エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2017年12月26日 14:00 JST

大手と遜色ない787の居住性 特集・スクート関空-ホノルル初便で行くハワイ滞在6時間(前編)

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 ハワイが熱い。ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(旧称ホノルル国際空港)に降り立つと蒸し暑い、ということではなく、日本の航空業界にとってハワイ路線が熱い。日系大手を見ると、日本航空(JAL/JL、9201)は、今夏からホノルル線全便に、フルフラットシートのビジネスクラスを備える新仕様機を投入。9月15日には、7年ぶりにハワイ島のコナへ再就航した。

 そして同月26日には、JALはハワイアン航空(HAL/HA)と包括的業務提携契約を締結。夏ダイヤが始まる2018年3月25日から、日本-ハワイ路線でのコードシェア(共同運航)やラウンジの相互利用、マイレージプログラムの提携などを順次進めていく。

 一方で、ライバルの全日本空輸(ANA/NH)は、2019年春から総2階建ての超大型機エアバスA380型機を成田-ホノルル線に投入。ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の片野坂真哉社長は11月21日、ホノルルにラウンジを新設することを明らかにした。日本人にとって、海外旅行はハワイに始まりハワイに終わる、と言ってよいほど人気の観光地だけに、両社とも熱が入る。

関空で出発を待つスクートのホノルル行き初便=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 こうした従来からある大手2社の利用者争奪戦に加え、今年は関西空港で大きな変化が起きている。中距離LCCのハワイ路線参入だ。6月28日夜、エアアジアグループで中距離路線を担うエアアジアX(XAX/D7)が、関西-ホノルル線を週4往復で就航させた。既存のクアラルンプール-関西線を、日本からの以遠権を用いてハワイへ延伸した。グループ初の米国路線で、日本からハワイへ向かうLCCの直行便は初めてだ。

 そして12月19日には、シンガポール航空系LCCのスクート(TGW/TR)が、シンガポール-関西-ホノルル線を開設。スクートの米国就航は初めてで、関西-ホノルル間のLCCはエアアジアXに続いて2社目となった。

 関空からホノルルまでの往路は約7時間で、復路は約9時間30分。国内LCCの国際線は、最長でも5時間程度なので、2倍近い時間を機内で過ごすことになる。

 果たして、スクートの関西-ホノルル線の機内はどのような雰囲気なのだろうか。19日のホノルル行き初便TR700便(787-8、登録番号9V-OFH)に乗ってみた。そして、今回は現地取材がなかったので、極力短時間で帰国するため、ハワイ滞在6時間ほどでANAの羽田行きNH185便(787-9、 JA837A)に乗り、ゼロ泊2日で翌20日に帰国した。

*後編はこちら

—記事の概要—
前編
Wi-Fiも使える787
二次検査に”当選”
大手と遜色ない居住性

後編
深夜のゲーム大会
ハワイ滞在6時間で羽田へ
長く乗っても疲れない787

Wi-Fiも使える787

 スクートは片道4時間を超える中距離路線が中心のLCCで、日本へは成田と関西、新千歳の3空港に乗り入れている。関空には2015年7月8日に就航し、シンガポールからタイのバンコク(ドンムアン)経由の便と、台湾の高雄を経由する便の2路線が週3往復ずつ乗り入れている。

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回は、シンガポール-関空間の直行便を週4往復で開設。シンガポール航空が持つ以遠権を行使し、関空からホノルルへ向かう。運航日は往復とも月曜と火曜、金曜、土曜で、シンガポール-関空間と、関空-ホノルル間のいずれかの区間のみでも利用できる。

 関西-ホノルル線の通常運賃は、エコノミークラスが往復2万7600円から30万7600円、ビジネスクラスの「スクートビズ」が同12万9600円から36万9600円となる。

 機材はボーイング787-8型機で、座席数は2クラス329席(ビジネス18席、エコノミー311席)。ホノルル線の機材は、パイロットと客室乗務員が休憩する「クルーレスト」を備えていることから、同社が運航するほかの787-8(2クラス335席)より座席数が6席少ない。スクートは787-8を10機発注済みで、5機がクルーレスト装備機となる。

 スクートの787は、全機がWi-Fi機器による機内インターネット接続サービスに対応。機内食などと同じく、有償オプションとして提供する。

 運航スケジュールは月曜と火曜、土曜出発の場合、関西経由ホノルル行きTR700便がシンガポールを午前10時45分に到着し、午後5時30分に関西着。午後7時25分に関西を出発し、ホノルルには同日の午前7時30分に到着する。

 復路の関西経由シンガポール行きTR701便は、ホノルルを午前9時35分に出発し、翌日の午後2時に関西着。午後3時10分に関西を出発し、シンガポールには午後9時10分に到着する。

 787と言えば、地上並みの湿度を保つなど、快適性が売り。スクートにANAと、往復で航空会社は異なるものの、どちらも787による運航便なので、LCCとフルサービス航空会社(FSC)で違いがあるのかも、気になるところだ。

二次検査に”当選”

 19日午前9時。関空に到着した。私は都内に住んでいるが、この日は午前6時前から福岡空港でANAのカウンターリニューアルを取材していたので、福岡午前7時50分発の関西行きNH1702便で関空入りした。そして、昨年は日本一の売上を記録したという、エアロプラザのバーガーキングへ直行し、2度目の朝ご飯を食べながら仕事を始めた。

関空のスクートカウンター=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スクートのカウンター前に並んだのは、午後4時45分すぎ。すでに長蛇の列ができていた。チェックインには少々時間が掛かったが、無事出国して搭乗口へ向かう。

 就航式典では、関西学院大学のフラサークルKukui(ククイ)がフラダンスを披露。周りの乗客は、当然ながら観光でハワイへ向かうので楽しそうだ。しかし、私は出発までに就航を伝える1本目の原稿を載せる手はずを整えなければならない。

 関空の39番搭乗口付近から機体を撮ろうとすると、窓ガラスに蛍光灯などが映り込んでしまうので面倒だ。上着をかぶって写真を撮るなど、機体の写真1枚を撮るだけでも普段より時間を多めにみておく必要がある。

 そして、搭乗口の様子を一通り撮ったので、午後7時10分ごろにゲートを通過。これで機内に入れるかと思ったら、ランダムで当たる手荷物の二次検査に当たってしまった。くじ運が悪い割には、こうした面倒なものに当たる確率は高い。新幹線でも、車内で誰ひとりリクライニングシートを倒していないのに、自分の前席だけフルに倒してくることもざらだ。

 二次検査では、カバンの中も検査されるので、荷物が多い私の場合は時間がかかる。セキュリティーチェック自体に異論はないが、搭乗前に実施する以上、カバンごとに検査を終えていくなど、もう少し手際の良い運用が必要だと感じながら、終わるのを待った。

大手と遜色ない居住性

 午後7時18分。二次検査を無事パスし、機内へ。L2ドアから搭乗し、指定されたエコノミークラスの座席12Fに座る。他社の787と同じく1列3-3-3席配列なので、特に狭くは感じなかった。今年5月に乗った、インドネシア・エアアジアX(INX/XT)のエアバスA330-300型機のエコノミークラスは、1列3-3-3席と通常より1席多いのでかなり狭かったが、そうした居住性の問題はなく、ひと安心した。足もとの広さも、いたって普通だ。

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内。モニターがないので非常口の説明などは客室乗務員がデモンストレーションする=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの787エコノミークラスの足もと=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 手元の時計で午後7時38分に、関空を出発した。夜間の飛行なので機内は暗くなり、同50分に離陸滑走を開始。1分後には離陸し、午後8時10分にはベルトサインが消灯した。

 機内では、米国の入国書類が配られたが英語のみ。日系のFSCであれば、日本人には日本語のものが配られるが、そもそも英語版しか積んでいないようだ。機内では、客室乗務員に書き方を尋ねる人がちらほら見られた。

 この日は、日本人の客室乗務員も搭乗。こうした乗客の質問に応じながら、チームワークで飲み物などの機内販売をこなしていた。機内を見回すと、小さい子を連れた家族が多い印象で、日本人だけではなく、アジア系外国人客の姿もみられた。

 1時間ほど機内を撮り、のどが渇いたので機内販売のミロ(4シンガポールドル=約340円)を注文した。自席に戻ると、持ってきた客室乗務員に「よくかき混ぜてね」と言われ、かき混ぜて粉を溶かしながら飲んだ。

スクートのビーフカレー=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スクートの関空発ホノルル行き初便の機内で購入したミロ=17年12月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ミロを飲み始めてすぐの午後9時12分には、プレオーダーの機内食が配られ始めた。乗客が手元に用意した航空券を確認し、客室乗務員が機内食を配っていく。初便に搭乗したメディア向けには、ビーフカレー(18シンガポールドル=約1520円)が撮影用に用意されたようで、私のテーブルにもやってきた。ドリンクにはコカコーラをもらう。

 ビーフカレーの味は、「ザ・機内食」という感じの味の濃さ。味は濃いが、辛さはそこまでではない感じだった。食べると後から弱い辛さが少しずつ広がる、といったところだ。福神漬けらしきものが少し添えられていたので、日本人がイメージするビーフカレーと言えるだろう。

 食感は、ルーをダイレクトに食べているというと語弊があるが、揺れる機内でもこぼれないよう、ジャガイモで固さを出しているような状態だった。ちょうど食べ始めて少しするとベルトサインが点灯して揺れ始めたが、こぼすことなく完食できた。

 午後10時、食事も入国書類の記入も完了。ホノルル時間では19日午前3時だ。到着は現地時間午前7時30分、日本時間では20日午前2時30分なので少し寝るつもりだったが、機内Wi-Fiの使用感なども調べなければならないので、まだ寝られない。

後編へつづく)

関連リンク
スクート

特集・スクート関空-ホノルル初便で行くハワイ滞在6時間
後編 日帰りでも疲れなかった787(17年12月31日)

スクート
スクート、関西-ホノルル就航 787で週4往復(17年12月19日)
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関西-ハワイ路線
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