編
深夜のゲーム大会
ハワイ滞在6時間で羽田へ
長く乗っても疲れない787

深夜のゲーム大会

 機内食のビーフカレー(18シンガポールドル=約1520円)の取材が終わり、機内Wi-Fiもテストしてみた。システムは、他社の787でも採用されている米パナソニックアビオニクス製。接続後、自社のVPNにつなげてみると、だいたい6秒程度かかった。

 飛んでいる空域や、同時に接続している人数で接続速度は変わるが、スマートフォンでInstagramやFacebookに投稿する程度であったり、ウェブサイトで現地情報を検索する程度であれば、問題ない使用感だった。しかし、機内から接続する際は突然つながりが悪くなることも多々あるので、機内でもネットに接続しようと思えばできる、程度に構えておいた方が良いだろう。

スクートの787のテーブルに置いた13インチのMacBook ProとiPhone 8=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

iPhoneに表示されたスクートの機内ネット接続サービスの料金=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 料金プランは通信できる容量で異なり、20MBの「TWEET 20」が5.99米ドル(約677円)、50MBの「EXPLORE 50」が10.99米ドル(約1242円)、100MBの「SURF 100」が17.99米ドル(約2033円)、200MBの「INDULGE 200」が32.99米ドル(約3728円)、500MBの「BINGE 500」が65.99米ドル(約7457円)と、5種類あった。

 プランの名称は、おおまかな用途の目安を示しており、20MBプランであればツイート、50MBであればちょっとした調べごと、100MBはネットサーフィンという感じだ。私は200MBのプランのうち、ホノルル到着までに使用した通信容量は58MBだった。自機の位置を知るために「FlightRadar24.com」にMacやiPhoneからアクセスしたり、この便の就航記事の掲載状況を確認するために利用した。

 しかし、前述のように通信状況は常に良好とは限らず、ネットにつながることを大前提として使うのは、正直向いていないと思う。これは他社の機内ネット接続サービスと同様だ。多くの人は、20MBか50MBのプランで十分楽しめるだろう。

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内で行われたフラダンス大会=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 午後10時45分(日本時間)、機内が明るくなった。どうやらゲームが始まるらしい。機内の各エリアごとに、英単語をハワイ語ではどのように表現するかを2択で選ぶクイズが出題され、正解者には、機内Wi-Fiを100MB分使用できるバウチャー(クーポン)がプレゼントされた。

 午後11時15分からは、乗客同士のフラダンス対決大会が開かれ、小さな女の子2人が接戦を繰り広げた。乗客たちの拍手で勝者を決めようとしたが、ほぼ同点。2人にスクートのスタッフからプレゼントが手渡された。また、20シンガポールドルから300シンガポールドルまでのバウチャーが当たる座席番号を使ったくじ引きも行われ、午後11時40分すぎにはすべてのゲーム大会を終えた。

ホノルルで開かれた就航式典で記念撮影に応じるデービッド・ユタカ・イゲ・ハワイ州知事(右から4人目)とスクートの客室乗務員ら=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルで開かれた就航式典で参加者に配られたパン=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 日本時間20日午前2時10分(ホノルル時間19日午前7時10分)に、ダニエル・K・イノウエ空港へ着陸。6分後に駐機場へ到着した。

 私の場合、取材で機内を動き回る時間が長かったので、ずっと座り続けるよりは楽な状態ではあったが、仮に関空からホノルルまでほぼ座っていたとしても、居住性はFSCと極端な差はないと感じた。しかし、シートピッチがやや狭いので、隣席の人が出入りするなどの状況を除いた感想だ。

 スクートの787は、シートピッチが平均31インチ(78.7センチ)で、シート幅が18インチ(45.7センチ)。シートピッチは日系大手の国内線機材と同等で、33から34インチ程度ある国際線用機材と比べると狭い。あとは個人モニターや無料機内食の有無などだが、関空を夜に出発し、ハワイへ朝到着することを考えると、機内で寝られる人ならば大きな問題にはならないだろう。

ハワイ滞在6時間で羽田へ

 航空券代金を安く抑え、現地で宿泊するホテルやアクティビティーを充実させたい人には、スクートの関西-ホノルル線は有効な選択肢になるだろう。

 一方で、日本の場合は大手航空会社を使ったツアーも、旅行会社が多数商品化している。週4往復というスクートの運航スケジュールや、ツアーと比較したトータルの旅行費用など、先入観なしにあらゆる選択肢を検討した方が良いのは言うまでもない。大手でマイルをためているビジネスマンであれば、家族旅行に特典航空券を使う手があるのも、当紙読者の皆さんが承知の通りだ。

ホノルルを離陸するスクートの関空行き初便=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 私はホノルルで現地取材する用事がなかったので、滞在時間を最小限にするため、到着当日の午後に東京へ帰ることにした。復路はホノルルを約6時間後の19日午後1時10分に出発する、ANAの羽田行きNH185便のエコノミークラス航空券を買った。同社のウェブサイトで片道6万3260円だった。これなら翌日は東京で仕事ができるので、スクートで関空へ戻るよりも、トータルで考えれば割安だ。

 もし仮に、私と同じようにホノルル到着から6時間後に帰国するとなると、ESTAでの入国は厳しいかもしれない。そもそも、観光でハワイに来る人が、空港から出ずに折り返すというのは、マイル修行でもない限り、あり得ないだろう。

 到着が遅れたり、ホノルルで常態化している入国審査の混雑を考慮すると、空港から20分ほどのアラモアナセンターに買い物へ出掛けるのもリスキーだ。私は報道ビザを取得しているので、必要に応じて事情を説明したところ無事入国できた。入国審査に長蛇の列ができていたため、到着から約1時間ほどかかった。

 当初は帰国時に乗るANAの787も、エコノミークラスで乗り比べをしようとしていたが、ラウンジで係員からプレミアムエコノミーへ無料アップグレードが可能だと言われたので、おとなしく従った。私はAMC(ANAマイレージクラブ)のプラチナ会員なので、当日空席があればこのアップグレードサービスが利用できる。

 実際、搭乗前日の18日に空席状況をANAのウェブサイトで調べた段階で、プレエコに空きがあった。この時点ではまだ復路もエコノミーに乗ろうと思っていたが、さすがに関空出発前から9時間ほど働いたのと、翌日は重要な取材があることも考慮して、プレエコにした。

長く乗っても疲れない787

 日本時間20日午後4時44分、ANAのNH185便で羽田へ到着。ハワイから日帰りした割に、思ったほど疲れを感じない。

 往路のスクートも復路のANAも787だったが、シートやサービスなどの差を除くと、やはり機内が乾燥していないことが、長旅でも疲れにくい印象を受けた。これはJALの成田-メルボルン線で片道10時間ほど787に乗った時に感じたものと同じだ。スクートの787で帰国しても、感想はさほど変わらなかっただろう。

スクートの787-8のエコノミークラス=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルで出発を待つANAの羽田行きNH185便=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの羽田行きNH185便787-9のプレミアムエコノミークラス=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スクートとANAの787では、シートや機内食、個人用モニター、機内インターネット接続サービスの価格設定などに差があるほか、電源コンセントもスクートは有料といった違いがある。当然ながら、スクートでは往復とも航空会社のラウンジは使えない。

 しかし、機内で寝て過ごしたり、帰国後すぐに仕事の予定などがなければ、渡航費用は安価に抑え、ホテルやアクティビティーにおカネを使う方が有意義と感じる人もいるだろう。また、「プライオリティーパス」のように、航空会社などのラウンジを使えるサービスを利用している人であれば、FSCとの差はさらに少なくなる。

 スクートは週4往復と運航日が限られていることから、今回の私のようにFSCと片道ずつ使うのも手だろう。

 今回印象に残ったことは、長時間のフライトの割には疲れが少なく、翌日も普通に取材ができたことと、スクートの客室乗務員たちがフレンドリーにサービスしている姿だった。

 日本語を話せる客室乗務員が限られていたり、何かトラブルが起きれば自力で解決する必要があるなど、海外旅行の初心者にはお勧めできないが、旅好きで相応の英会話が出来る人であれば、十分選択肢に入ると感じたフライトだった。

(おわり)

*写真は40枚。

スクートの787のシートポケットに入っている安全のしおり=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787のシートポケットに入っている安全のしおり=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787のシートポケットに入っている機内誌など=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787のシートポケットに入っている機内食メニュー=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787のシートポケットに入っている機内食メニュー=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787のシートポケットに入っている機内食メニュー=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787のシートポケットに入っている機内食メニュー=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787のシートポケットに入っている機内食メニュー=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

クルーレストがあるため後方の手荷物収納棚は使用できない=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787のラバトリー=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内でコーヒーを販売する客室乗務員=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内で行われたゲーム大会=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内で行われたゲーム大会=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空発ホノルル行き初便の機内で行われたゲーム大会で参加者と記念撮影するスクートの客室乗務員=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内で行われたゲーム大会=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内で行われたフラダンス大会=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空発ホノルル行き初便の機内で行われたフラダンス大会に参加した女の子と記念撮影するスクートの客室乗務員=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内で行われプレゼント大会の参加者を記念撮影するスクートの客室乗務員ら=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルへ着陸するスクートの関空発初便=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルに到着した関空発初便の機内を点検するスクートの客室乗務員=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルに到着した関空発初便の機内を点検するスクートの客室乗務員=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルに到着した関空発初便の機内から手を振るスクートの客室乗務員=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

蒸し暑いホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルを出発するスクートの関空行き初便=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルを出発するスクートの関空行き初便=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルを離陸するスクートの関空行き初便=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルを離陸するスクートの関空行き初便=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

運航スケジュール
シンガポール→関西→ホノルル
TR700 シンガポール(10:45)→関西(17:30/19:25)→ホノルル(07:30)運航日:月火土
TR700 シンガポール(09:55)→関西(16:55/18:50)→ホノルル(07:00)運航日:金

ホノルル→関西→シンガポール
TR701 ホノルル(09:35)→関西(翌日14:00/15:10)→シンガポール(21:10)運航日:月火金土
*関西発の運航日は火水土日

関連リンク
スクート

特集・スクート関空-ホノルル初便で行くハワイ滞在6時間
前編 大手と遜色ない787の居住性(17年12月26日)

スクート
スクート、関西-ホノルル就航 787で週4往復(17年12月19日)
スクート、関西-ホノルル12月就航 18年デイリー化目指す(17年10月3日)
スクート、787-9で関空就航 バンコク経由のシンガポール便(15年7月8日)

関西-ハワイ路線
エアアジアX、関空-ホノルル就航 初のLCCハワイ直行便(17年6月29日)
JAL、関空-ホノルル線にスカイスイート777就航 ビジネスはフルフラットに(17年1月10日)
ハワイアン航空、関空にビジネス新シート 3月から、羽田にも(17年2月1日)
LCCで関空-ハワイ実現へ 広がる中長距離便(15年7月11日)

各社ハワイ戦略
ANA、ホノルル空港にラウンジ新設 A380投入、片野坂社長「ハワイに合わせた機内」(17年11月21日)
植木社長「大変厳しい競争になる」 特集・JALとハワイアン強者連合誕生(前編)(17年9月27日)
「破綻のまっただ中。お断りせざるを得なかった」 特集・JALとハワイアン強者連合誕生(後編)(17年9月28日)
JAL、ハワイアン航空と提携 18年3月からコードシェア、特典航空券やマイルも(17年9月26日)