エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2017年9月12日 07:45 JST

片道10時間でも疲れにくい787 特集・JAL成田-メルボルン初便に乗ってみた

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 豪州第2の都市メルボルンに、日本航空(JAL/JL、9201)が9月1日に成田から直行便を開設した。JALがメルボルンに就航するのは初めてで、豪州路線は成田-シドニー線と合わせて2路線になった。

 片道約10時間の長距離路線で、機材はボーイング787-8型機の新仕様機「スカイスイート787(SS8)」を投入。座席数は3クラス161席で、ビジネス38席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー88席)となる。

メルボルン行きJL773便のビジネスクラスで機内サービスする客室乗務員=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田で出発を待つJALのメルボルン行きJL773便=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 9月30日までの運航スケジュールは、メルボルン行きJL773便は、成田を午前10時30分に出発して、午後9時55分着。成田行きJL774便はメルボルンを午前0時5分に出発し、午前9時5分に到着する。シドニー線の早朝着・午前発とは異なるスケジュールを設定することで、利用者の利便性向上を図る。

 初便の成田発JL773便(787-8、登録番号JA845J)は、ほぼ満席の乗客159人(幼児なし)と乗員11人(パイロット3人、客室乗務員8人)を乗せ、定刻の午前10時30分に出発。成田空港の消防車による放水アーチをくぐり抜け、メルボルンへ向かった。

 本記事では、ビジネスクラスを中心に初便の様子をまとめた。

*スカイスイート787の写真特集はこちら

消防車による放水アーチをくぐり成田を出発するJL773便=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
地元産赤ワインも
軽食も豪州産牛フィレ肉

地元産赤ワインも

 初便にアサインされたJA845Jという機体は、実は以前取材したことがあった。2016年7月1日に、サウスカロライナ州ノースチャールストン工場から成田へ到着したこの機体は、JALが25機発注した787-8のうち、最後に受領したもの。一度取材した機体は、なんとなく愛着のようなものを感じる。

 成田を出発し、ベルトサインが消灯したので機内の取材を始めた。前方には、パイロットたちが乗客との接点を作ろうとの思いで、「旅の手帳」を用意。今回の旅行プランや思いなどを自由に書き込めるようにしていた。

 出発して1時間を少し過ぎると、機内食の準備が始まった。メルボルン線のビジネスクラスでは、東京・芝大門「くろぎ」の黒木純シェフ監修の和食と、東京・麻布十番「山田チカラ」の山田チカラシェフ監修の洋食メニューを提供している。

メルボルン行きJL773便のビジネスクラスでサーモンのマリネにヨーグルトソースをかける客室乗務員=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 私が選択した洋食では、アミューズ・ブーシュとして、黒木シェフ監修の「胡麻豆腐 山葵のせ」と、山田シェフ監修の「ジャガイモとジロール茸のキッシュ」が提供された後、オードブルとして「サーモンのマリネ ヨーグルトのソース」、メインディッシュは「和牛サーロインステーキ 木の子の盛り合わせとラビゴットソース」と「鯛の胡麻付け焼き 3種のピューレとブールブランソース」の2つのうち、ステーキを選んだ。

メルボルン行きJL773便のビジネスクラスのメインディッシュ「和牛サーロインステーキ 木の子の盛り合わせとラビゴットソース」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 マリネのヨーグルトソースは、自席前で客室乗務員がソースをかけて完成。オードブルを食べ終えると、メインのステーキが用意された。脂身のある肉で、ダイナミックな味が後を引き、あっという間に食べ終えてしまった。

 ドリンク類では、メルボルン就航にちなみ、限定の赤ワインとして地元ヴィクトリア州産の「Mount Langi Ghiran(マウント・ランギ・ギラン)2015」を用意。赤ワインらしい渋みがほのかにある味だったが、人気が高く、私が口にできたのは最後の一口だった。

 赤ワインは一口で終わってしまったので、白ワインも豪州産を選んでみた。「Woodside Park Sauvignon Blanc(ウッドサイド・パーク ソーヴィニョンブラン)2016」は、フルーティーな味わいで、ソフトな口当たりだ。私は重めの白ワインを飲むことが多いが、スッと飲み終えてしまうワインだが、到着までは取材が続くので1杯にとどめた。

メルボルン行きJL773便のビジネスクラスで用意された地元産の赤ワイン「Mount Langi Ghiran 2015」を=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ワインのほか、初便記念のデザートとして、豪州の「ラミントンケーキ」も用意された。

 一方、プレミアムエコノミーとエコノミークラスの機内食では、1日から提供を始めた新メニューを用意。才能ある若手料理人を発掘するコンペティション(競技会)「RED U-35(RYORININ’s EMERGING DREAM)」のファイナリスト監修メニューで、JALの日本発便エコノミーでは初となる中華と、洋食が提供された。

 中華は、四川料理店「スーツァンレストラン陳」(東京・渋谷)の井上和豊シェフが監修した「マイルドエビチリ 翡翠(ヒスイ)ライス添え」、洋食はザ・プリンス パークタワー東京「レストラン ブリーズヴェール」(東京・芝公園)の桂有紀乃シェフによる「ハンバーグ パプリカのケチャップ風ソース フェットチーネ クリームソース」がメイン。よだれ鶏やタコポテトサラダといったサイドメニューに加え、ラミントンケーキがデザートとして添えられた。

軽食も豪州産牛フィレ肉

 1食目の機内食取材を終え、ギャレー(厨房設備)横のバーカウンターを訪れてみた。乗客がお菓子や飲み物を自由に選べるコーナーで、パイロットが用意した旅の手帳も、バーカウンターに置かれていた。

 カウンターには、コアラの小さなぬいぐるみや、豪州の国旗やカンガルーが描かれたグラスが置かれていた。持ち主は入社3年目の客室乗務員の神(じん)みなみさん。シドニーに留学していた神さんが、乗客に豪州らしさを感じてもらおうと用意したものだった。

 「留学中、メルボルンにも旅行したこともあったので、初便に乗務できてうれしいです」と声を弾ませていた。

JL773便ビジネスクラスのバーカウンターに豪州のグラスやコアラのぬいぐるみを飾った客室乗務員の神さん=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 自席に戻り、フルフラットになるシートをベッドポジションにし、仮眠を取った。機内インターネット接続サービス「スカイWi-Fi」を使用していると、どうしても衛星回線が途切れるエリアがある。こうしたタイミングを見て仕事を一段落させた。

 豪州時間午後6時。到着まで4時間を切ったところで、軽食メニューを頼んだ。メルボルン線就航記念の「オリジナルミートパイ」、「JAL厳選カレー」、「醤油らーめん」の3品を順に頼んだ。

JL773便のビジネスクラスで提供された軽食「オリジナルミートパイ」は豪州産牛フィレ肉を使用していた=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ミートパイは、豪州産牛フィレ肉を使ったもので、ナイフを入れると肉汁がたっぷり出てきた。小腹が空いたころにちょうど良い味と量だった。

 JALというと、ラウンジで出発前にカレーを食す、というのがひとつの様式美のようになっているが、機内で食べるカレーもおいしいものだ。客室乗務員によると、「厳選カレー」は便や時期により搭載されているカレーの種類が異なるという。

 醤油らーめんは、あっさりしすぎていないので、こってりしたラーメンを好む人も満足がいくのではないか。個人的にはレンゲも陶器なのがよかった。プラスチック製のはしやレンゲ、どんぶりで食べるラーメンでは、どうもおいしさに欠ける。器もしっかりしているのは好印象だ。

 軽食を3種類食べたほか、デザートに「DEAN&DELUCA スーパープレミアムバニラアイスクリーム」があったので、これもオーダー。濃厚な割に後味がしつこくなく、できれば2つ食べたいと思うアイスだった。

 そして、JL773便は現地時間午後9時45分ごろ、メルボルン空港に着陸。空港の消防車による歓迎の放水アーチをくぐり抜け、駐機場に到着した。

メルボルン空港のいたるところで見かけた「WELCOME JAPAN AIRLINES」のデジタルサイネージ=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 降機してターミナルを歩いていると、あちこちに「WELCOME JAPAN AIRLINES」と書かれた看板やデジタルサイネージ(電子看板)が目に付いた。近年、メルボルンは中国の航空会社を除いて、大きな動きがなかったことも影響しているようだが、これだけ歓迎を表現されると、悪い気はしない。

 約10時間の長いフライトだったが、改めて考えると787は機内が乾燥しにくいせいか、フライト時間の割には疲労が軽微だった。搭乗中はほぼ取材だったが、1時間程度はフルフラットになるシートで仮眠を取れたことも大きかったようだ。

運航スケジュール
成田-メルボルン
JL773 成田(10:30)→メルボルン(21:55)運航日:9月1日から
JL774 メルボルン(00:05)→成田(09:05)運航日:9月2日から

JL773 成田(10:30)→メルボルン(22:55)運航日:10月1日から
JL774 メルボルン(00:35)→成田(08:35)運航日:10月2日から

*写真は34枚。

JALの成田発メルボルン行き初便に搭乗する乗客=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港の搭乗口にはペンギンやカンガルーのバルーンアートが飾られていた=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン行き初便に投入されたJA845Jのビジネスクラスシート=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田を出発するJL773便を見送るJAL社員ら=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン行きJL773便のビジネスクラスで機内食を提供する客室乗務員=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン行きJL773便のビジネスクラスのオードブル「サーモンのマリネ ヨーグルトのソース」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン行きJL773便のビジネスクラスのメインディッシュ「和牛サーロインステーキ 木の子の盛り合わせとラビゴットソース」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン線就航を記念した豪州のデザート「ラミントンケーキ」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

バーカウンターに用意された「旅の手帳」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

バーカウンターに用意されたお菓子類やドリンク、旅の手帳=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

バーカウンターに用意されたお菓子類の箱に置かれたコアラのぬいぐるみ=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン行きのプレエコとエコノミーで提供する中華「マイルドエビチリ 翡翠(ヒスイ)ライス添え」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン行きのプレエコとエコノミーで提供する洋食「ハンバーグ パプリカのケチャップ風ソース フェットチーネ クリームソース」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JL773便のビジネスクラスで提供された軽食「オリジナルミートパイ」は豪州産牛フィレ肉を使用していた=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

軽食メニュー「JAL厳選カレー」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

軽食メニュー「醤油らーめん」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

オーダーしたデザートの「DEAN&DELUCA スーパープレミアムバニラアイスクリーム」=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルンに近づくJL773便=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルンに近づくJL773便=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン空港に向けて降下するJL773便=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン空港に向けて降下するJL773便=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン空港で消防車による放水アーチの歓迎を受けるJL773便=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルン空港で消防車による放水アーチの歓迎を受けるJL773便=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルンに到着したJL773便初便のパイロットと客室乗務員=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

メルボルンに到着したJL773便。その後はJL774便として成田へ向かった=17年9月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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